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闇竜討伐の旅
25.一生の思い出(5)※
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サフィアが脚をアーサーの腰に回し、それを止める。
「ううん、大丈夫よ。ごめんなさい。なんか、なんか……なんていうんだろう……わたしたち、繋がってるんだなって……」
アーサーは息を呑んで、サフィアの頬を優しく撫でた。そして右手をサフィアの左の手のひらに押し当てて、指を絡ませる。ぎゅっと握られて、現実だよ、と教えられているようでサフィアは胸がいっぱいになった。
「そうだよ。俺たち、一つになってる」
アーサーが、自分の額をサフィアの頬に擦り付けた。なんだか動物が甘えてきているみたいで、サフィアはくすくすと笑ってしまう。アーサーは言葉は少ないし、表情も滅多に変わらないけれど、こうした仕草がとてもかわいらしい。それにとっても優しくて、今回も、ずっとサフィアを気遣ってくれていた。今まではわたしを動物みたいに思ってるんじゃ、なんて考えていたけれど、やっぱりそうじゃなかったんだと思い知らされる。そしてそれが、とっても嬉しい。アーサーを好きだという気持ちに今までしていた蓋が外れて、もう止まらない。
サフィアは今まで聖女として生きてきて、その使命を果たすのも、そのために頑張ることも、当たり前のことだった。サフィアにとっても、周りの人にとっても。でもアーサーは、初めて、それがすごいことだと言ってくれた。聖女という外殻の内側の、サフィアというひとりの人に目を向けてくれる。闇竜と戦う聖女の前に、ひとりの女の子として扱ってくれる。こんな美しい人にそうやって接されて、好きにならない方が難しい。
「アーサー……。わたし、いま……一番しあわせ……」
サフィアの胸の中は、アーサーへの感謝の気持ちでいっぱいだった。産まれてきて、生きて、サフィアの前に現れて、好きになってくれて。世界にすらありがとうと言いたくなる。
「俺もだ、サフィア。……森を出たくなかったはずなのに……外でこんな気持ちになるとは思わなかった」
アーサーの言葉に、サフィアの身体が歓喜に震えた。アーサーにとって、森がとても大切な場所であることを知っている。そのアーサーが、こんなことを言ってくれるなんて。
――嬉しい。好き。大好き。
左手に熱を持って、サフィアはびっくりして視線を向けた。アーサーも、繋いだ手を見つめている。
「いま……」
「ああ……。なんだか、紋章が熱かった」
二人で目を合わせて、ぱちぱちと瞬きする。もう熱くなることはなくて、気のせいだったと思いそうだけれど、二人とも感じたので実際にあったことなのだろう。想いが通じ合って、繋がって、重なった紋章が熱を持つ。特別なことのような気がするけど、紋章が熱を持つ現象なんて聞いたことがなかった。光竜の紋章だし、体に異変はないのだから、悪い事ではないはずだけれど。
なんだかロマンチックに感じて、サフィアは左手にぎゅっと力を入れた。
「アーサー、キスして?」
「ああ」
二人で、じっくりと唇を合わせた。離れて、アーサーが息を吐く。
「……そろそろ、動いてもいいだろうか?」
「うん」
馴染んできたというのか、アーサーの存在感はサフィアの中にありつつも、圧迫感は少なくなっていた。アーサーがゆっくりと腰を引いて、また少しずつ入れてくる。
「んっ……はっ……」
性器同士が触れ合うというのはこういうものなのか、とサフィアは熱い息を漏らした。自分の体内にアーサーの大事なものが入っているというだけでなんだかそわそわして、それが擦れるとなんとも言えない甘い波が押し寄せてくる。抜かれるときには粘膜がこすれてむずむずするように気持ち良くて、突き入れられるとお腹の奥がきゅんとして気持ち良い。
「あっ、あ……はあっ……あっ、んっ……」
アーサーの腰の動きが次第に早くなっていく。サフィアはそれをちゃんと性感として受け止めることができていた。視線を上げると、アーサーは顔を赤くして、はあはあと熱い息を吐きながら動いていた。いつもは涼しい顔をしているのに、今は少し眉が寄っていて、汗が垂れて光を反射している。
「っ……」
サフィアの中がきゅうっと締まって、アーサーが息を詰まらせた。
アーサーが自分で興奮して、息を乱していると思うと、それだけでサフィアはたまらなくなる。
「あ、あーさー、す、すきっ……すき……!」
喘ぎながら溢れ出る気持ちを伝えれば、アーサーがサフィアを抱き締めた。
「……ああ。好きだ。愛してるよ、サフィア……」
アーサーの力強い腕がサフィアの身体とベッドの間に差し込まれ、サフィアの背中をぐっと引き寄せた。二人の身体が密着して、その状態でまた動き始める。
「ううん、大丈夫よ。ごめんなさい。なんか、なんか……なんていうんだろう……わたしたち、繋がってるんだなって……」
アーサーは息を呑んで、サフィアの頬を優しく撫でた。そして右手をサフィアの左の手のひらに押し当てて、指を絡ませる。ぎゅっと握られて、現実だよ、と教えられているようでサフィアは胸がいっぱいになった。
「そうだよ。俺たち、一つになってる」
アーサーが、自分の額をサフィアの頬に擦り付けた。なんだか動物が甘えてきているみたいで、サフィアはくすくすと笑ってしまう。アーサーは言葉は少ないし、表情も滅多に変わらないけれど、こうした仕草がとてもかわいらしい。それにとっても優しくて、今回も、ずっとサフィアを気遣ってくれていた。今まではわたしを動物みたいに思ってるんじゃ、なんて考えていたけれど、やっぱりそうじゃなかったんだと思い知らされる。そしてそれが、とっても嬉しい。アーサーを好きだという気持ちに今までしていた蓋が外れて、もう止まらない。
サフィアは今まで聖女として生きてきて、その使命を果たすのも、そのために頑張ることも、当たり前のことだった。サフィアにとっても、周りの人にとっても。でもアーサーは、初めて、それがすごいことだと言ってくれた。聖女という外殻の内側の、サフィアというひとりの人に目を向けてくれる。闇竜と戦う聖女の前に、ひとりの女の子として扱ってくれる。こんな美しい人にそうやって接されて、好きにならない方が難しい。
「アーサー……。わたし、いま……一番しあわせ……」
サフィアの胸の中は、アーサーへの感謝の気持ちでいっぱいだった。産まれてきて、生きて、サフィアの前に現れて、好きになってくれて。世界にすらありがとうと言いたくなる。
「俺もだ、サフィア。……森を出たくなかったはずなのに……外でこんな気持ちになるとは思わなかった」
アーサーの言葉に、サフィアの身体が歓喜に震えた。アーサーにとって、森がとても大切な場所であることを知っている。そのアーサーが、こんなことを言ってくれるなんて。
――嬉しい。好き。大好き。
左手に熱を持って、サフィアはびっくりして視線を向けた。アーサーも、繋いだ手を見つめている。
「いま……」
「ああ……。なんだか、紋章が熱かった」
二人で目を合わせて、ぱちぱちと瞬きする。もう熱くなることはなくて、気のせいだったと思いそうだけれど、二人とも感じたので実際にあったことなのだろう。想いが通じ合って、繋がって、重なった紋章が熱を持つ。特別なことのような気がするけど、紋章が熱を持つ現象なんて聞いたことがなかった。光竜の紋章だし、体に異変はないのだから、悪い事ではないはずだけれど。
なんだかロマンチックに感じて、サフィアは左手にぎゅっと力を入れた。
「アーサー、キスして?」
「ああ」
二人で、じっくりと唇を合わせた。離れて、アーサーが息を吐く。
「……そろそろ、動いてもいいだろうか?」
「うん」
馴染んできたというのか、アーサーの存在感はサフィアの中にありつつも、圧迫感は少なくなっていた。アーサーがゆっくりと腰を引いて、また少しずつ入れてくる。
「んっ……はっ……」
性器同士が触れ合うというのはこういうものなのか、とサフィアは熱い息を漏らした。自分の体内にアーサーの大事なものが入っているというだけでなんだかそわそわして、それが擦れるとなんとも言えない甘い波が押し寄せてくる。抜かれるときには粘膜がこすれてむずむずするように気持ち良くて、突き入れられるとお腹の奥がきゅんとして気持ち良い。
「あっ、あ……はあっ……あっ、んっ……」
アーサーの腰の動きが次第に早くなっていく。サフィアはそれをちゃんと性感として受け止めることができていた。視線を上げると、アーサーは顔を赤くして、はあはあと熱い息を吐きながら動いていた。いつもは涼しい顔をしているのに、今は少し眉が寄っていて、汗が垂れて光を反射している。
「っ……」
サフィアの中がきゅうっと締まって、アーサーが息を詰まらせた。
アーサーが自分で興奮して、息を乱していると思うと、それだけでサフィアはたまらなくなる。
「あ、あーさー、す、すきっ……すき……!」
喘ぎながら溢れ出る気持ちを伝えれば、アーサーがサフィアを抱き締めた。
「……ああ。好きだ。愛してるよ、サフィア……」
アーサーの力強い腕がサフィアの身体とベッドの間に差し込まれ、サフィアの背中をぐっと引き寄せた。二人の身体が密着して、その状態でまた動き始める。
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