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アメリア・ゾル・ウィンブルグ その1
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「ジーヴァ・ゾル・ウィンブルグ様、エルサ・ゾル・ウィンブルグ様、アメリア・ゾル・ウィンブルグ様。入場いたします!」
口上役の兵が会場に響き渡る声量で、王国内に大きな影響力を持つ4大貴族の一つである、ウィンブルグ一家の名を読み上げる。
「アルス。あそこにいるのが俺達と同じ4大貴族の一つで主に政治を司る、ウィンブルグ家って言うんだ。これからの王国を共に守っていく大事な仲間として今から……」
ガイルはウィンブルグ家御一行がやってくる方角を指さし、アルスへと話しかけるが返事がない。
「うん、アルス? どうしたんだ?」
疑問を覚え振り向くと、アルスが涙を零していることに気が付く。
「あっ、いえ、何でもないです」
アルスは涙を拭きながら答える。
「何かあったの? 辛いなら無理しなくていいのよ?」
サラが心配そうに声をかける。
「本当に大丈夫です。むしろ、俄然やる気が出てきました」
「そ、そうか?」
アルスの突然のやる気宣言に困惑気味のガイルとサラ。
そんな緊張の欠片もない、アルス達の元へある人物が迫っていた。
「やぁガイル」
え? この人は……
「おぉ、ジーヴァじゃないか!」
アルスの知らぬ間にこちらまで歩いてきていたウィンブルグ家当主。ジーヴァ・ゾル・ウィンブルグが冷たい視線をガイルに向けていた。
「久しぶりだね。元気そうで良かったよ」
全然気持ちがこもってないな……
アルスの第一印象は、何だか冷たそうな人だな。であった。
ジーヴァは垂れ下がってきていた黒髪を鬱陶しげに右手で上げると、一切表情を変えずにガイルへと話を続ける。
「お前こそ相変わらずだな」
対照的にガイルは久しぶりに親友に会えたかのように破顔し、ジーヴァの肩を叩く。
「痛っ……僕に会うたび、そうやって肩を叩くの止めてくれないかな」
「ははっ、良いじゃねぇか。俺とお前の仲なんだからさ」
何だかお父様と親しげだな。それに二人は太陽と月に見える。
もちろん、皆を照らすような明るいガイルが太陽で冷たいながらも皆を見守ってそうなジーヴァが月だ。
「そんな仲になった覚えもないけどね……。そこにいるのが君の子かい?」
ジーヴァはこれ以上叩かれたらたまんないといった表情で、ガイルから距離を置くと、ふとアルスが視界に入ったのか、何もかもを吸い込むかのような黒い瞳で、品定めするかのように睨みつける。
「そうだが……息子をそうやって睨みつけないでくれるか? ほら、アルスも驚いている」
「別に睨みつけている訳じゃないんだが……気に障ったなら謝るよ。アルスと言ったな? 済まなかった」
ジーヴァは小さなため息をつくと、アルスへ謝る。
意外にいい人なのかもな。他人に注意され、自分に非があるのを認められる人なんだから……
初めの印象は最悪で、怖がっていたアルスだったが、会話を聞くにつれ、コミュニケーション苦手な方なんだなと勝手に人物像を膨らませていく。
「私は気にしていませんから大丈夫です!」
「そうか。なら良いんだが」
ジーヴァは一言返事を返すと、急にアルスに興味が無くなったのか、またガイルへと振り向く。
「そう言えばガイル……」
「ん? なんだ?」
こうしてガイルとジーヴァ。サラとジーヴァの妻、エルサがそれぞれ会話に花を咲かせ始めた時。
「あの……」
アルスに声をかける人物がいた。
「は、はい!」
こ、この声は……
アルスはその声から、一瞬で主を予想する。
不意を突かれたアルスはロボットの様にカクカクとした動きで相手へと振り向き。
あ……アメリア。
こうしてアルスは長年思い続けていた人物とようやく、対面を果たしたのだった。
口上役の兵が会場に響き渡る声量で、王国内に大きな影響力を持つ4大貴族の一つである、ウィンブルグ一家の名を読み上げる。
「アルス。あそこにいるのが俺達と同じ4大貴族の一つで主に政治を司る、ウィンブルグ家って言うんだ。これからの王国を共に守っていく大事な仲間として今から……」
ガイルはウィンブルグ家御一行がやってくる方角を指さし、アルスへと話しかけるが返事がない。
「うん、アルス? どうしたんだ?」
疑問を覚え振り向くと、アルスが涙を零していることに気が付く。
「あっ、いえ、何でもないです」
アルスは涙を拭きながら答える。
「何かあったの? 辛いなら無理しなくていいのよ?」
サラが心配そうに声をかける。
「本当に大丈夫です。むしろ、俄然やる気が出てきました」
「そ、そうか?」
アルスの突然のやる気宣言に困惑気味のガイルとサラ。
そんな緊張の欠片もない、アルス達の元へある人物が迫っていた。
「やぁガイル」
え? この人は……
「おぉ、ジーヴァじゃないか!」
アルスの知らぬ間にこちらまで歩いてきていたウィンブルグ家当主。ジーヴァ・ゾル・ウィンブルグが冷たい視線をガイルに向けていた。
「久しぶりだね。元気そうで良かったよ」
全然気持ちがこもってないな……
アルスの第一印象は、何だか冷たそうな人だな。であった。
ジーヴァは垂れ下がってきていた黒髪を鬱陶しげに右手で上げると、一切表情を変えずにガイルへと話を続ける。
「お前こそ相変わらずだな」
対照的にガイルは久しぶりに親友に会えたかのように破顔し、ジーヴァの肩を叩く。
「痛っ……僕に会うたび、そうやって肩を叩くの止めてくれないかな」
「ははっ、良いじゃねぇか。俺とお前の仲なんだからさ」
何だかお父様と親しげだな。それに二人は太陽と月に見える。
もちろん、皆を照らすような明るいガイルが太陽で冷たいながらも皆を見守ってそうなジーヴァが月だ。
「そんな仲になった覚えもないけどね……。そこにいるのが君の子かい?」
ジーヴァはこれ以上叩かれたらたまんないといった表情で、ガイルから距離を置くと、ふとアルスが視界に入ったのか、何もかもを吸い込むかのような黒い瞳で、品定めするかのように睨みつける。
「そうだが……息子をそうやって睨みつけないでくれるか? ほら、アルスも驚いている」
「別に睨みつけている訳じゃないんだが……気に障ったなら謝るよ。アルスと言ったな? 済まなかった」
ジーヴァは小さなため息をつくと、アルスへ謝る。
意外にいい人なのかもな。他人に注意され、自分に非があるのを認められる人なんだから……
初めの印象は最悪で、怖がっていたアルスだったが、会話を聞くにつれ、コミュニケーション苦手な方なんだなと勝手に人物像を膨らませていく。
「私は気にしていませんから大丈夫です!」
「そうか。なら良いんだが」
ジーヴァは一言返事を返すと、急にアルスに興味が無くなったのか、またガイルへと振り向く。
「そう言えばガイル……」
「ん? なんだ?」
こうしてガイルとジーヴァ。サラとジーヴァの妻、エルサがそれぞれ会話に花を咲かせ始めた時。
「あの……」
アルスに声をかける人物がいた。
「は、はい!」
こ、この声は……
アルスはその声から、一瞬で主を予想する。
不意を突かれたアルスはロボットの様にカクカクとした動きで相手へと振り向き。
あ……アメリア。
こうしてアルスは長年思い続けていた人物とようやく、対面を果たしたのだった。
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