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タンジア王子の部屋に、カリューシャと弟子のダルが侵入をしたのは、その夜であった。
その夜、ミネアとランビーノもアルシア城に到着した。カリューシャはランビーノを城の屋根から見張っていた。
カリューシャは、皆が寝静まると、屋根の窓を、物音一つさせずに、静かに剣で割った。ダルと共に城内に侵入する。タンジアの護衛軍が部屋の前に控えていた。カルューシャが、一瞬で兵士の後ろに回り込んで腕を抑えた。ダルは、その隙に手作りの催眠剤を嗅がせる。瞬く間に兵士達は眠ってしまう。
カリューシャは、タンジアの部屋に忍び込む。タンジア王子は、カリューシャとダルの気配に気づき、剣を取ろうと起き上がる。
カリューシャは、タンジア王子が剣を取る、その隙を見逃さなかった。タンジア王子の剣を自ら奪い、タンジア王子の首に剣を斬りつけようとした。
(よし、もらった)
タンジアがほくそ笑んだその瞬間、ミネアがカリューシャの剣を払った。それは、風の如き速さであった。
不意をつかれ、カリューシャは王子から咄嗟に離れた。
その隙に、タンジア王子は、身を翻し、体勢を整えた。
(女?)
ミネアは、タンジア王子の前に出て、カリューシャから守った。タンジア王子は、ミネアの美しい横顔に、思わず見惚れてしまう。
(絹のような金髪、青い瞳、ふっくらとした紅い唇。美しい女だ)
カリューシャも女と知り、一瞬、目を見張る。その隙をミネアは見逃さなかった。ミネアの強みは、その風のような速さであった。
カリューシャも、只者ではない。ミネアの一太刀を瞬間にかわし、窓辺にまわった。
(この女、速い)
今まで、ミネアの名を知らなかったカリューシャは、相手を値踏みするように、暗闇から探った。
ミネアもカリューシャの息遣いを逃さぬように、目を閉じる。
(ここで、目をとじる?)
タンジアは、ミネアが目を閉じ、剣を構えたことに驚く。気流を読んでいるのだ。かなりの剣の達人だった。タンジアは、ミネアはランビーノの娘であり、剣士だとは思っていなかった。
カリューシャも目を閉じる。両者は、気の流れと気配から相手の存在を感じていた。カリューシャが、まずは一歩目を踏み出した。ミネアは瞬間に、カリューシャの剣を払う。稲妻のような太刀であった。カリューシャは、太刀から身を守るほうに態勢を整え、ふたたび、窓辺に着地した。
カリューシャは、慎重派であった。まずは、ミネアのことを調べなければいけないと、一旦は下がることを選んだ。窓を割り、口笛を吹いた。その瞬間、ダルが屋根から縄を飛ばした。
カリューシャは縄を受け取り、屋根へと飛んでいく。ミネアは、その後を追わなかった。
(カリューシャか、強い。今まで、私の太刀が避けられたことなど、なかったのに)
このまま闘えば、負けることは、予感された。ミネアは悔しそうに地団駄を踏み、タンジア王子を振り返った。
「王子、大丈夫ですか?」
ミネアは、心配そうにタンジア王子に駆け寄っていく。
王子は、ミネアの美しさと、今の闘いを見て、一目で恋に落ちていた。
「大丈夫だ。少し切られただけだ。血がつく、触るな」
タンジア王子は、ミネアに恋をした自分に気づかなかった。ミネアに守られてしまったことが恥ずかしく、ミネアを突き放すような言い方をした。
(なによ。せっかく助けてあげたのに。冷たい言い方)
ミネアは、頬を膨らませ、溜め息をついた。タンジア王子は、そんなミネアの仕草一つ一つが、愛しく、胸が熱くなってたまらなかった。
その夜、ミネアとランビーノもアルシア城に到着した。カリューシャはランビーノを城の屋根から見張っていた。
カリューシャは、皆が寝静まると、屋根の窓を、物音一つさせずに、静かに剣で割った。ダルと共に城内に侵入する。タンジアの護衛軍が部屋の前に控えていた。カルューシャが、一瞬で兵士の後ろに回り込んで腕を抑えた。ダルは、その隙に手作りの催眠剤を嗅がせる。瞬く間に兵士達は眠ってしまう。
カリューシャは、タンジアの部屋に忍び込む。タンジア王子は、カリューシャとダルの気配に気づき、剣を取ろうと起き上がる。
カリューシャは、タンジア王子が剣を取る、その隙を見逃さなかった。タンジア王子の剣を自ら奪い、タンジア王子の首に剣を斬りつけようとした。
(よし、もらった)
タンジアがほくそ笑んだその瞬間、ミネアがカリューシャの剣を払った。それは、風の如き速さであった。
不意をつかれ、カリューシャは王子から咄嗟に離れた。
その隙に、タンジア王子は、身を翻し、体勢を整えた。
(女?)
ミネアは、タンジア王子の前に出て、カリューシャから守った。タンジア王子は、ミネアの美しい横顔に、思わず見惚れてしまう。
(絹のような金髪、青い瞳、ふっくらとした紅い唇。美しい女だ)
カリューシャも女と知り、一瞬、目を見張る。その隙をミネアは見逃さなかった。ミネアの強みは、その風のような速さであった。
カリューシャも、只者ではない。ミネアの一太刀を瞬間にかわし、窓辺にまわった。
(この女、速い)
今まで、ミネアの名を知らなかったカリューシャは、相手を値踏みするように、暗闇から探った。
ミネアもカリューシャの息遣いを逃さぬように、目を閉じる。
(ここで、目をとじる?)
タンジアは、ミネアが目を閉じ、剣を構えたことに驚く。気流を読んでいるのだ。かなりの剣の達人だった。タンジアは、ミネアはランビーノの娘であり、剣士だとは思っていなかった。
カリューシャも目を閉じる。両者は、気の流れと気配から相手の存在を感じていた。カリューシャが、まずは一歩目を踏み出した。ミネアは瞬間に、カリューシャの剣を払う。稲妻のような太刀であった。カリューシャは、太刀から身を守るほうに態勢を整え、ふたたび、窓辺に着地した。
カリューシャは、慎重派であった。まずは、ミネアのことを調べなければいけないと、一旦は下がることを選んだ。窓を割り、口笛を吹いた。その瞬間、ダルが屋根から縄を飛ばした。
カリューシャは縄を受け取り、屋根へと飛んでいく。ミネアは、その後を追わなかった。
(カリューシャか、強い。今まで、私の太刀が避けられたことなど、なかったのに)
このまま闘えば、負けることは、予感された。ミネアは悔しそうに地団駄を踏み、タンジア王子を振り返った。
「王子、大丈夫ですか?」
ミネアは、心配そうにタンジア王子に駆け寄っていく。
王子は、ミネアの美しさと、今の闘いを見て、一目で恋に落ちていた。
「大丈夫だ。少し切られただけだ。血がつく、触るな」
タンジア王子は、ミネアに恋をした自分に気づかなかった。ミネアに守られてしまったことが恥ずかしく、ミネアを突き放すような言い方をした。
(なによ。せっかく助けてあげたのに。冷たい言い方)
ミネアは、頬を膨らませ、溜め息をついた。タンジア王子は、そんなミネアの仕草一つ一つが、愛しく、胸が熱くなってたまらなかった。
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