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20.霧があらわれる
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教会の鐘が鳴った。鐘の音は、空に深く響き渡るような、強い主張を持って聞こえた。
何を主張しているのだろう、私はふと疑問に感じる。もしかしたら、この癒しの村の秘密に通じているのかもしれないと思い、背筋にゾクッと冷気を感じる。
周囲から人々が集まってくる。
ナミやナミの両親、サトミやアイリの姿も混ざっていた。しかし、大部分は私の知らない人たちだった。
集会は教会の中ではなく、教会から外へと続く、中庭で行われるようだった。中庭は木々で囲まれ、講堂と同じ講壇があり、紗羅さんはそこに立ち、皆を迎えていた。
講壇の下には、5人のシスターが控えていた。紗羅さんと同じ、白い衣を着ている。
シスターのすぐ近くにいる、田村さんと一緒にいる5人グループは、運び屋なのだろうか。みな同じような黒いズボンに白いシャツを着ているので、目立って見えた。
その他、草原の家にいるうつ病のアイリやサトミの他に3人の若い女性。みな、美しい顔立ちをしていた。
その隣りには、畑作業の服を着る5人の男達がいる。アキヲが言うには、野菜や米を作っているグループで、アキヲも今、その男たちと畑作業をしていると言う。
畑作業の男たちの後ろに、庇護されるように、5~6人くらいの男女の子どもたちがいる。幼稚園から小学生くらいの年頃に見える。それ以外にも、私の知らない顔が、ちらほらと見られる。
全員が集まると、40~50人くらいだろうか。ナミの母が言っていた通りだった。
全員が揃うと、この癒しの村は、半分は障害や病気をもつ人か、子どもであるのがよくわかった。
「みなさん、今週もよく集まってくれました。神のご加護がありますように、祈りを捧げましょう」
紗羅さんは、講壇からよく透き通る高い声で話し始めた。
みなは、しんと静まり、一心に紗羅さんの声を聞いていた。
「みなさんが、これからも平和に、そして心安らかに日々を過ごせますように、さあ、みなさん、手を合わせ、神に祈りを捧げるのです」
紗羅さんは、口元に微笑を浮かべ、自らも手を合わせ、そして目を閉じる。
他の人々も、紗羅さんと同じように、胸元に手を合わせ、目を閉じた。
私とアキヲもあわてて、同じようにポーズをとり、目を閉じて、神に祈りを捧げる。
しんと静まり、風の音、そして鳥の羽音のみが耳に聞こえてくる。
どれくらいの時間、祈りを捧げただろうか。ひどく長い時間に感じられたが、実際は数分だったのかもしれない。
「みなさん、目を開けましょう」
紗羅さんが、ゆっくりと解放の言葉を放つ。私は、ゆっくりと目を開ける。
「!なに?!」
驚いたことに、教会の鐘の上空から、靄があらわれた。
「おい、これは、この癒しの村にくるときに、覆い囲まれた、霧だ!」
アキヲは、信じられないように、上空を見上げて言った。
アキヲが言うように、この山に登ってきたときの霧とそっくりだった。
霧は教会の上空に渦巻くと、四方へと分散して広がっていく。
「神は霧を作り、みなさんを守ってくれます。どうか心配せずに、安心をして暮らしてください。神の加護を、みなさんに。アーメン」
紗羅さんは、空に十字架を切ると、人々も「アーメン」と囁き、霧をじっと見上げて祈りを続けた。
何を主張しているのだろう、私はふと疑問に感じる。もしかしたら、この癒しの村の秘密に通じているのかもしれないと思い、背筋にゾクッと冷気を感じる。
周囲から人々が集まってくる。
ナミやナミの両親、サトミやアイリの姿も混ざっていた。しかし、大部分は私の知らない人たちだった。
集会は教会の中ではなく、教会から外へと続く、中庭で行われるようだった。中庭は木々で囲まれ、講堂と同じ講壇があり、紗羅さんはそこに立ち、皆を迎えていた。
講壇の下には、5人のシスターが控えていた。紗羅さんと同じ、白い衣を着ている。
シスターのすぐ近くにいる、田村さんと一緒にいる5人グループは、運び屋なのだろうか。みな同じような黒いズボンに白いシャツを着ているので、目立って見えた。
その他、草原の家にいるうつ病のアイリやサトミの他に3人の若い女性。みな、美しい顔立ちをしていた。
その隣りには、畑作業の服を着る5人の男達がいる。アキヲが言うには、野菜や米を作っているグループで、アキヲも今、その男たちと畑作業をしていると言う。
畑作業の男たちの後ろに、庇護されるように、5~6人くらいの男女の子どもたちがいる。幼稚園から小学生くらいの年頃に見える。それ以外にも、私の知らない顔が、ちらほらと見られる。
全員が集まると、40~50人くらいだろうか。ナミの母が言っていた通りだった。
全員が揃うと、この癒しの村は、半分は障害や病気をもつ人か、子どもであるのがよくわかった。
「みなさん、今週もよく集まってくれました。神のご加護がありますように、祈りを捧げましょう」
紗羅さんは、講壇からよく透き通る高い声で話し始めた。
みなは、しんと静まり、一心に紗羅さんの声を聞いていた。
「みなさんが、これからも平和に、そして心安らかに日々を過ごせますように、さあ、みなさん、手を合わせ、神に祈りを捧げるのです」
紗羅さんは、口元に微笑を浮かべ、自らも手を合わせ、そして目を閉じる。
他の人々も、紗羅さんと同じように、胸元に手を合わせ、目を閉じた。
私とアキヲもあわてて、同じようにポーズをとり、目を閉じて、神に祈りを捧げる。
しんと静まり、風の音、そして鳥の羽音のみが耳に聞こえてくる。
どれくらいの時間、祈りを捧げただろうか。ひどく長い時間に感じられたが、実際は数分だったのかもしれない。
「みなさん、目を開けましょう」
紗羅さんが、ゆっくりと解放の言葉を放つ。私は、ゆっくりと目を開ける。
「!なに?!」
驚いたことに、教会の鐘の上空から、靄があらわれた。
「おい、これは、この癒しの村にくるときに、覆い囲まれた、霧だ!」
アキヲは、信じられないように、上空を見上げて言った。
アキヲが言うように、この山に登ってきたときの霧とそっくりだった。
霧は教会の上空に渦巻くと、四方へと分散して広がっていく。
「神は霧を作り、みなさんを守ってくれます。どうか心配せずに、安心をして暮らしてください。神の加護を、みなさんに。アーメン」
紗羅さんは、空に十字架を切ると、人々も「アーメン」と囁き、霧をじっと見上げて祈りを続けた。
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