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アメジストはランビーノから、これまでの経緯を聞いて、息を飲んだ。口元に手をあてて、しばらく口を噤む。2人の間に、沈黙が流れる。
「そうだったのか。偶然とは、面白いものだな」
アメジストは、おもむろに口を開いた。
「そうだな。運命なのか、偶然なのか。我々は、いつも、見えない力に動かされている」
ランビーノは、意味深く溜め息をつき、頷いた。
「ミネアに会わせてくれないか?」
アメジストは、頭を下げて言う。
「会って、どうする?」
「彼女がどうしたいのかを聞きたい」
「とは?」
「ミネアの母は殺されたが、ミネアの本当の父親は、カルデア王国の王だ。ミネアは、山の民の血とともに、カルデアの王族の血もひいてる。この先、アリシア王国に対して、山の民が敵となっていいのか。。ミネアに全てを話し、聞いてみたい」
アメジストは、神妙な顔つきで話す。
「なるほどな。確かに、ミネアが背負っているものは、重すぎる。それで、ミネアの答えによっては、カルデア側につくのか?」
ランビーノは、アメジストのオレンジ色の瞳を見つめて言った。
「そうだな。彼女は、正統な山の民の真の後継者だ」
アメジストは、ゆっくりと頷いた。
「わかった。ミネアに話してみよう」
ランビーノが承諾したところで、2人の間に流れていた重苦しい空気は溶ける。
「食事をご馳走しよう。今日は、泊まれるのか?」
「もう夜も更けてくる。出発は、明日の早朝にする」
ランビーノは、空腹であることを思い出し、久しぶりにゆったりとした気分になり、伸びをした。
「そうか、部屋を用意するので、今夜はゆっくりしてくれ」
アメジストは、嬉しそうに表情を和ませて言った。
翌日の朝、ランビーノがサーリャの地を出発する頃、カリューシャは、ダルと共に、再度、アリシア王国の城に侵入しようとしていた。
前回、カリューシャがミネアと剣を交えてから、カリューシャは黒子を使い、徹底的に、ミネアのことを調べさせた。そして、ミネアが実は自分がカルデアの王妃に命令され、アリシア王国に捨てた姫である事実を知った。
(なんという運命だ。まさか、あの娘がサリーン様とカルデア王の娘、ミネア様であったとは。。)
カリューシャは、その事実に動揺し、幾日か自分がこの先どうしたら良いのか悩んでいた。その結果、
(とにかく、受けた命であるタンジア王を抹殺しなければいけない。そして、もう一つの命である、ミネア様をカルデア王に届けること。この二つの命をやり遂げる)
しかし、カリューシャは、どうやれば、ミネアをアリシア王国に連れていけるか、方法がわからなかった。
(とにかく、タンジア王子を抹殺すること。まずはこの使命を優先させよう)
カリューシャは、ミネアがサリーンの娘であることを知り、風の如き速さである、あの剣の動きに納得する。
(ミネア様は、風の魔法を、無意識に習得していたのだ。)
カリューシャは、魔法の力であることを知ると、次は勝てるような自信があった。
(魔法を封じればいいのだ。タンジア王子のもとに行けば、ミネア様とも会える。なんとか眠らせて連れていけたら。。)
カリューシャは、ランビーノが不在であることも知っていた。ランビーノが戻ってきてしまったら、不利になることもわかっていた。
(さすがに、2人で来られたら、きついだろう。。)
カリューシャは、城下町の食堂で、ダルに朝飯を食べさせながら、作戦を話す。ダルの食欲は旺盛で、ご飯を3杯お変わりしながらも、ふんふん、と理解をして聞いた。
「そうだったのか。偶然とは、面白いものだな」
アメジストは、おもむろに口を開いた。
「そうだな。運命なのか、偶然なのか。我々は、いつも、見えない力に動かされている」
ランビーノは、意味深く溜め息をつき、頷いた。
「ミネアに会わせてくれないか?」
アメジストは、頭を下げて言う。
「会って、どうする?」
「彼女がどうしたいのかを聞きたい」
「とは?」
「ミネアの母は殺されたが、ミネアの本当の父親は、カルデア王国の王だ。ミネアは、山の民の血とともに、カルデアの王族の血もひいてる。この先、アリシア王国に対して、山の民が敵となっていいのか。。ミネアに全てを話し、聞いてみたい」
アメジストは、神妙な顔つきで話す。
「なるほどな。確かに、ミネアが背負っているものは、重すぎる。それで、ミネアの答えによっては、カルデア側につくのか?」
ランビーノは、アメジストのオレンジ色の瞳を見つめて言った。
「そうだな。彼女は、正統な山の民の真の後継者だ」
アメジストは、ゆっくりと頷いた。
「わかった。ミネアに話してみよう」
ランビーノが承諾したところで、2人の間に流れていた重苦しい空気は溶ける。
「食事をご馳走しよう。今日は、泊まれるのか?」
「もう夜も更けてくる。出発は、明日の早朝にする」
ランビーノは、空腹であることを思い出し、久しぶりにゆったりとした気分になり、伸びをした。
「そうか、部屋を用意するので、今夜はゆっくりしてくれ」
アメジストは、嬉しそうに表情を和ませて言った。
翌日の朝、ランビーノがサーリャの地を出発する頃、カリューシャは、ダルと共に、再度、アリシア王国の城に侵入しようとしていた。
前回、カリューシャがミネアと剣を交えてから、カリューシャは黒子を使い、徹底的に、ミネアのことを調べさせた。そして、ミネアが実は自分がカルデアの王妃に命令され、アリシア王国に捨てた姫である事実を知った。
(なんという運命だ。まさか、あの娘がサリーン様とカルデア王の娘、ミネア様であったとは。。)
カリューシャは、その事実に動揺し、幾日か自分がこの先どうしたら良いのか悩んでいた。その結果、
(とにかく、受けた命であるタンジア王を抹殺しなければいけない。そして、もう一つの命である、ミネア様をカルデア王に届けること。この二つの命をやり遂げる)
しかし、カリューシャは、どうやれば、ミネアをアリシア王国に連れていけるか、方法がわからなかった。
(とにかく、タンジア王子を抹殺すること。まずはこの使命を優先させよう)
カリューシャは、ミネアがサリーンの娘であることを知り、風の如き速さである、あの剣の動きに納得する。
(ミネア様は、風の魔法を、無意識に習得していたのだ。)
カリューシャは、魔法の力であることを知ると、次は勝てるような自信があった。
(魔法を封じればいいのだ。タンジア王子のもとに行けば、ミネア様とも会える。なんとか眠らせて連れていけたら。。)
カリューシャは、ランビーノが不在であることも知っていた。ランビーノが戻ってきてしまったら、不利になることもわかっていた。
(さすがに、2人で来られたら、きついだろう。。)
カリューシャは、城下町の食堂で、ダルに朝飯を食べさせながら、作戦を話す。ダルの食欲は旺盛で、ご飯を3杯お変わりしながらも、ふんふん、と理解をして聞いた。
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