鬼畜ゲーとして有名な世界に転生してしまったのだが~ゲームの知識を活かして、家族や悪役令嬢を守りたい!~

ガクーン

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成長の成果 その3

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~アルザニクス家の屋敷~

 屋敷へと帰宅したアルスは、護衛二人と別れ、屋敷の使用人にエバンの居場所を聞いて回る。

「エバンさんですか? それならセバスさんと一緒に庭にいるはずですよ」

 使用人の一人により、庭にエバンがいるという情報を得て、庭へと向かう。

~アルザニクス家、庭~

 庭へと到着し、辺りを見渡すと、花壇の近くでエバンがセバスと会話をしているのを発見した。

「おーい、エバン」

 エバンを大声で呼ぶ。

 アルスの声に反応したエバンがセバスに小さく頭を下げると、急いでアルスの側へと走ってくる。

「アルス様! いったい何用で?」

 エバンは使用人の服を綺麗に着こなしており、急いだ時に乱れた部分を正すと、アルスへ問いかけた。

「エバンってもう、一通りの従者の仕事を覚えたよね?」

「はい。セバスさんにはお墨付きを頂いたので問題ないです」

 もうお墨付きまでいったか。中々の速さだ。

「ならよかった。今からある場所に行こうと思ってるんだけど、一緒に付いてきてくれないかな?」

「もちろんです! どこでもお供します」

 エバンは嬉しそうにそう答えると、アルスは近くまで歩いてきていたセバスへあることを聞く。

「ねぇ、セバス」

「何でしょう?」

「エバンを護衛に付けるんだったらさ、2人も護衛いらないよね」
 
「はい。昨晩、サラ様もエバンを護衛に付けるなら良いと仰っておられたので、問題ないです」

 流石セバス。話が早い。それに、もうお母様の目に留まっただなんて、エバンもやるな。

「分かった。じゃあエバン、いこうか」

 今度から堂々とエバンと二人で外出が出来るなと内心喜びながら、また町へと繰り出すのだった。



~町へ向かう道中~

「ねぇ、エバン。屋敷で働いてる兵の中でエバンより強い人はもういない?」

 ふと気になった事をエバンへ聞く。 

「そうですね。剣での勝負でしたら屋敷でお勤めになっていらっしゃる方々には勝てますね」

「へぇー、もうそんなに強くなったんだ」

 凄いな。屋敷に努める兵たちも、決して弱くは無いのに。

 アルスは期待した様子で鑑定眼鏡をかけると、エバンへと振り向き、鑑定を始める。

 そこへ、表示されたのは。



 名前 :エバン
 
 武力 :67/80
 統率 :51/73
 剣術 :67/80
 槍術 :16/62
 騎術 :03/71
 弓術 :11/71
 盾術 :35/79
 体術 :42/72
 隠術 :22/68
 
 智力 :62/82
 政治 :42/83
 魅力 :50/86
 忠誠 :100
 野望 :12

 突破 :0/3
 成長 :S


 
 ううん? 俺の見間違いか?

 1ヶ月では到底上がりえない、ステータスの上昇を目の当たりにしたアルス。

 この現実が信じられず、もう一度鑑定を行う。

「やっぱり見間違えじゃ無かったか……」

 先ほどと変わらずのステータスを目の当たりにし、驚きを通り越して、あきれる。

 おいおい……
 どんなステータスの上昇の仕方だよ。
 
 1ヶ月で武力の上昇値が45なんて……、前世の記憶を遡っても類を見ない上り幅だぞ? 

 ってか、智力の値も50上昇してるし……、エバン。規格外すぎる。

 前世でも見たことないようなステータスの上昇値に興奮しつつ、エバンの規格外さを改めて実感する。

 そんなアルスの反応を目の当たりにしたエバンが。

「あの、アルス様? 私が何かしてしまいましたか?」

 アルスが突然眼鏡をかけて、ジロジロ観察してきたと思ったら、突然驚きandため息からの嬉しそうな表情。

 表情の移り変わりの変化に、何か自分がしてしまったのかと心配になったエバンは、アルスへと恐る恐る質問したのだった。

「そんなことないよ! たださ、エバンが強くなったなって思ってさ」

 慌てて答えるアルス。

「そうでしょうか……。以前よりも実力が上ったとは思いますが、上には上がいますし……」

 向上心の化け物か。
 素直に喜んでもいいだろ……まぁ、それがエバンの良さでもあるか。

「十分私の期待に応えてくれてるよ。これからもこの調子で頼む」

「もちろんです! もし私の事で何かアルス様がお気に召さないことがあれば言ってください。すぐに直しますので! ですが……それでもお気に召さなければ、出ていく事も……」

「そんなことないって! 一生私のそばにいてくれ!」

 エバン……、何処に闇落ち起爆スイッチがあるか分からない奴だな。

「アルス様! 私に一生いてくれだなんてそんな……」

 カッコいい顔をデレさせながら顔を隠すエバン。

 勘弁してくれ……。
 俺にその気はないぞ。

「ゴホン、エバン。もうすぐ着くから話しておくが、今から行く場所に待っている人たちは、これからも私が懇意にしたいと思っている相手方だから、くれぐれも粗相だけはしないように」

 アルスがわざと咳をし、話題を逸らすために、そのように言う。

「はい。分かりました」

 さっきまでの表情から一転。
 気を引き締めた様子で、エバンは返事をする。

 これで大丈夫だなと思ったアルスは、懐から手紙を取り出し、もう一度内容を確認する。

 この手紙にはゼンブルグ商会のロゴマークが押し印されていた。

 たまに偽物が流通していると聞いたこともあるが、今回は本物に間違いない。

 前世に何度も見てきたモノだったので、偽物かどうかの判断は容易につくしな。


 そんな商会からの手紙には記してあったのはたった一文。

【今日中に会いましょう】

 それだけだった。

 今回もアイリスがいるのだろうか?

 もし、アイリスがいたとしても、あの少女もいるだろうし……

 アルスは相手の予想や、どうなるか等を思考する。

 だが、俺にとって一番重要なのは情報の金額だ。

 少なくとも聖金貨に届くと思うが、もうすぐ行われる王都の裏オークションに行きたい俺にとっては、最低聖金貨10枚は欲しい所だ。

 王都裏オークション。
 王国中の違法な商品や、裏で流通するような危ないモノが一斉に集まる、王国一大イベントの一つだ。

 国からは一定の監視の目は向けられているが、裏で支援している貴族たちの力が思ったよりも強く、出るに出られない状況なため、国が出しゃばってくることは一切ない。

 ただ、危険な状況に陥っても国が助けてくれる事は無いがな。

 アルスは王都裏オークションの事を思い出しつつ、情報がどれほどの金額になったのかを予想しながら歩いていると……

「火飲み蛇の旗……、アルス様。目的地に着きました」

 1ヶ月前とは打って変わって、周囲に人気は感じられない。

 前回はいた、扉を守る門番すらもいなかった。

「開けてくれ」

「はい。私が先に」

 エバンが扉を開け、アルスを誘導する様に先が見えない暗闇に入って行くエバン。そんなエバンの背中を見失わよう、アルスも続いて中へと進んでいくのだった。
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