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幕間話
デーモンロードの独白
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原作1巻で倒されたデーモンロード視点のお話です
――――――――――――――――――――――――
光の届かぬ闇の世界に我はいた。
デーモンロード、そう呼ばれる存在だ。
地上に召喚され、その魂と引き換えに絶対的な力を貸し与える。
そう、我は絶望の象徴――のはずだった。
だが敗れた。
死んだわけではない。
我ら上級悪魔は下級悪魔と違い、精神世界に生きる存在であり、肉体はただの仮初の器に過ぎない。
だが、現在、その精神が蝕まれていた。
《なんなのだ、一体何が起こった》
絶対に負けるはずのない戦いだった。
しかし、今にして思えば最初から妙だった。
我が最初に生み出したのはスケルトンの軍勢だった。
スケルトンは一体一体は力のない傀儡に過ぎない。しかし、奴らには心臓などの急所は存在せず、確実に倒すには破邪の武器で断ち切るか、骨を完全に砕く必要がある。
本来の計画であれば、スケルトンの軍勢に町を襲撃させ、混乱しているところを別の不死生物や下級悪魔に襲わせる算段であった。
奴らなら仲間たちをも踏み台にして城壁を乗り越えることも容易い。そう思った。
だが、気付けばスケルトンは城壁に吸い込まれて消えてしまった。
誤算だった。
恐らく、魔族対策に先史文明の遺物でも張り巡らせたのだろう。
一瞬、忌まわしい記憶が蘇ったが、それで屈する我ではなかった。
本来はスケルトン襲撃時に追撃として放つはずだった低級悪魔と不死生物たちに町を囲ませた。
どうも浄化の力を持っている城壁は北と西の壁だけのようだったからな。
東と南かわ攻め込めばいい。
そう思っていたら――光の力で数百の配下が滅ぼされた。
頭がおかしくなりそうだ。
その混乱に乗じて、二人の鼠が忍び込んできた。
我はその鼠を出迎えることにした。
魔法陣がある限り我の肉体は滅びることはない。
しかし、精神体が本体である我にとって、予想外の出来事により疲弊した精神を整える必要があったからだ。
その結果はよかった。
光の魔法晶石でも、剣でも我を倒すことはできない。
剣士たちの焦る顔、絶望する顔、我の疲弊した精神は癒されていった。
だが、そこで問題が起きた。
絶対に破壊されないはずの魔法陣が何者かによって破壊された。
このままでは危ない。
光の魔法晶石を使われれば、この闇の肉体は滅びる。
そうなれば、王女を殺すという依頼主との契約が履行できなくなる。
それは上級悪魔である我にとって最大の屈辱。
その精神は著しく傷つくことになる。
だが、そこに転機が訪れた。
なんと標的であるはずの王女が訪れたのだ。
我は歓喜し、ミスリルをも貫く闇の槍で王女を貫いた。
それが絶望の始まりだった。
奴ら……ではなく我の。
貫いたはずの王女は幻影だった。
ただの幻影ではない。
気配も体温も確かにそこにある。だが、偽物。
魔剣によって生み出されたといった。
王家の持つ秘宝か?
だが、そのような特殊な効果を持つ魔剣―ーまさか、奴らが?
いや、そんなはずはない。
奴らはもうこの世界にいない。
仲間たちが奴らのいた地を、いやこの世界中をくまなく調べたのだ。
今更奴らがこの地に蘇ったなど、信じてたまるか。
王女が砕いた魔法晶石により我の肉体は滅び、精神の世界に還った。
《奴らが生きているわけがない。そう、気のせいだ》
我は自分にそう言い聞かせる。
もしもまたあちらの世界に呼び出されることがあれば、今度こそ絶望を振りまいてくれようぞ。
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光の届かぬ闇の世界に我はいた。
デーモンロード、そう呼ばれる存在だ。
地上に召喚され、その魂と引き換えに絶対的な力を貸し与える。
そう、我は絶望の象徴――のはずだった。
だが敗れた。
死んだわけではない。
我ら上級悪魔は下級悪魔と違い、精神世界に生きる存在であり、肉体はただの仮初の器に過ぎない。
だが、現在、その精神が蝕まれていた。
《なんなのだ、一体何が起こった》
絶対に負けるはずのない戦いだった。
しかし、今にして思えば最初から妙だった。
我が最初に生み出したのはスケルトンの軍勢だった。
スケルトンは一体一体は力のない傀儡に過ぎない。しかし、奴らには心臓などの急所は存在せず、確実に倒すには破邪の武器で断ち切るか、骨を完全に砕く必要がある。
本来の計画であれば、スケルトンの軍勢に町を襲撃させ、混乱しているところを別の不死生物や下級悪魔に襲わせる算段であった。
奴らなら仲間たちをも踏み台にして城壁を乗り越えることも容易い。そう思った。
だが、気付けばスケルトンは城壁に吸い込まれて消えてしまった。
誤算だった。
恐らく、魔族対策に先史文明の遺物でも張り巡らせたのだろう。
一瞬、忌まわしい記憶が蘇ったが、それで屈する我ではなかった。
本来はスケルトン襲撃時に追撃として放つはずだった低級悪魔と不死生物たちに町を囲ませた。
どうも浄化の力を持っている城壁は北と西の壁だけのようだったからな。
東と南かわ攻め込めばいい。
そう思っていたら――光の力で数百の配下が滅ぼされた。
頭がおかしくなりそうだ。
その混乱に乗じて、二人の鼠が忍び込んできた。
我はその鼠を出迎えることにした。
魔法陣がある限り我の肉体は滅びることはない。
しかし、精神体が本体である我にとって、予想外の出来事により疲弊した精神を整える必要があったからだ。
その結果はよかった。
光の魔法晶石でも、剣でも我を倒すことはできない。
剣士たちの焦る顔、絶望する顔、我の疲弊した精神は癒されていった。
だが、そこで問題が起きた。
絶対に破壊されないはずの魔法陣が何者かによって破壊された。
このままでは危ない。
光の魔法晶石を使われれば、この闇の肉体は滅びる。
そうなれば、王女を殺すという依頼主との契約が履行できなくなる。
それは上級悪魔である我にとって最大の屈辱。
その精神は著しく傷つくことになる。
だが、そこに転機が訪れた。
なんと標的であるはずの王女が訪れたのだ。
我は歓喜し、ミスリルをも貫く闇の槍で王女を貫いた。
それが絶望の始まりだった。
奴ら……ではなく我の。
貫いたはずの王女は幻影だった。
ただの幻影ではない。
気配も体温も確かにそこにある。だが、偽物。
魔剣によって生み出されたといった。
王家の持つ秘宝か?
だが、そのような特殊な効果を持つ魔剣―ーまさか、奴らが?
いや、そんなはずはない。
奴らはもうこの世界にいない。
仲間たちが奴らのいた地を、いやこの世界中をくまなく調べたのだ。
今更奴らがこの地に蘇ったなど、信じてたまるか。
王女が砕いた魔法晶石により我の肉体は滅び、精神の世界に還った。
《奴らが生きているわけがない。そう、気のせいだ》
我は自分にそう言い聞かせる。
もしもまたあちらの世界に呼び出されることがあれば、今度こそ絶望を振りまいてくれようぞ。
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