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第一章 出会い
第1話 家出
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何で、こんなことになったんだろう。
狭い部屋の畳の上に転がされた僕は、荒い呼吸を繰り返していた。体のあちこちが痛い。どこが、どうなっているのだろう。考えたくもなかった。
薄ら笑いを浮かべた同級生が、僕の顔を覗き込むようにして見ながら頬を撫でてきた。ほてっていた体が一気に冷えて、鳥肌が立った。
「どうだ、真? 良かったか? もっと、してやってもいいんだぜ。したいの、ずっと我慢してたんだろう」
ははは、と馬鹿にしたように笑う。何も言い返せない僕は、ただ同級生から目をそらした。
「おい。こっち向け」
怒ったように言うと、僕の顔を無理矢理自分の方へ向けた。首が痛かったが、やはり何も言えなかった。
「真ちゃんよ。もっとしてくださいって言えよ」
頬をペチペチと叩いてくる。口元は笑んでいるが、目は僕を睨んでいた。早く逃げなきゃ、と思い体を少し動かすと、
「寝てろよ。勝手に動くな」
身を乗り出して、僕を押さえつけようとして、一瞬不安定な姿勢になった。
今しかない。そう思った僕は体を勢いよく起こして、同級生を突き飛ばした。こんなことをしたのは、生まれて初めてだ。そのことに動揺して、短い呼吸を繰り返した。
同級生は僕の反撃に、「お」と声を上げた。体勢を大きく崩して畳に転がると、壁に頭を打ち付けてしまった。大きな音がして、思わずビクッとしてしまう。同級生は体を少し起こすと、打った場所を撫でながら、「痛ーっ」と、うなっている。
痛みからか、それ以上動けないらしいのを目で確かめると、僕は脱がされた服を急いで身に着けて、部屋を飛び出した。動けるようになったら、何をされるかわからない。さっきよりも、もっとひどい目に合わされるかもしれない。
その思いが、僕を、走りに走らせた。同級生の家から三軒先が僕の家だ。たったそれだけの距離なのに、家に着いた時は、ハーハーと大きな呼吸を繰り返していた。
幸い、家の中には誰もいないようで、静まり返っていた。僕は、階段を駆け上って二階の自分の部屋に行くと、バッグに次々と必要な物を入れていった。そして、それが済むと、バッグを肩に掛けて、再び走り出した。
家から駅まで徒歩十五分の距離だが、ほとんど走りっぱなしだった。僕の人生の中で、多分、一番走ったと思う。それくらい頑張った。
券売機の前で呼吸を整えると、バッグから財布を出した。普段そんなにお金を使わないので、夏休みだというのに、お年玉がまだそのままそこに入っている。それと、高校に入学したので、お祝い金を父からもらったが、それも入っていた。
なるべく遠くに行こう。それなら、東京に行ってみよう。東京に行けば、何かが変わるかもしれない。
そう思って、『東京』と書いてある所の金額を確認して切符を買った。改札口を入ってすぐに、電車が入ってきた。ドアが開いて、人が何人か降りてくる。その中に、知っている顔はなかった。安心から、思わず大きく息を吐き出した。
空いている席に腰を下ろすと同時に、電車が動き出した。見るともなしに、窓の外に目をやっていたが、それも長くは続かなかった。
同級生とのいろいろや、走りっぱなしだったことなんかが僕を疲れさせていて、五分もしないうちにまぶたを閉じてしまった。
狭い部屋の畳の上に転がされた僕は、荒い呼吸を繰り返していた。体のあちこちが痛い。どこが、どうなっているのだろう。考えたくもなかった。
薄ら笑いを浮かべた同級生が、僕の顔を覗き込むようにして見ながら頬を撫でてきた。ほてっていた体が一気に冷えて、鳥肌が立った。
「どうだ、真? 良かったか? もっと、してやってもいいんだぜ。したいの、ずっと我慢してたんだろう」
ははは、と馬鹿にしたように笑う。何も言い返せない僕は、ただ同級生から目をそらした。
「おい。こっち向け」
怒ったように言うと、僕の顔を無理矢理自分の方へ向けた。首が痛かったが、やはり何も言えなかった。
「真ちゃんよ。もっとしてくださいって言えよ」
頬をペチペチと叩いてくる。口元は笑んでいるが、目は僕を睨んでいた。早く逃げなきゃ、と思い体を少し動かすと、
「寝てろよ。勝手に動くな」
身を乗り出して、僕を押さえつけようとして、一瞬不安定な姿勢になった。
今しかない。そう思った僕は体を勢いよく起こして、同級生を突き飛ばした。こんなことをしたのは、生まれて初めてだ。そのことに動揺して、短い呼吸を繰り返した。
同級生は僕の反撃に、「お」と声を上げた。体勢を大きく崩して畳に転がると、壁に頭を打ち付けてしまった。大きな音がして、思わずビクッとしてしまう。同級生は体を少し起こすと、打った場所を撫でながら、「痛ーっ」と、うなっている。
痛みからか、それ以上動けないらしいのを目で確かめると、僕は脱がされた服を急いで身に着けて、部屋を飛び出した。動けるようになったら、何をされるかわからない。さっきよりも、もっとひどい目に合わされるかもしれない。
その思いが、僕を、走りに走らせた。同級生の家から三軒先が僕の家だ。たったそれだけの距離なのに、家に着いた時は、ハーハーと大きな呼吸を繰り返していた。
幸い、家の中には誰もいないようで、静まり返っていた。僕は、階段を駆け上って二階の自分の部屋に行くと、バッグに次々と必要な物を入れていった。そして、それが済むと、バッグを肩に掛けて、再び走り出した。
家から駅まで徒歩十五分の距離だが、ほとんど走りっぱなしだった。僕の人生の中で、多分、一番走ったと思う。それくらい頑張った。
券売機の前で呼吸を整えると、バッグから財布を出した。普段そんなにお金を使わないので、夏休みだというのに、お年玉がまだそのままそこに入っている。それと、高校に入学したので、お祝い金を父からもらったが、それも入っていた。
なるべく遠くに行こう。それなら、東京に行ってみよう。東京に行けば、何かが変わるかもしれない。
そう思って、『東京』と書いてある所の金額を確認して切符を買った。改札口を入ってすぐに、電車が入ってきた。ドアが開いて、人が何人か降りてくる。その中に、知っている顔はなかった。安心から、思わず大きく息を吐き出した。
空いている席に腰を下ろすと同時に、電車が動き出した。見るともなしに、窓の外に目をやっていたが、それも長くは続かなかった。
同級生とのいろいろや、走りっぱなしだったことなんかが僕を疲れさせていて、五分もしないうちにまぶたを閉じてしまった。
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