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石化の少女
ケリュネイアの雌鹿 1
しおりを挟む―――― 襲撃の翌日。
朝日の差し込む教室。
窓際の席に座り、カグヤは考える。
頬杖をつき、窓の方に目を向ける。
窓の外には、まだ花もつかず緑一色の花壇と白く乾燥した校庭といつもの山の端が見える。
ふぅ~っと大きくため息をつく。
その瞳に光はなく、外の風景も、模様にしか見えない。
昨日から、カグヤは、ずっと考えていた。
昨日、コカトリスの魔眼で、一人の敵将が石化した。
しかし、もう一人の敵将が、それを回復させたのだ。
それは、きっと、あの青い宝石のついた杖の効果だろう。
あの杖さえ手に入れば、エンも元の姿に戻すことができるかもしれない。
でも、どうやって・・・・。
はぁ~。
もう一つ、大きくため息をつき、視線を上げる。
ああ~、今日も空が青いなぁ・・・・。
考えることにつかれて、軽く現実逃避しかけ始めたころ、
「カグヤっ!」
後頭部に、強い衝撃を受けた。
いてて・・・・、勢いで、おでこも、机にぶつけたぞ。
いったい何事?と思い、ひりひりするおでこをさすりながら、身体を起こす。
「カグヤっ!」
「・・・ジュン?」
右手を振り下ろした態勢から、カグヤをビシッと指さす姿勢にポーズをかえ、クラスの委員長、ジュンが叫ぶ。
「あんた、また、バカなこと、考えてんじゃないでしょうね?!」
「・・・・バカなこと?」
「そうよっ!
柄にもなく、朝っぱらから、物思いにふけって・・・・」
「・・・・へ?」
「きっと、バカなこと、考えてたんでしょ?」
「バカなことって・・・・」
「あの杖、あの青い宝石の杖のことよ!
どうやって、盗み出そうかなって!」
「盗む・・・?」
「あれがあれば、姉さんをもとの姿に戻せる。
だから、あの杖を、あいつらから、盗み出してやろう・・・ってね!」
「ほう・・・・」
「ん?」
「そうか、その手があったか・・・・」
「え?」
「私、そんなこと、思いつきもしなかった・・・・」
「へ?」
「たしかに、エンを元の姿に戻すために、あの杖が欲しいと考えていた。
あの杖、どこに行ったら、手に入るんだろうとか、どこに行ったら、売っているんだろうかとか。
売っていたとしても、あんな大きな奇麗な青い宝石が付いてる杖だもの、きっと高いんだろうな。
お金がいっぱいいるんだろうなって。
そしたら、そんなたくさんのお金、どうやったら手に入れることができるんだろうか・・・、なんてことをずっと考えてた」
「そ、そう」
「でも、そうよね、そこにあるんだもの。
持ってきちゃえばいいんだよね」
「ちょ、ちょっと?」
「確かに、盗みは、良くないことだけど、あいつら、エンをあんな姿にした悪い奴らだもんね。
『悪人に人権はない』って、古の美少女天才魔道士も言ってたような気もするし、杖の一本や二本、取ってきてもなんにも問題ないよね!」
「あ、あの・・・・、カグヤさん?」
「さっすが、委員長!あったま良い~!」
カグヤは、席から飛び跳ねるように立ち上がると、教室を飛び出していく。
「ちょ、ちょっと待ちなさい」
あわてて、ジュンは、カグヤの後を追う。
えらいことになってしまった。
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