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ミネアとタンジア王子は、アメジストの家の前に下りたった。
アメジストは、ちょうど、リャンに乗り、夕食の材料を狩りに行くところであった。ミネアとタンジア王子が急に現れ、アメジストは赤い目を丸くして驚いた。
ミネアは、アメジストにカルデア王国で起こった出来事を話した。
「なるほど。それで、タンジア王子の息を吹き返そうとここに来たんだね。聖域の呪文を唱えることで、タンジア王子は蘇るかしら」
アメジストは、考え深い表情をして、頭を働かせる。
「とにかくやってみたいの!時間がないの。手伝ってもらえる?」
ミネアは追い詰められた、悲壮な目をして訴えた。
「わかった。このサーリャの地も、姉が唱えた光の力が弱まっていた。聖域が唱えられれば、再び力を取り戻せる」
アメジストは、こくりと頷いて言う。
「ありがとう!今、ここで究極魔法を唱えるわ」
「究極魔法?それは、自分の命と交換する魔法だろ?」
アメジストは、眉を傾げる。
「そう。聖域を唱えた瞬間に、解毒の呪文を唱える。二大呪文を同時に唱える、究極魔法よ」
ミネアは、全てを受け入れるように、おおらかな口調で言う。
「死ぬ気?私は、いやよ。姉をなくし、貴方まで失うなんて!」
アメジストは、声高に叫んだ。
「ごめんなさい。私は、タンジア王子を愛してます。だから、王子のために、死にます。かつて、母は、カルデア王のために、毒を飲み続けた。私は、なんとなく、母の気持ちがわかるの。愛とは、愚かなものなのね」
ミネアは、哀しそうな目をして、切なそうに話した。
「ミネア、、。私は、何をすれば良い?」
「私が解毒の呪文を唱えたら、タンジア王子の介抱をしてほしいの。息を吹き返すかわからないけど、、。私はそのときは、おそらく動けなくなっているから。。」
ミネアの頼みを、アメジストはわなわなと震える想いで聞いた。ミネアの口は固く閉ざされている。アメジストは、何を言っても無駄だと悟った。
「まったく、親子揃って、、。」
(そこまで愛を捧げられる人生か。私には、わからないが、羨ましくもあるな。。)
アメジストは、溜め息をついた。
「ごめんなさい、アメジスト。お父さんに会ったら、育ててくれて、ありがとうございます、大好きだったと伝えて」
ミネアは、目を閉じて両手を天に振り上げた。全ての大地を包みこむように両手に抱き、風の声を聞いた。
「天を司るあまたの精霊よ。我に力を!サーリャに聖なる力を、タンジア王子に光を捧げあらん」
ミネアが呪文を唱えると、サーリャの地は瞬く間に光の輪が浮かび、オーロラの光が輝き出す。
ミネアは、サーリャに聖域が唱えられたことを感じると、タンジア王子の胸の上に手をかざし、解毒の呪文を唱えた。
その時、アメジストも同時にタンジア王子の胸の上に手をかざし、呪文を唱えた。
「アメジスト?!」
「二人で唱えたら、二分の一の傷で済む。」
アメジストは、にまりと笑って言った。
「ありがとう」
ミネアは胸が熱くなってくる想いを止められなかった。これは、何?感謝?愛?考え巡らせながら、ミネアは、最後の呪文を唱えることに集中する。
呪文を唱え終わると、ミネアは一気に身体中から力が抜けるのを感じた。アメジストも同様で2人共に崩れ落ちる。
ミネアは、足にも力が入らないが、なんとか奮い立たせ、タンジア王子に身を寄せた。
「タンジア王子!タンジア王子!」
タンジア王子は、眉一つ動かなかった。静かに目を閉じている。
「失敗した、、?」
ミネアは落胆しながら、タンジア王子を見つめた。初めて会った日を、初めて口づけた日を、初めて告白された日が走馬灯のように記憶が駆け巡る。
「私、ユーナ姫にも王子を譲らない。恨まれても、地獄に堕ちても、貴方を愛する。だからお願い、貴方だけいればいい、目を覚まして」
ミネアは、王子に囁くと、ゆっくりと口づけをした。
「それは、真だな?」
すると、タンジア王子の目が開き、言葉が聞こえた。土色の顔色に、生気が蘇ってくる。
「王子!王子!」
ミネアは、涙を流し、タンジア王子にしがみついた。
「これから、素直に私についてくるか?」
タンジア王子は、ミネアを愛しそうに見つめて囁いた。
「ええ。どこまでも!」
ミネアが答えると、タンジア王子は、ミネアを引き寄せ、熱い口づけを交わした。
「愛してる、ミネア」
タンジア王子は、ミネアを抱き寄せ、再度口づけを交わす。
「愛とは、愚かなものか。力を貸した私もまた、同じか」
アメジストは苦笑をし、溜め息をついて、2人を見守った。時期にランビーノもやってくるだろう。ランビーノもまた、娘のために命をかけて戦った。誰もが愛のために、命をかける。
「愛は愚かなものであるが、それも悪くない」
アメジストは、微笑んで、幸せそうな2人を見守った。
~完~
アメジストは、ちょうど、リャンに乗り、夕食の材料を狩りに行くところであった。ミネアとタンジア王子が急に現れ、アメジストは赤い目を丸くして驚いた。
ミネアは、アメジストにカルデア王国で起こった出来事を話した。
「なるほど。それで、タンジア王子の息を吹き返そうとここに来たんだね。聖域の呪文を唱えることで、タンジア王子は蘇るかしら」
アメジストは、考え深い表情をして、頭を働かせる。
「とにかくやってみたいの!時間がないの。手伝ってもらえる?」
ミネアは追い詰められた、悲壮な目をして訴えた。
「わかった。このサーリャの地も、姉が唱えた光の力が弱まっていた。聖域が唱えられれば、再び力を取り戻せる」
アメジストは、こくりと頷いて言う。
「ありがとう!今、ここで究極魔法を唱えるわ」
「究極魔法?それは、自分の命と交換する魔法だろ?」
アメジストは、眉を傾げる。
「そう。聖域を唱えた瞬間に、解毒の呪文を唱える。二大呪文を同時に唱える、究極魔法よ」
ミネアは、全てを受け入れるように、おおらかな口調で言う。
「死ぬ気?私は、いやよ。姉をなくし、貴方まで失うなんて!」
アメジストは、声高に叫んだ。
「ごめんなさい。私は、タンジア王子を愛してます。だから、王子のために、死にます。かつて、母は、カルデア王のために、毒を飲み続けた。私は、なんとなく、母の気持ちがわかるの。愛とは、愚かなものなのね」
ミネアは、哀しそうな目をして、切なそうに話した。
「ミネア、、。私は、何をすれば良い?」
「私が解毒の呪文を唱えたら、タンジア王子の介抱をしてほしいの。息を吹き返すかわからないけど、、。私はそのときは、おそらく動けなくなっているから。。」
ミネアの頼みを、アメジストはわなわなと震える想いで聞いた。ミネアの口は固く閉ざされている。アメジストは、何を言っても無駄だと悟った。
「まったく、親子揃って、、。」
(そこまで愛を捧げられる人生か。私には、わからないが、羨ましくもあるな。。)
アメジストは、溜め息をついた。
「ごめんなさい、アメジスト。お父さんに会ったら、育ててくれて、ありがとうございます、大好きだったと伝えて」
ミネアは、目を閉じて両手を天に振り上げた。全ての大地を包みこむように両手に抱き、風の声を聞いた。
「天を司るあまたの精霊よ。我に力を!サーリャに聖なる力を、タンジア王子に光を捧げあらん」
ミネアが呪文を唱えると、サーリャの地は瞬く間に光の輪が浮かび、オーロラの光が輝き出す。
ミネアは、サーリャに聖域が唱えられたことを感じると、タンジア王子の胸の上に手をかざし、解毒の呪文を唱えた。
その時、アメジストも同時にタンジア王子の胸の上に手をかざし、呪文を唱えた。
「アメジスト?!」
「二人で唱えたら、二分の一の傷で済む。」
アメジストは、にまりと笑って言った。
「ありがとう」
ミネアは胸が熱くなってくる想いを止められなかった。これは、何?感謝?愛?考え巡らせながら、ミネアは、最後の呪文を唱えることに集中する。
呪文を唱え終わると、ミネアは一気に身体中から力が抜けるのを感じた。アメジストも同様で2人共に崩れ落ちる。
ミネアは、足にも力が入らないが、なんとか奮い立たせ、タンジア王子に身を寄せた。
「タンジア王子!タンジア王子!」
タンジア王子は、眉一つ動かなかった。静かに目を閉じている。
「失敗した、、?」
ミネアは落胆しながら、タンジア王子を見つめた。初めて会った日を、初めて口づけた日を、初めて告白された日が走馬灯のように記憶が駆け巡る。
「私、ユーナ姫にも王子を譲らない。恨まれても、地獄に堕ちても、貴方を愛する。だからお願い、貴方だけいればいい、目を覚まして」
ミネアは、王子に囁くと、ゆっくりと口づけをした。
「それは、真だな?」
すると、タンジア王子の目が開き、言葉が聞こえた。土色の顔色に、生気が蘇ってくる。
「王子!王子!」
ミネアは、涙を流し、タンジア王子にしがみついた。
「これから、素直に私についてくるか?」
タンジア王子は、ミネアを愛しそうに見つめて囁いた。
「ええ。どこまでも!」
ミネアが答えると、タンジア王子は、ミネアを引き寄せ、熱い口づけを交わした。
「愛してる、ミネア」
タンジア王子は、ミネアを抱き寄せ、再度口づけを交わす。
「愛とは、愚かなものか。力を貸した私もまた、同じか」
アメジストは苦笑をし、溜め息をついて、2人を見守った。時期にランビーノもやってくるだろう。ランビーノもまた、娘のために命をかけて戦った。誰もが愛のために、命をかける。
「愛は愚かなものであるが、それも悪くない」
アメジストは、微笑んで、幸せそうな2人を見守った。
~完~
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