3 / 9
呪われ魔術師、仔犬を救おうとする。
しおりを挟むま、とりあえず、僕は、もう怖いものなんてない! の心持ちで、自信満々、ケッセンの廃城跡に向かっていった。
ケッセン城は、それほど大きな城じゃない。
城造りの大きな家といった感じの建物だ。
とりあえず、壊れた城門から中に入る。
以前来たときと変わっていない。荒れ果てたまんま。
たしかこっちだったはず・・・・。
城の東側にある花壇一面に黄色い日輪草が咲き誇っていた。
一応、魔物が潜んでいないか注意しながら、城壁に沿って、東の花壇に向かう。
敷地中央の大きな建物を迂回すると目指す花壇が見えてきた。
あ、あった、あった。
予想通り、たくさんある!
花壇には、咲き終わった日輪草がたくさんあって、花の部分にできた種が黒く変色している。
収穫には、丁度よいタイミングだ。
種ができている花の部分を切り取ってカバンに詰める。
種は、町に戻ってから取り出すつもり。花の部分をカバンいっぱいに詰め込んでいけば、クエストクリアに必要な数量は十二分に確保できるだろう。
“ガサッ”
突然、花壇の奥の方で、なにかの音がした。
気配を殺し、ゆっくりとその場所に近付いてみる。
茂みに身を隠しながら、様子を伺ってみると、【角ウサギ】と【仔犬】が対峙していた。この廃城に迷い込んだ【仔犬】が、魔物に見つかり、攻撃を受けているのだろう。
【仔犬】を助けなければ!
最強の武器【呪いの紡錘】を持つ僕としては、ここで【仔犬】を助けないわけにはいかない。
だって、僕には、弱いものを助ける力があるんだから。
僕は、茂みから飛び出すと、【仔犬】を背に守るように、【角ウサギ】と正対する。
さあ、こい。
僕が、一撃のもと、お前を葬ってやる。
右手の紡錘先をまっすぐ【角ウサギ】に向けて、正眼にかまえる。
【角ウサギ】が突進してきた。
僕は、右手を伸ばし、紡錘の先を【角ウサギ】に突き刺す。
手ごたえ十分。
やった!
と思えたのも、一瞬。
【角ウサギ】は、僕の攻撃を耐えきり、僕に一撃を加えてきた。
そして再び距離を取る。
あれれ? おっかしいぞぉ~?
いくらかのダメージは与えられたようだが、【角ウサギ】は、まだピンピンしている。
再び、【角ウサギ】の突進。
さっきと同じように、僕は右手を前に突き出し、紡錘の先を【角ウサギ】に突き刺す。
十分な手ごたえ。
しかし、【角ウサギ】は紡錘の突きを押しのけ、僕にさらなる一撃を加えてきた。
直撃!
ま、まずい・・・・、まずいぞ、これは。
さっきの一撃で、僕は、【瀕死の状態】に追い込まれてしまった。
もう一撃食らってしまったら、僕は【死亡】してしまう。
ここで、はたと思い出した。
そうだ、さっきも、【瀕死の状態】だったじゃないか。
きっと、一撃必殺の突きは、【瀕死の状態】じゃないと繰り出せないんだ。
そうか、そうだよな。
あんな強力な技、常時繰り出せるわけないもんな。
なにか制約があるに違いない。
一撃必殺の突きの制約は、「【瀕死の状態】であること」とみた。
ふっ、さすれば、【瀕死の状態】になった僕にはすでに死角はない!
さあ、【角ウサギ】よ、我にかかってくるがいい!
一撃のもと、葬ってやろう。
僕の叫びに呼応したわけでもないだろうが、【角ウサギ】が三度、僕に向かって突進してきた。
僕は右手を前に突き出し、さっきと同じように紡錘の先を【角ウサギ】に突き刺す。
十分な手ごたえ。
勝った!
と、思ったのもつかの間、【角ウサギ】は、僕の突きを受けきり、そして、押しのけた。
【角ウサギ】の角が、眼前に迫る。
あれ?
あれれ?
これ、僕、死んじゃった?
「わん!」
僕の背後から、【仔犬】が飛び出し、【角ウサギ】に強烈な頭突きをお見舞いした。
【角ウサギ】は、大きく弾き飛ばされ、地面に激しく叩きつけられるとそのまま動かなくなってしまった。
【仔犬】の勝利!
あれ?
これって、僕が、しゃしゃり出なくっても、大丈夫だった?
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる