【完結】悪役令嬢の純愛

酒酔拳

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第九話

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 牢の門番は、ぐっすりと眠っていた。私たちは、順番に、足音をたてないように、階段を駆け上がり、城から脱出を成功させた。

「これから、どこに行きましょう?」

 リーキは、困ったように、腰をくねくねさせて言う。

「私の魔法の研究室兼アトリエがあります。秘密の場所だったので、隠し部屋になってます。どうでしょう?」

 確かに、もう城には戻れない。しばらくしたら、ダリアン王子に、脱出したことがバレるだろう。

「そうね。一度、研究室から必要なものをとってから、アニサス、何から何まで悪いのだけど、お願いしてもいいかしら?」

 私は、アニサスの申し出を有り難く受け取った。

「もちろんです!急ぎましょう!」

 アニサスは嬉しそうに頷いた。

 私たちは、急いで研究室に戻り、必要な資料や顕微鏡や小さな持ち運びできるコンピューターを持ち出した。

 再び城を出ると、アニサスは、私たちを誘導して、アトリエに案内してくれる。


 魔法研究室のアトリエは、ハルファス城下町の裏通りの地下にあった。 

 裏通りの廃墟となっている工場から、地下に続く階段を下りたところにアトリエの入り口があった。

「ここです。どうぞ」

 アニサスは、木のドアを開けて、中に招き入れてくれる。

 中に入ると、様々な数の薬草が花瓶や皿に入って置かれていた。それ以外に、魔法の古文書や研究本が本棚にずらりと並んでいた。

「すごいわね」

 私は、部屋の雰囲気に圧巻され、溜め息がでた。リーキも興味津々で本を手に取って読んでいる。

 魔法とは、人間が成し得ない様々な不思議な術を行うもの。呪術や魔術、幻術やまじない。。科学では説明できない力。

 本当に実在しているなんて、知らなかった。薬が効いている以上、信じないわけにはいかない。

「サーラさん、薬で熱を抑えているだけで、しばらくするとまた発熱します。ここで休んでください」

 アニサスは、部屋の隅にあるベッドを整えて、シーツを新しく敷いてくれる。

「ありがとう。まだ大丈夫。辛くなったら、休ませてもらうわ。まず、今まで起こったことを整理したいのだけど、いいかしら?」

「もちろんです。適当に椅子に座ってください」

 私は礼を言い、緑色のソファーに座らせてもらう。リーキも本をしまい、テーブルとセットになった椅子に腰を下ろした。

「まず、確認したいのは、今回の伝染病は、ダリアン王子が仕組んだものであり、ミンティア令嬢は頼まれた共犯者ってことで良いと思うわ」

 私は、頭を回転させ、一つずつ整理して話した。

「そして、それに気づいた私を殺そうとした。王子が気づいたら、すぐに追手が仕向けられる。ここで、私たちは、どうするか」

 私は、アニサスとリーキの緊張した顔を見て言った。

「私たちは、研究者よ。ワクチン開発を最後まで真っ当するしかないわ」

「でも、研究室にも使えず、どうやって?」

 リーキは、困惑した顔で聞く。

「この国に、私の味方はいない。この部屋でするしかないわ。必要なものは、持ってきたわ」

「それで、研究室に寄っていたのね!」

 リーキは納得した顔で言う。

「ただ、このウイルス、意志があるように動くから、抗体を作るのは難しいわ」

「そうですね。薬草で作った飲み薬は、一時的にしか効かないし、、どうしましょう?」

 アニサスは顔を曇らせて話した。

「私の血を使って、血清を作るのよそこから、ウイルスの抗体を作れる」

「そんなことしたら、サーラさんの命が危なくなります!」

 アニサスが顔を青ざめさせて言う。

 確かに、ウイルスに侵された体で、血清をとることは、免疫細胞が反応して、体内に攻撃する指令を出すことで、命の危険があった。

「それしか方法がないの」

 私の覚悟は決まっていた。

 あと、、、。

「あと、ダリアン王子を私は愛してます」

 私の突然の発言に、アニサスとリーキは一瞬、時を止まらせる。

「で、でも、サーラさんは、ダリアン王子に、殺されかけたんですよ?」

「そうですよ。それに、これからも、追手がやってくる。サーラさんを悪者にして、国中から追わせるようにするでしょう!」

 アニサスは、怒りに満ちた表情で、叫んだ。

「わかってる、わかってても、愛は止められないの。だから、お願いがあるの」

 私は、アニサスが魔法の研究をしていることを知ってから、考えていたことがあった。ダリアン王子を救いたかった。この方法しかないと、覚悟は決まっていた。

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