鬼畜ゲーとして有名な世界に転生してしまったのだが~ゲームの知識を活かして、家族や悪役令嬢を守りたい!~

ガクーン

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王都裏オークション メインステージ後編 その2

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~1時間後~

「フラグを回収してしまった……」

 アルスの悪い感は的中し、4品目までアルスが望んでいた物は出品されず、歴史的に価値があるとされる物ばかりが出品された。


 運命を変える剣に天使が落としたとされる羽。そして偉大な賢者の杖と続いて……

 アルスは顔を赤くし、プルプルと震える。

「最後に至ってはただの鏡じゃないか!」

 そして溜まりに溜まった感情をその場で爆発させた。

 ステージ上にはアルスにとってガラクタに等しい品ばかりが並ぶ。

「違う……。俺が望んでいたアイテムはそんなのじゃない……。もっと攻略に役立つアイテムを出品してくれ!」

 アルスは涙目になりながらステージを睨む。


 そんなアルスの不満をよそにエバンは興奮した様子で。

「アルス様。あの鏡はただの鏡ではありませんよ。あれはですね……」

 口早にステージ上にある鏡の良さを熱弁する。

「エバン。止めてあげな……」

 何故かいつもと立場が逆転しているエバンとミネルヴァはさておき、王都裏オークションのメインステージも残り一品を残す所となった。


『皆様。このオークションも最後を残すのみとなりました。そんな王都裏オークションのラストを飾りますのは……』

 またしてもステージ上が暗転し、中央へスポットライトが当てられる。

「あれは……」

 会場が静まり返る中、一つの品が運び込まれてくる。

 
 どうせまたガラクタなんだろうな……

 アルスは運ばれてくる品に視線を向けず、ボーっと天井を見上げている。


『アーサー家の秘宝である、首飾りです!』


「アーサー家だって?」

 ボーっとしていたアルスがあるキーワードに反応を示す。


 ふと興味が湧いてきたアルスは姿勢を正し、ステージ上へ視線を向ける。


 アーサー家と言ったらグレシアス最強の男、アーサー・フォン・アルフレッドが所属する一門じゃないか。



~アーサー・フォン・アルフレッド~

 グレシアス最強として名高い男。そして、一国の軍とも対等に渡り合えると言われている軍力を有する、威厳高きアーサー家の長男でもある。

 この男は既に世界で名の知られた強者であり、一番有名なエピソードで戦場にアーサーが姿を現すと、その体から発するオーラに兵たちが恐れをなし、争いがピタッと止んだという伝説も残した現代を生きる英雄である。

 そんな化け物を有するアーサー家は現在、アーサー・フォン・アルフレッドを長男とし、男6人。女4人の計10名の子供に恵まれたのだが、皆化け物と言っていいほどに強く、アーサー家の歴史上最強の世代とも言われている。




『この首飾りはアーサー家の当主が会談等の重要事の際に必ず身に付けていったとされる一品で、非常に価値のある品です』

 そのような説明と共に現れたのは、金の装飾に所々、人間の目をモチーフとしたような彫刻が施されている首飾りだった。


「最後も駄目だったかね」

 ミネルヴァは首飾りを一瞥して、アルスの方へ顔を向けると。

「あれは……こんな所にあったなんて……」

 アルスは席を立ちあがり、首飾りを注目する。


「アルス様もあの首飾りの価値が分かるのですか! 流石です!」

 
 あぁ。分かる。分かるとも。

 ゲームで何度もお世話になったアイテムだからな……


 アルスが前世を思い出し、懐かしみを覚える中。

『この首飾りも同様に聖金貨1枚からスタートです!』

 司会者が言い放った一言と共に値段が吊り上がっていく。


 3枚……、4枚……、5枚……

 アルスは吊り上がっていく値段を心の中で数え、ある瞬間をひたすらに待つ。

『聖金貨6枚と大金貨3枚! これ以上出すという方。他にいらっしゃいますでしょうか』


「もう聖金貨6枚かい。凄いね」

「歴史的価値を考えてもこのぐらいは当然の事です」


 ミネルヴァ達が首飾りに対して意見を述べる中、アルスは突然……
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