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王都裏オークション メインステージ後編 その1
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それからアルスはオークションでめぼしいアイテムが無いかと気を張っていたが、鑑定指輪以降に収穫は無く、オークションの品は残すところあと5品となっていた。
『皆様! 長らくお付き合いいただきました、王都裏オークションメインステージの品も残り5つとなりました! もちろん、最後の5品はこれまでのモノ以上に凄い品ばかりなのですが、皆様もお気づきの通り、出品一覧表には一切情報を公開しておりません……。おっと、まさに今、それらのお披露目の準備が出来たと連絡が入りました! では、登場してもらいましょう』
司会者のトークと共に、オーケストラの楽団員たちが演奏を始める。
初めはゆったりとした曲調から一転、激しいテンポのリズムで演奏が進むと突然、音楽が終わると同時に会場が闇に包まれ、少し遅れて両脇からメインステージの中央に複数のスポットライトが当てられる。
『それでは皆様! 一品目の登場です!』
司会者の後ろから甲冑を着た兵に押されて運ばれてきたのは、頑丈なケースの中に丁寧に立てかけてある、煌びやかな装飾を纏った、一振りの剣であった。
「あっ、あれは!」
その剣がステージに登場した瞬間、エバンが驚きの声を漏らし、大勢の客の歓声が会場を包み込む。
「うん? みんなどうしたんだ?」
一方アルスはその状況が理解できないでいた。
派手だけが取り柄のいたって何の機能性も無い、ただのハリボテな剣じゃないか。
アルスはいたって冷静に登場した剣の評価をする。
まぁ、見た目が良いのは認めよう。だが、こんな歓声を浴びるほどのモノか?
そして周囲を見回し、ため息をつく。
「アルス様! あれは歴史の本でも度々登場する、持ち主の運命を変えてしまうとされている剣ですよ!」
そんなアルスに対し、エバンが興奮気味で答える。
「私もその本を見たことがあるけど、本当に実在したんだね」
ミネルヴァは酒を飲むのを止めて、ステージ上の剣に注目する。
「運命を変える?」
あの剣が?
アルスは笑うのを我慢しながら、深く椅子にもたれ掛かった。
『聖金貨1枚からのスタートです!』
アルスが訝しげな視線を剣に送る間に、司会者が競売の開始を告げるとともに、うなぎ登りに値段が跳ね上がっていく。
運命を変えるって……あんな剣一本で変えられれば苦労しないよ。
アルスが呆れている間にも値段はどんどん上昇していき。
『皆様! こんなビックチャンス滅多にありませんよ! ぜひ、今の機会に落札をご考えください!』
司会者の上手いトークにより、会場に熱が帯びていく。
「聖金貨8枚を超えたね……」
「当り前です! あの剣を見られるだけでも幸運……」
「8枚……?」
それぞれが違う反応を見せる間にも……
『これ以上の値段を付ける方は……居なさそうですね。では、聖金貨10枚で落札になります!』
聖金貨10枚という、驚くべき金額で落札された。
「へっ? あ、あんなのに聖金貨10枚!?」
ガタっ!
アルスは驚きのあまり、体勢を崩し椅子から落ちてしまう。
「アルス様大丈夫ですか! お怪我などしてないですか!?」
傍らにいたエバンが慌ててアルスを起こして、服に付いたほこりなどを払う。
「あ、ありがとうエバン」
「それにしてもいい驚きっぷりだったね」
ミネルヴァが大笑いしながらアルスの背中を弱くたたく。
「そりゃ驚きますよ。あんなのに聖金貨10枚なんて……。もしかして、他の4品もあんなのばっかりじゃないですよね?」
フラグじゃないからな……
アルスは無意識に放った言葉がフラグとならないようにと天へ祈るが……
『皆様! 長らくお付き合いいただきました、王都裏オークションメインステージの品も残り5つとなりました! もちろん、最後の5品はこれまでのモノ以上に凄い品ばかりなのですが、皆様もお気づきの通り、出品一覧表には一切情報を公開しておりません……。おっと、まさに今、それらのお披露目の準備が出来たと連絡が入りました! では、登場してもらいましょう』
司会者のトークと共に、オーケストラの楽団員たちが演奏を始める。
初めはゆったりとした曲調から一転、激しいテンポのリズムで演奏が進むと突然、音楽が終わると同時に会場が闇に包まれ、少し遅れて両脇からメインステージの中央に複数のスポットライトが当てられる。
『それでは皆様! 一品目の登場です!』
司会者の後ろから甲冑を着た兵に押されて運ばれてきたのは、頑丈なケースの中に丁寧に立てかけてある、煌びやかな装飾を纏った、一振りの剣であった。
「あっ、あれは!」
その剣がステージに登場した瞬間、エバンが驚きの声を漏らし、大勢の客の歓声が会場を包み込む。
「うん? みんなどうしたんだ?」
一方アルスはその状況が理解できないでいた。
派手だけが取り柄のいたって何の機能性も無い、ただのハリボテな剣じゃないか。
アルスはいたって冷静に登場した剣の評価をする。
まぁ、見た目が良いのは認めよう。だが、こんな歓声を浴びるほどのモノか?
そして周囲を見回し、ため息をつく。
「アルス様! あれは歴史の本でも度々登場する、持ち主の運命を変えてしまうとされている剣ですよ!」
そんなアルスに対し、エバンが興奮気味で答える。
「私もその本を見たことがあるけど、本当に実在したんだね」
ミネルヴァは酒を飲むのを止めて、ステージ上の剣に注目する。
「運命を変える?」
あの剣が?
アルスは笑うのを我慢しながら、深く椅子にもたれ掛かった。
『聖金貨1枚からのスタートです!』
アルスが訝しげな視線を剣に送る間に、司会者が競売の開始を告げるとともに、うなぎ登りに値段が跳ね上がっていく。
運命を変えるって……あんな剣一本で変えられれば苦労しないよ。
アルスが呆れている間にも値段はどんどん上昇していき。
『皆様! こんなビックチャンス滅多にありませんよ! ぜひ、今の機会に落札をご考えください!』
司会者の上手いトークにより、会場に熱が帯びていく。
「聖金貨8枚を超えたね……」
「当り前です! あの剣を見られるだけでも幸運……」
「8枚……?」
それぞれが違う反応を見せる間にも……
『これ以上の値段を付ける方は……居なさそうですね。では、聖金貨10枚で落札になります!』
聖金貨10枚という、驚くべき金額で落札された。
「へっ? あ、あんなのに聖金貨10枚!?」
ガタっ!
アルスは驚きのあまり、体勢を崩し椅子から落ちてしまう。
「アルス様大丈夫ですか! お怪我などしてないですか!?」
傍らにいたエバンが慌ててアルスを起こして、服に付いたほこりなどを払う。
「あ、ありがとうエバン」
「それにしてもいい驚きっぷりだったね」
ミネルヴァが大笑いしながらアルスの背中を弱くたたく。
「そりゃ驚きますよ。あんなのに聖金貨10枚なんて……。もしかして、他の4品もあんなのばっかりじゃないですよね?」
フラグじゃないからな……
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