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未来編
第10話 決意表明
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翌朝、学校に行くと加津子は席に着いていた。相変わらず、登校するのが早いな、と感心した。
「加津子。おはよう」
私が挨拶すると、加津子は目を上げて、
「おはよう」
返事をしてくれた加津子の表情は、やはり暗い。が、私は、それは見なかったことにして加津子に近づくと、
「決めたよ」
私の唐突な言葉に、加津子は、「え?」と言った。私は、もう一歩加津子のそばへ進むと、
「これからのこと、決めた」
加津子は、私を見るばかりで、何も言わない。呼吸さえも止めているのではないかと思わされた。
「加津子。私は、劇団には入らない」
加津子のポーカーフェイスが崩れた。明らかに動揺している。
「嘘だろ。だって、あんなに有名な劇団から誘われたのに」
「有名かどうかは、私には問題じゃないの。私がどうしたいか、それだけ。私には、覚悟がない。それがわかった。だから、黒羽さんにそう伝える」
「もったいない。私なら、少しも迷わないのに」
私は頷きながら、
「そうだよね。加津子なら迷わない。でも、私は迷った。迷ったこと自体が、答えだったんだって、昨日ようやくわかった。少なくとも、今は演劇で身を立てるつもりは、ないの」
加津子は、しばらく黙って私を見ていた。私も、加津子をじっと見返していた。彼女は、頭を少し下げると、
「ごめん。私は、ミコに嫉妬してた。何で、私じゃないんだろうって。こんなにお芝居をやって生きていきたいと思ってるのにって。ごめん。そんなこと、ミコには関係ないのに。私の力不足なだけなのに。それを、ミコのせいにして。嫌な奴で、ごめん」
「加津子……」
俯く加津子の背中に手を回すと、ぎゅっと力を込めた。
「嫌な奴なんかじゃないよ。私は、加津子が大好きだからね」
何故だか涙がこぼれてきた。
「私、加津子を応援する。だから、私のことも応援してよね。大学の文学部に入って勉強するから。その先、どうなるかわからないけど、何にしても、私も頑張るから。一緒に、それぞれの道を目指して頑張ろう」
「ああ。そうだね。頑張ろう」
加津子の声も、何だか涙声だった。
「私、加津子とは、一生親友のつもりだから。覚悟しておいてね」
「何の覚悟だよ」
そう言って、加津子は小さく笑った。私も、自分で言っておいて、何だかおかしくなって、笑ってしまった。
「とにかく、加津子のこと、ずっと好きだからね」
加津子から離れると、自分の席に着いた。周りのクラスメイトが、私たちを見ていたけれど、そんなことはどうでも良かった。
心が穏やかになり、自然に笑顔になっていた。
「加津子。おはよう」
私が挨拶すると、加津子は目を上げて、
「おはよう」
返事をしてくれた加津子の表情は、やはり暗い。が、私は、それは見なかったことにして加津子に近づくと、
「決めたよ」
私の唐突な言葉に、加津子は、「え?」と言った。私は、もう一歩加津子のそばへ進むと、
「これからのこと、決めた」
加津子は、私を見るばかりで、何も言わない。呼吸さえも止めているのではないかと思わされた。
「加津子。私は、劇団には入らない」
加津子のポーカーフェイスが崩れた。明らかに動揺している。
「嘘だろ。だって、あんなに有名な劇団から誘われたのに」
「有名かどうかは、私には問題じゃないの。私がどうしたいか、それだけ。私には、覚悟がない。それがわかった。だから、黒羽さんにそう伝える」
「もったいない。私なら、少しも迷わないのに」
私は頷きながら、
「そうだよね。加津子なら迷わない。でも、私は迷った。迷ったこと自体が、答えだったんだって、昨日ようやくわかった。少なくとも、今は演劇で身を立てるつもりは、ないの」
加津子は、しばらく黙って私を見ていた。私も、加津子をじっと見返していた。彼女は、頭を少し下げると、
「ごめん。私は、ミコに嫉妬してた。何で、私じゃないんだろうって。こんなにお芝居をやって生きていきたいと思ってるのにって。ごめん。そんなこと、ミコには関係ないのに。私の力不足なだけなのに。それを、ミコのせいにして。嫌な奴で、ごめん」
「加津子……」
俯く加津子の背中に手を回すと、ぎゅっと力を込めた。
「嫌な奴なんかじゃないよ。私は、加津子が大好きだからね」
何故だか涙がこぼれてきた。
「私、加津子を応援する。だから、私のことも応援してよね。大学の文学部に入って勉強するから。その先、どうなるかわからないけど、何にしても、私も頑張るから。一緒に、それぞれの道を目指して頑張ろう」
「ああ。そうだね。頑張ろう」
加津子の声も、何だか涙声だった。
「私、加津子とは、一生親友のつもりだから。覚悟しておいてね」
「何の覚悟だよ」
そう言って、加津子は小さく笑った。私も、自分で言っておいて、何だかおかしくなって、笑ってしまった。
「とにかく、加津子のこと、ずっと好きだからね」
加津子から離れると、自分の席に着いた。周りのクラスメイトが、私たちを見ていたけれど、そんなことはどうでも良かった。
心が穏やかになり、自然に笑顔になっていた。
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