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11.いざ、王宮へ
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11.いざ、王宮へ
王宮からの使者は、手紙に書いてあった通り、陽が暮れてからやってきた。
馬車がオルハウスの前に止まり、私は馬車に乗りこんだ。
御者は、私の知る、腕っぷしの強い騎兵団員だったが、馬車の中では、終始無言であった。
王宮に着くと、その騎兵団員に、王宮の間へと案内された。
「やあ、シャーロット、久しぶりだね、少し瘦せたかい?」
王宮の間に入ると、アルフレッドが私を迎えて言った。
アルフレッドの横には、アーニャが控え、王座にはアルバート王が座っていた。
アルフレッドはブロンドの髪を掻き上げ、皮肉そうに笑う。
アーニャはアルフレッドより一歩下がり、こちらに不敵な笑みを浮かべていた。
相変わらず、アルフレッドは後ろに下がった女が好きなのだ。
アーニャはそんなアルフレッドを熟知しており、操作しているようだった。
「私に用があると聞いてやってきた。要件はなんだ?」
私はできるだけ私的な感情を抑え、聞いた。
「要件は、大体、手紙に書いてある通りだよ。騎兵団員に税収に行かせても、君が邪魔をして、手ぶらで帰ってくることが続いていてね。それでなくても、以前からの、貧困による税の徴収は激減していて、困った問題になっている。これ以上減収になると、王宮の存続にも関わってくるからね。君に注意を促そうと思ってね。」
「何を言ってるんだ、今の民衆の飢えと病気の現状がわかってるのか?!まずは、王宮の備蓄庫から、食料と毛布、薬などを支援することが大切だろう!」
「はあ?もう話にならないね。昔から君は、頭が固く、綺麗ごとばかりをかかげる人だったね。もう、うんざりなんだよ。これ以上邪魔をするなら、この場で処分する。約束してくれないか?もう邪魔はしないと。」
「断る!!」
私は、王宮の間に響くほどの声を上げて叫んだ。
私たちの間に、一瞬の間、沈黙が走った。
アルフレッドはそれを確認してから、アーニャに目配せをしたのを見逃さなかった。
「シャーロット様、その節はお世話になりました。」
アーニャが私に近づき、一礼する。
途端に、あの、甘い香の匂いがしてくる。
アーニャは魔術を使い、私を操作しようとしているのがわかった。
「それをしても無駄だよ。」
私は不敵に笑った。
「?!」
「甘い香で惑わすという、その黒魔術の対策はしてきている。」
そう、私が何の対策もなくやって来たと思っているようだが、それは違った。
--ー---------------------------------------
<シャーロットの回想>
2日か前に遡り、私はダニエルに、元歌劇団にいた、アイリス=ブランドを紹介してもらった。
「私に何か御用ですか?シャーロットさん。」
アイリスは、丸顔でふくよか、おっとりとして優しい雰囲気を持つ人だった。
「反乱軍の訓練で大変なときに、呼び出してしまってすまない。」
「いえ、大切なシャーロットさんの頼みなら、何でも大丈夫です。」
「ありがとう、実は、歌劇団にいたマーシャを知ってると聞いた。お香の黒魔術について聞きたい。」
私は、王宮での、マーニャが使った、お香についてを詳しく話した。
アイリスはすべて聞き終わると、深々と頷いた。
「それは、人だけでなく、動物なども惑わす、かなり強い香の力です。香の力により、その人間の意識を支配し、自分の良いように操り人形にする術です。昔、マーシャが歌劇団にいたときに、気に入られた者は、彼女から黒魔術を学びました。マーニャはそれはそれは、マーシャに気に入られていて、特に力の強い魔術を学んでいたようです。」
「怖い術だな。香に支配された人間をどうしたら正気に戻せる?」
「私はあまりマーシャと深くかかわっていないので、わかりません。ただ、予防対策ならできます。」
「予防?」
「はい、「漲水」という聖なる水を飲めば、香の力に支配されません。私は1瓶持っているので、差し上げます。」
アイリスは、もしかしたら聖水が必要になることをわかっていたのかもしれない。準備良く、革袋から聖水の瓶を私に差し出してくれる。
「ありがとう、とても助かる。これがあれば、反乱軍が騎兵団に勝てるかもしれない。」
「いえ、こんなことしかできませんで、すみません。シャーロット様は、どうしてここまで反乱軍に力を入れてくださるのですか?」
アイリスは、純粋な目を私に向けて聞いた。
「私の中に、何かが生まれてきているんだ。」
「何かが生まれる?」
「今まで私は一人で生きて、誰にも頼れなかったが、ダニエルに会い、反乱軍に入ってから、初めて、仲間ができたように思う。うまく言えないが、今まで、ぽっかりと空いていた心の穴に、温かい湯が流れてきているような感じなんだ。」
「それは、愛というのかもしれないですね。」
アイリスは、私を包むように抱いてくれた。
愛?
私に愛が生まれているのか。なぜなんだ?
------------------------------------------
「そうですか、聖水の水を飲んだのですね。アイリス・・・・そんな子がいたかしら。」
声は静かだが、香の力が効かないことに、アーニャは眉を逆立たせ、苛立ちを隠せていない。
「香に力などなくとも、私がこの場で切り倒す!」
アルフレッドが剣を抜いてきたので、私もとっさに避けて剣を抜いた。
「お前は私には勝てない。」
私は、ますます不敵な笑みを浮かべて言った。
王宮からの使者は、手紙に書いてあった通り、陽が暮れてからやってきた。
馬車がオルハウスの前に止まり、私は馬車に乗りこんだ。
御者は、私の知る、腕っぷしの強い騎兵団員だったが、馬車の中では、終始無言であった。
王宮に着くと、その騎兵団員に、王宮の間へと案内された。
「やあ、シャーロット、久しぶりだね、少し瘦せたかい?」
王宮の間に入ると、アルフレッドが私を迎えて言った。
アルフレッドの横には、アーニャが控え、王座にはアルバート王が座っていた。
アルフレッドはブロンドの髪を掻き上げ、皮肉そうに笑う。
アーニャはアルフレッドより一歩下がり、こちらに不敵な笑みを浮かべていた。
相変わらず、アルフレッドは後ろに下がった女が好きなのだ。
アーニャはそんなアルフレッドを熟知しており、操作しているようだった。
「私に用があると聞いてやってきた。要件はなんだ?」
私はできるだけ私的な感情を抑え、聞いた。
「要件は、大体、手紙に書いてある通りだよ。騎兵団員に税収に行かせても、君が邪魔をして、手ぶらで帰ってくることが続いていてね。それでなくても、以前からの、貧困による税の徴収は激減していて、困った問題になっている。これ以上減収になると、王宮の存続にも関わってくるからね。君に注意を促そうと思ってね。」
「何を言ってるんだ、今の民衆の飢えと病気の現状がわかってるのか?!まずは、王宮の備蓄庫から、食料と毛布、薬などを支援することが大切だろう!」
「はあ?もう話にならないね。昔から君は、頭が固く、綺麗ごとばかりをかかげる人だったね。もう、うんざりなんだよ。これ以上邪魔をするなら、この場で処分する。約束してくれないか?もう邪魔はしないと。」
「断る!!」
私は、王宮の間に響くほどの声を上げて叫んだ。
私たちの間に、一瞬の間、沈黙が走った。
アルフレッドはそれを確認してから、アーニャに目配せをしたのを見逃さなかった。
「シャーロット様、その節はお世話になりました。」
アーニャが私に近づき、一礼する。
途端に、あの、甘い香の匂いがしてくる。
アーニャは魔術を使い、私を操作しようとしているのがわかった。
「それをしても無駄だよ。」
私は不敵に笑った。
「?!」
「甘い香で惑わすという、その黒魔術の対策はしてきている。」
そう、私が何の対策もなくやって来たと思っているようだが、それは違った。
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<シャーロットの回想>
2日か前に遡り、私はダニエルに、元歌劇団にいた、アイリス=ブランドを紹介してもらった。
「私に何か御用ですか?シャーロットさん。」
アイリスは、丸顔でふくよか、おっとりとして優しい雰囲気を持つ人だった。
「反乱軍の訓練で大変なときに、呼び出してしまってすまない。」
「いえ、大切なシャーロットさんの頼みなら、何でも大丈夫です。」
「ありがとう、実は、歌劇団にいたマーシャを知ってると聞いた。お香の黒魔術について聞きたい。」
私は、王宮での、マーニャが使った、お香についてを詳しく話した。
アイリスはすべて聞き終わると、深々と頷いた。
「それは、人だけでなく、動物なども惑わす、かなり強い香の力です。香の力により、その人間の意識を支配し、自分の良いように操り人形にする術です。昔、マーシャが歌劇団にいたときに、気に入られた者は、彼女から黒魔術を学びました。マーニャはそれはそれは、マーシャに気に入られていて、特に力の強い魔術を学んでいたようです。」
「怖い術だな。香に支配された人間をどうしたら正気に戻せる?」
「私はあまりマーシャと深くかかわっていないので、わかりません。ただ、予防対策ならできます。」
「予防?」
「はい、「漲水」という聖なる水を飲めば、香の力に支配されません。私は1瓶持っているので、差し上げます。」
アイリスは、もしかしたら聖水が必要になることをわかっていたのかもしれない。準備良く、革袋から聖水の瓶を私に差し出してくれる。
「ありがとう、とても助かる。これがあれば、反乱軍が騎兵団に勝てるかもしれない。」
「いえ、こんなことしかできませんで、すみません。シャーロット様は、どうしてここまで反乱軍に力を入れてくださるのですか?」
アイリスは、純粋な目を私に向けて聞いた。
「私の中に、何かが生まれてきているんだ。」
「何かが生まれる?」
「今まで私は一人で生きて、誰にも頼れなかったが、ダニエルに会い、反乱軍に入ってから、初めて、仲間ができたように思う。うまく言えないが、今まで、ぽっかりと空いていた心の穴に、温かい湯が流れてきているような感じなんだ。」
「それは、愛というのかもしれないですね。」
アイリスは、私を包むように抱いてくれた。
愛?
私に愛が生まれているのか。なぜなんだ?
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「そうですか、聖水の水を飲んだのですね。アイリス・・・・そんな子がいたかしら。」
声は静かだが、香の力が効かないことに、アーニャは眉を逆立たせ、苛立ちを隠せていない。
「香に力などなくとも、私がこの場で切り倒す!」
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