【完結】捨てられた姫の行方 〜名高い剣士に育てられ〜

酒酔拳

文字の大きさ
11 / 30

11

しおりを挟む
「ある興味深い話?」

 ミネアは、眉を傾げ、肩を振るわせた。

「ああ。隣町の酒場の、ある女からの情報だ」

「ある女?」

「その女は、15年前、カルデア王国の王妃に仕えていたみたいだ。それで、ダメもとで、女に、カリューシャについて聞いてみた」

「ええ」

「するとな、女は、カリューシャの名を知っていたんだ。昔、カリューシャは、カルデア王国の侍者だった。その頃、カルデアの王の愛人、サリーンが死んだ。」

 ミネアには、急にランビーノが昔の話を始めたことの意図がわからなかった。

「そのサリーンと王の間に、娘がいたんだ。王の本妻は、嫉妬に狂い、まだ赤子だった娘を、侍者に殺すように命令した」

 ミネアは、ランビーノの話に耳を傾ける。

「しかし、侍者は殺すことができず、隣国に赤子を連れて、捨てた。本妻には、殺したと嘘をついてな。だが、嘆き悲しむ王には、娘が生きていることを話したらしい。王は、娘を探すように、侍者に命令を下した」

 ミネアの胸の鼓動が速くなる。

「それって、まさか。。」

「そう、その侍者は、カリューシャで、捨てられた姫は、ミネア、お前だと思う」

 ランビーノの口は、重く開かれる。

(そんな、こんなところで、自分の生い立ちを聞かされるなんて)

 ミネアは、闇に潜む天井裏で、泣きたい思いだった。場の空気など気にしない、ランビーノらしいと言えば、それまでだった。

「私は、カルデア王国の王と愛人の間に生まれた子なの?」

「ああ、ミネアがイカダに捨てられて、布に包まれて、金の札が首にかけられていた。そこに、ミネアと刻まれていた。きっと、カリューシャは、お前を探している」

「私を?だって、カリューシャの目的は、タンジア王子殺害よね?」

 ミネアは、情報が多く、整理することに追いつかない。ランビーノは、ミネアの気持ちを慮り、頷く。

「これは、俺の予想だが、カリューシャはタンジア王子殺害と、娘探し、二つの命令が下されている」

「なるほど。でも、カルデア王は、一体、何を考えているのかしら、、」

 ミネアは、カルデア王国の目的は、サーリャの地に沸いた石油だけの話ではないような予感があった。それは、ランビーノも同じ予感がしていた。

「どうやら、今回の件は、裏がありそうだな。タンジア王子も、一枚絡んでいるかもしれない。サーリャの地とは、一体、何なんだ??」

 ランビーノは、頭を捻り首を傾げる。

「石油だけではない、何かがあり、そこに私も絡んでいるということ?」

 ミネアは、話が大きくなり過ぎて、一瞬、天井裏の闇が近づいてくるように感じられ、恐怖感をに襲われた。

「そうだな。まだ、全体像が、見えてこない。一回、サーリャの地に、行ってみようと思う」

「サーリャに?」

「ああ、山の民の長は、古い知り合いなんだ。何か話してくれるかもしれない。」

「古い知り合い?どんな?」

 ランビーノの過去をあまり知らないミネアは、興味を持って、目をくるりと回した。

「まあ、それは長くなるから、また今度な。とりあえず、3日もあれば帰って来れると思うが、その間、お前一人で大丈夫か?」

 ランビーノは、心配そうにミネアを伺って聞く。

「わかった。その間、タンジア王子は、私に任せて」

「カリューシャが、いつ来るかわからない。この前の夜から2週間たった。音沙汰なさすぎる。気をつけてな」

 ランビーノは、できればミネアを一人にしたくなかったが、今は堪えてもらうより他はなかった。

「とにかく、今日は俺が王子の護衛をするから、お前は寝なさい」

 ランビーノは、有無を言わさない、力強い口調で言った。

「わかった、休ませてもらうね」

 ミネアは、今度は素直に頷いた。タンジア王子の寝姿を確認し、音を立てないよう注意をして天井裏から移動し、自室へと戻った。

(王子の告白、自分の生い立ち、国々の思惑。。この何日かで、あまりにも色々あり過ぎて、ついていけない。一回、情報を整理して、気持ちを立て直さないと。。)

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

愛しの第一王子殿下

みつまめ つぼみ
恋愛
 公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。  そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。  クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。  そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

処理中です...