25 / 28
シャットダウン
しおりを挟む
王宮に池はいくつもあるが、ここの池は天然のものを利用しているため、ほかの場所よりも底が深い。場所によっては大人の背よりも。濁った深緑色の水に飛び込むと、冷たさを感じる。
同時に、わきあがる泡を浴びながらエクスは鋼の鎧とともに底へと沈んでいく。逃がすつもりはなかった。ここで仕留めなければ、勝ち目はない。カーネルはまたドロシーの命を狙うだろう。
重い鎧はあっという間に池の底にたどり着いた。腐った落ち葉の堆積する泥の中、カーネルが手足をばたつかせてもがいている。鎧の隙間から気泡が立ちのぼり、水面へと消えていく。
やはりか、とエクスは距離を取りながら得心する。刃の通らないほど継ぎ目のない鎧でも隙間がなければ息が出来ない。今頃、鎧の中は水浸しのはずだ。無論、魔法も使えないだろうし、鎧を着たまま泳げるような重量ではあるまい。
動けば動くほど息苦しくなるのだが、混乱しているであろうカーネルは気づかないようだ。そもそもカーネルが泳げるかどうかも疑わしかった。ウィンディ王国の貴族に泳ぐ習慣はない。海や河川付近の住民くらいだろう。
あとは子供の頃から川で魚を捕って過ごしていた孤児か。
カーネルが顔を引っ掻くように兜を引っ掻き始めた。何とかして兜を外そうとしているようだ。このまま溺死するならそれでよし。もし鎧を脱いで上昇しようとするならば、そこを仕留める。腰に差した短剣を後ろ手で確かめながらカーネルの動きを見逃さないように一挙手一投足に目を配る。
呼吸はまだ保つ。
カーネルの動きが止まった。池の底に大の字になって寝転がる。終わったか、とほっとした途端、不意に重力が甦った。
自分の周囲から池の水が消え失せたのだと気づいた時には、泥の中に膝を沈めていた。痛みに顔をしかめながら何が起こったのかと顔を上げると、巨大な黒い鎧が水滴を滴らせ、彫像のように立っていた。
「魔法というのはな、必要に応じて作られるものだ」
兜の目庇が上がる。水が流れ、愉悦に満ちたカーネルの顔が現れた。
「水の中でも呼吸できるようにするような魔法ならば、だ。その様な状況下でも発動できるように開発するのが当然ではないか?」
要するに、空気の球を作る魔法は呪文なしでも発動できると言いたいようだ。それを使っているからこそ、エクスもカーネルも池の底で呼吸が出来るし、すぐ横を池に放された魚が悠々と泳いでいるのだ。
「『大地縛縄』」
カーネルが地面に手を突きながら魔法を放つ。池の底が波打つように盛り上がり、エクスの足首を絡め取る。
足を上げようとしても隙間なく固められている。触れてみると、汚泥は岩のように硬くなっていた。
「随分となめたマネをしてくれたが、これで終わりだ。溺れ死ぬのは貴様の方だ」
高笑いが池の底に響く。カーネルが呪文を解除すれば、再び池の底は水で満たされるだろう。
当然、カーネルには助かる算段があるはずだ。水の中でも呼吸できる魔法か、魚のように泳げる魔法かは知らないが、溺死するのはエクスだけだ。
エクスの体がぐらりと揺れる。足が固定されているため、倒れることも膝を突くことも出来ず、不自然な体勢になってしまう。
「冥界へ先に行って、聖女の先導でもするがいい。このドブネズミが!」
言い捨てて目庇を閉じようとした瞬間、カーネルは絶叫を上げた。
ブーツを脱いで裸足になったエクスが片手で目庇を鷲づかみにし、反対に持った短剣でカーネルの顔を切り裂いていた。
「まったく、身分の高い方はつくづく呑気ですな」
鮮血に顔を染めて身悶えするカーネルの足を取り、仰向けに転ばせるとその上に馬乗りになる。
「弱点を敵の前に晒しながら得意げにべらべらとまあ……」
鎧の中が水浸しになれば必ずどこかから排水しなくてはならない。呼吸もままならなかった状況ならば兜を外すか、目庇を上げるかするだろうと踏んだのは正解だったようだ。なかなか隙を見せなかったのには難儀をしたが、こちらの動きを封じたと勝ち誇ったのが敗因だろう。
「ま、待て! よせ!」
カーネルはせめてもの抵抗とばかりに両手で顔を押さえながら顔を左右に振る。
誰が待つか、アホンダラ!
エクスは片手でその頭を固定すると短剣を逆手に持ち替え、指の隙間を縫うようにしてカーネルの額を刺し貫いた。黒い鎧が二度痙攣し、そのまま動かなくなった。ほっと息を吐いた途端、頭の上から大量の水が覆い被さってきた。エクスの目の前が真っ暗になった。
水圧と水の冷たさに一瞬、意識が遠のいたものの、どうにか手足で水をかき、水の底から這い上がる。ゆらめく水面に顔を出し、水しぶきを上げる。
池の縁まで泳ぎ、疲れた体にむち打って這い上がると、大勢の人間が待っていた。ぎょっとしたが、よく見ればいずれも国王派の貴族や騎士たちであった。どうやら決着は付いたようだ。
「カーネルはどうなった?」
誰かが聞いた。
「池の底で寝ております」
振り返ると、水面に油を落としたような赤い染みが広がっていた。
歓声が上がった。
誰かが英雄だ、勇者だと持ち上げる。池の縁に浮いていたブーツをはき直しながらエクスはまるで他人事のように聞いていた。
「見事であった」
国王陛下からもお褒めの言葉をいただいた。
反逆者であり、敵の大将を討ち取ったという高揚感などなかった。むしろ、なんてザマだと自嘲の笑いが込み上げてきた。
まったく誇り高き騎士とはほど遠い戦い方だ。ずぶ濡れの上に服もボロボロ。剣もなく、満身創痍で、物語の騎士とはほど遠い。
けれど、それが己のやり方だった。これしかなかった。戦場で生き抜いたものの、所詮は凡人である。ドロシーのような魔力は勿論、天賦の才も人並み外れた身体能力も頭脳も持ち合わせていない。
身分も低く、正統な教育も武術も習っていない。そんな男が真っ当なやり方で戦ったところで誰を守れるというのか。かつては剣さばきで鮮やかに敵を討ち果たす姿を夢見たこともあったが、それは己の才にはなかったというだけの話だ。
ならば泥臭かろうと浅ましかろうと小ずるくて見栄えが悪かろうと構わない。守れずに後悔するよりはるかにマシだ。それが騎士でなき者の、騎士としての生き方だった。
「道を空けて下さい。どいて!」
ドロシーが貴族どもをかき分けて現れる。エクスに駆け寄るなり、必死の形相で傷の治療や解毒に解呪といった魔法をかけまくる。
その姿をエクスはどこか冷めた気持ちで見ていた。ドロシーからの好意を疑ったことはない。旅の間もこうしてことあるごとに必要以上の魔法をかけていただいた。感謝はしている。だからといって、何でもかんでも受け取れるものではない。
「失礼します」
体が動くようになると立ち上がり、ドロシーの手を取る。
「申し訳ございませんが、少々用事がございますので。叙勲式はまた後ほど」
一方的に言い残してドロシーを引っ張ってその場を離れる。
「エクス、どうしたのですか?」
早足で歩いているので、前のめりになりながら質問してくる。
「ドロシー様におうかがいしたき儀がございます」
人目に付かない場所を探して、やって来たのは庭園にある四阿だった。
エクスは懐から濡れた紙を取りだした。池の中に浸ってどうなるかと思ったが、良い紙とインクを使っているためだろう。字も一字一句正確に読むことが出来た。
「これは一体、いかなる所存でございましょうか」
ドロシーの顔色が変わった。
「私はあなたを母と呼ぶつもりはございません」
文官が持って来たのは、養子縁組手続きの届け出だった。
同時に、わきあがる泡を浴びながらエクスは鋼の鎧とともに底へと沈んでいく。逃がすつもりはなかった。ここで仕留めなければ、勝ち目はない。カーネルはまたドロシーの命を狙うだろう。
重い鎧はあっという間に池の底にたどり着いた。腐った落ち葉の堆積する泥の中、カーネルが手足をばたつかせてもがいている。鎧の隙間から気泡が立ちのぼり、水面へと消えていく。
やはりか、とエクスは距離を取りながら得心する。刃の通らないほど継ぎ目のない鎧でも隙間がなければ息が出来ない。今頃、鎧の中は水浸しのはずだ。無論、魔法も使えないだろうし、鎧を着たまま泳げるような重量ではあるまい。
動けば動くほど息苦しくなるのだが、混乱しているであろうカーネルは気づかないようだ。そもそもカーネルが泳げるかどうかも疑わしかった。ウィンディ王国の貴族に泳ぐ習慣はない。海や河川付近の住民くらいだろう。
あとは子供の頃から川で魚を捕って過ごしていた孤児か。
カーネルが顔を引っ掻くように兜を引っ掻き始めた。何とかして兜を外そうとしているようだ。このまま溺死するならそれでよし。もし鎧を脱いで上昇しようとするならば、そこを仕留める。腰に差した短剣を後ろ手で確かめながらカーネルの動きを見逃さないように一挙手一投足に目を配る。
呼吸はまだ保つ。
カーネルの動きが止まった。池の底に大の字になって寝転がる。終わったか、とほっとした途端、不意に重力が甦った。
自分の周囲から池の水が消え失せたのだと気づいた時には、泥の中に膝を沈めていた。痛みに顔をしかめながら何が起こったのかと顔を上げると、巨大な黒い鎧が水滴を滴らせ、彫像のように立っていた。
「魔法というのはな、必要に応じて作られるものだ」
兜の目庇が上がる。水が流れ、愉悦に満ちたカーネルの顔が現れた。
「水の中でも呼吸できるようにするような魔法ならば、だ。その様な状況下でも発動できるように開発するのが当然ではないか?」
要するに、空気の球を作る魔法は呪文なしでも発動できると言いたいようだ。それを使っているからこそ、エクスもカーネルも池の底で呼吸が出来るし、すぐ横を池に放された魚が悠々と泳いでいるのだ。
「『大地縛縄』」
カーネルが地面に手を突きながら魔法を放つ。池の底が波打つように盛り上がり、エクスの足首を絡め取る。
足を上げようとしても隙間なく固められている。触れてみると、汚泥は岩のように硬くなっていた。
「随分となめたマネをしてくれたが、これで終わりだ。溺れ死ぬのは貴様の方だ」
高笑いが池の底に響く。カーネルが呪文を解除すれば、再び池の底は水で満たされるだろう。
当然、カーネルには助かる算段があるはずだ。水の中でも呼吸できる魔法か、魚のように泳げる魔法かは知らないが、溺死するのはエクスだけだ。
エクスの体がぐらりと揺れる。足が固定されているため、倒れることも膝を突くことも出来ず、不自然な体勢になってしまう。
「冥界へ先に行って、聖女の先導でもするがいい。このドブネズミが!」
言い捨てて目庇を閉じようとした瞬間、カーネルは絶叫を上げた。
ブーツを脱いで裸足になったエクスが片手で目庇を鷲づかみにし、反対に持った短剣でカーネルの顔を切り裂いていた。
「まったく、身分の高い方はつくづく呑気ですな」
鮮血に顔を染めて身悶えするカーネルの足を取り、仰向けに転ばせるとその上に馬乗りになる。
「弱点を敵の前に晒しながら得意げにべらべらとまあ……」
鎧の中が水浸しになれば必ずどこかから排水しなくてはならない。呼吸もままならなかった状況ならば兜を外すか、目庇を上げるかするだろうと踏んだのは正解だったようだ。なかなか隙を見せなかったのには難儀をしたが、こちらの動きを封じたと勝ち誇ったのが敗因だろう。
「ま、待て! よせ!」
カーネルはせめてもの抵抗とばかりに両手で顔を押さえながら顔を左右に振る。
誰が待つか、アホンダラ!
エクスは片手でその頭を固定すると短剣を逆手に持ち替え、指の隙間を縫うようにしてカーネルの額を刺し貫いた。黒い鎧が二度痙攣し、そのまま動かなくなった。ほっと息を吐いた途端、頭の上から大量の水が覆い被さってきた。エクスの目の前が真っ暗になった。
水圧と水の冷たさに一瞬、意識が遠のいたものの、どうにか手足で水をかき、水の底から這い上がる。ゆらめく水面に顔を出し、水しぶきを上げる。
池の縁まで泳ぎ、疲れた体にむち打って這い上がると、大勢の人間が待っていた。ぎょっとしたが、よく見ればいずれも国王派の貴族や騎士たちであった。どうやら決着は付いたようだ。
「カーネルはどうなった?」
誰かが聞いた。
「池の底で寝ております」
振り返ると、水面に油を落としたような赤い染みが広がっていた。
歓声が上がった。
誰かが英雄だ、勇者だと持ち上げる。池の縁に浮いていたブーツをはき直しながらエクスはまるで他人事のように聞いていた。
「見事であった」
国王陛下からもお褒めの言葉をいただいた。
反逆者であり、敵の大将を討ち取ったという高揚感などなかった。むしろ、なんてザマだと自嘲の笑いが込み上げてきた。
まったく誇り高き騎士とはほど遠い戦い方だ。ずぶ濡れの上に服もボロボロ。剣もなく、満身創痍で、物語の騎士とはほど遠い。
けれど、それが己のやり方だった。これしかなかった。戦場で生き抜いたものの、所詮は凡人である。ドロシーのような魔力は勿論、天賦の才も人並み外れた身体能力も頭脳も持ち合わせていない。
身分も低く、正統な教育も武術も習っていない。そんな男が真っ当なやり方で戦ったところで誰を守れるというのか。かつては剣さばきで鮮やかに敵を討ち果たす姿を夢見たこともあったが、それは己の才にはなかったというだけの話だ。
ならば泥臭かろうと浅ましかろうと小ずるくて見栄えが悪かろうと構わない。守れずに後悔するよりはるかにマシだ。それが騎士でなき者の、騎士としての生き方だった。
「道を空けて下さい。どいて!」
ドロシーが貴族どもをかき分けて現れる。エクスに駆け寄るなり、必死の形相で傷の治療や解毒に解呪といった魔法をかけまくる。
その姿をエクスはどこか冷めた気持ちで見ていた。ドロシーからの好意を疑ったことはない。旅の間もこうしてことあるごとに必要以上の魔法をかけていただいた。感謝はしている。だからといって、何でもかんでも受け取れるものではない。
「失礼します」
体が動くようになると立ち上がり、ドロシーの手を取る。
「申し訳ございませんが、少々用事がございますので。叙勲式はまた後ほど」
一方的に言い残してドロシーを引っ張ってその場を離れる。
「エクス、どうしたのですか?」
早足で歩いているので、前のめりになりながら質問してくる。
「ドロシー様におうかがいしたき儀がございます」
人目に付かない場所を探して、やって来たのは庭園にある四阿だった。
エクスは懐から濡れた紙を取りだした。池の中に浸ってどうなるかと思ったが、良い紙とインクを使っているためだろう。字も一字一句正確に読むことが出来た。
「これは一体、いかなる所存でございましょうか」
ドロシーの顔色が変わった。
「私はあなたを母と呼ぶつもりはございません」
文官が持って来たのは、養子縁組手続きの届け出だった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
虐げられた聖女は精霊王国で溺愛される~追放されたら、剣聖と大魔導師がついてきた~
星名柚花
恋愛
聖女となって三年、リーリエは人々のために必死で頑張ってきた。
しかし、力の使い過ぎで《聖紋》を失うなり、用済みとばかりに婚約破棄され、国外追放を言い渡されてしまう。
これで私の人生も終わり…かと思いきや。
「ちょっと待った!!」
剣聖(剣の達人)と大魔導師(魔法の達人)が声を上げた。
え、二人とも国を捨ててついてきてくれるんですか?
国防の要である二人がいなくなったら大変だろうけれど、まあそんなこと追放される身としては知ったことではないわけで。
虐げられた日々はもう終わり!
私は二人と精霊たちとハッピーライフを目指します!
捨てられた元聖女ですが、なぜか蘇生聖術【リザレクション】が使えます ~婚約破棄のち追放のち力を奪われ『愚醜王』に嫁がされましたが幸せです~
鏑木カヅキ
恋愛
十年ものあいだ人々を癒し続けていた聖女シリカは、ある日、婚約者のユリアン第一王子から婚約破棄を告げられる。さらには信頼していた枢機卿バルトルトに裏切られ、伯爵令嬢ドーリスに聖女の力と王子との婚約さえ奪われてしまう。
元聖女となったシリカは、バルトルトたちの謀略により、貧困国ロンダリアの『愚醜王ヴィルヘルム』のもとへと強制的に嫁ぐことになってしまう。無知蒙昧で不遜、それだけでなく容姿も醜いと噂の王である。
そんな不幸な境遇でありながらも彼女は前向きだった。
「陛下と国家に尽くします!」
シリカの行動により国民も国も、そして王ヴィルヘルムでさえも変わっていく。
そしてある事件を機に、シリカは奪われたはずの聖女の力に再び目覚める。失われたはずの蘇生聖術『リザレクション』を使ったことで、国情は一変。ロンダリアでは新たな聖女体制が敷かれ、国家再興の兆しを見せていた。
一方、聖女ドーリスの力がシリカに遠く及ばないことが判明する中、シリカの噂を聞きつけた枢機卿バルトルトは、シリカに帰還を要請してくる。しかし、すでに何もかもが手遅れだった。
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
傷跡の聖女~武術皆無な公爵様が、私を世界で一番美しいと言ってくれます~
紅葉山参
恋愛
長きにわたる戦乱で、私は全てを捧げてきた。帝国最強と謳われた女傑、ルイジアナ。
しかし、私の身体には、その栄光の裏側にある凄惨な傷跡が残った。特に顔に残った大きな傷は、戦線の離脱を余儀なくさせ、私の心を深く閉ざした。もう誰も、私のような傷だらけの女を愛してなどくれないだろうと。
そんな私に与えられた新たな任務は、内政と魔術に優れる一方で、武術の才能だけがまるでダメなロキサーニ公爵の護衛だった。
優雅で気品のある彼は、私を見るたび、私の傷跡を恐れるどころか、まるで星屑のように尊いものだと語る。
「あなたの傷は、あなたが世界を救った証。私にとって、これほど美しいものは他にありません」
初めは信じられなかった。偽りの愛ではないかと疑い続けた。でも、公爵様の真摯な眼差し、不器用なほどの愛情、そして彼自身の秘められた孤独に触れるにつれて、私の凍てついた心は溶け始めていく。
これは、傷だらけの彼女と、武術とは無縁のあなたが織りなす、壮大な愛の物語。
真の強さと、真実の愛を見つける、異世界ロマンス。
婚約破棄されましたが、おかげで聖女になりました
瀬崎由美
恋愛
「アイラ・ロックウェル、君との婚約は無かったことにしよう」そう婚約者のセドリックから言い放たれたのは、通っていた学園の卒業パーティー。婚約破棄の理由には身に覚えはなかったけれど、世間体を気にした両親からはほとぼりが冷めるまでの聖地巡礼——世界樹の参拝を言い渡され……。仕方なく朝夕の参拝を真面目に行っていたら、落ちてきた世界樹の実に頭を直撃。気を失って目が覚めた時、私は神官達に囲まれ、横たえていた胸の上には実から生まれたという聖獣が乗っかっていた。どうやら私は聖獣に見初められた聖女らしい。
そして、その場に偶然居合わせていた第三王子から求婚される。問題児だという噂の第三王子、パトリック。聖女と婚約すれば神殿からの後ろ盾が得られると明け透けに語る王子に、私は逆に清々しさを覚えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる