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序章
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あれからしばくして警察がやって来て、
辺りは騒然となった。
僕は促されるままパトカーに乗せられ
今は警察署の取調室で事情聴取を受けていた。
刑事「で、その男に見覚えは?」
圭佑「ありません」
刑事「どうしてそんな所に男がいた?」
圭佑「知りません」
かれこれ1時間は経っただろうか・・・
この質問も何度も繰り返された。
相変わらず目の前のゴリラが服を着たような刑事が僕を睨みつけている。
はあ~
正直言ってかなりの苦痛だ。
事情が事情だけに分からなくもないが、
いい加減このゴリラ刑事の態度には腹が立ってきていた。
初めから僕が犯人みたいな扱いだ。
圭佑「だから!何度も言ってますけど、僕はあの人の事は知りませんし、事件にも関係ありません!」
ゴリラ刑事「それはこっちが判断する!」
このやり取りも何度目だろう・・・
コンコン・・・
取調室のドアがノックされ、
制服の警官が入って来た。
警官は何やらゴリラ刑事に耳打ちをする。
すると
ゴリラ刑事「なんだと~!」
と、こめかみに太い血管が浮かび上がり、
怒りを露わにする。
バン!!
ゴリラ刑事は壁を殴ると、やって来た警官と取調室を出て行ってしまった。
僕は一人取調室に取り残される。
なんだ?何なんだ?
事情が分からないまま
僕は途方に暮れる。
ガチャ
しばらくして取調室のドアが開いた。
さっきのゴリラ刑事ではなく、
黒髪の綺麗な女性が入って来た。
取調室には全く似合わない、まるでモデルのような人だ。
女性「災難だったわね。でももう大丈夫よ」
その人は笑みを浮かべながらぼくにそう話しかけてきた。
女性「初めましてね、あ、これ・・・」
女性は名刺を手渡してきた。
僕はその名刺を眺めながら
圭佑「・・・・警察省、特殊防犯課・・・室長、長谷 みゆき(はせ みゆき)?」
呟く。
みゆき「みゆきでいいわよ、よろしくぅ~高木圭佑君」
さっきまでの雰囲気との違いに思わず戸惑う。
そんな僕にお構いなしにみゆきさんは僕の腕を掴み、
取調室の外へと促す。
圭佑「え?え?」
みゆき「いいから、いいから」
圭佑「で、でもまずいんじゃ・・・」
みゆき「大丈夫、大丈夫」
みゆきさんに連れられるまま僕は警察署を後にする。
警察署の前に止められている黒塗りの高級車の後部座席に座らせられた。
その隣にみゆきさんが乗り込んでくる。
みゆき「出して」
みゆきさんが運転席の男性に声をかけると
車はゆっくりと走り出した。
圭佑「あ、あの・・・」
みゆき「いやあ~災難だったわね」
圭佑「あ、・・・はい」
みゆき「あんなせまっ苦しい所に閉じ込められてほんと、災難だわ」
圭佑「あの・・・大丈夫なんでしょうか?」
みゆき「大丈夫、大丈夫、気にしないで大丈夫」
みゆきさんは笑顔で親指を立てる。
圭佑「で、でも一応・・・僕は容疑者なんです・・・よね?」
みゆき「君が?容疑者?」
圭佑「さっきの・・・刑事さんは・・・」
みゆき「あはははは」
みゆきさんは突然笑いだす。
みゆき「あ~ごめんなさい」
圭佑「あ、いや別に・・」
何やら馬鹿にされたみたいで少し凹む。
みゆき「警察はね~怪しきは調べるのがお仕事だからねえ」
圭佑「は、長谷さんも警察ですよね?」
みゆき「みゆきでいいわよ」
圭佑「あ、はい」
みゆき「まあ・・・そうなるのかな」
?
なんか歯切れの悪い言い方だ。
みゆき「少なくともわたしはあなたが犯人とは思ってないわ」
圭佑「どうしてですか?」
みゆき「その辺りは後で話すわ」
圭佑「はあ、そうなんですか・・・」
どうも釈然としないが、その方がありがたい。
みゆき「とは言え、参考人の一人、警察署から連れてくるぐらいの権限は持ってるの」
圭佑「つまりは上層部ってやつですか・・・」
みゆき「ふ~ん・・・意外と優秀なのね、君」
圭佑「あ、ありがとうございます」
みゆき「・・・・・だから巻き込まれたんでしょうけどね」
圭佑「え?」
僕が驚いたと同時に車が止まる。
みゆきさんに連れられて降りると、
見覚えのある建物だった。
みゆき「さあ、着いたわよ」
目の前には古ぼけたワンルームマンションがある。
そう
僕の家だ。
驚きながらみゆきさんの方を見ると、
みゆきさんに促されて黒い高級車は走り去ってしまった。
みゆき「いきましょうか」
圭佑「え?行くって・・・・」
みゆき「何呆けてるのよ、お家に帰るのよ」
みゆきさんが明るく笑う。
ぼくの後をみゆきさんがついてくる。
僕はポケットから部屋の鍵を出し、
自宅のドアを開ける。
部屋に入るといつもの日常に帰った気がした。
いゆき「へえ~案外片付いてるのね」
その日常にないみゆきさんがいるんだけど・・・
圭佑「・・・で、何かあるんですよね?」
みゆき「そんなに警戒しないでよ」
圭佑「みゆきさんがここにいるって事は僕にまだ用があるんですよね?」
みゆき「そうね」
とにかく嫌な予感しかしない。
なにせ僕の目の前で人が死んだんだから・・・
みゆき「ちょっと、台所かりるわね」
圭佑「あ、はい」
みゆきさんは何やら台所でゴソゴソしている。
僕はお客様用の座布団を引っ張り出して小さなテーブルの向かい側に置く。
反対側に腰を下ろすとみゆきさんがカップを二つ持ってやってきた。
みゆき「疲れたでしょ、これでも飲んで落ち着きなさい」
そういってカップの一つを僕に手渡す。
暖かくて凄くいい香りがする。
圭佑「紅茶ですか?」
みゆき「知り合いに詳しいのがいてね、飲んでみて」
一口飲むと紅茶のいい香りが口に広がる。
美味しい!
てか、紅茶ってこんなに美味しいんだ・・・
圭佑「美味しいです、ほんとに」
みゆき「よかったわ」
紅茶のせいか自分が冷静になってきたのがよく分かる。
そうか、僕は・・・ずっと緊張してたんだな・・・
それをみゆきさんは察して気を利かせてくれたんだ。
それが解るとみゆきさんは信用してもいいんじゃないかと思った。
みゆき「さてと・・・落ち着いた?」
圭佑「はい」
みゆき「じゃあ、警察で話した事、わたしにも話してもらえる?」
圭佑「わかりました」
僕は事件の一部始終をみゆきさんに伝える。
みゆきさんは頷きながら聞いていた。
そして最後に聞いた・・・
アクエリア
最後まで話を聞いていたみゆきさんは考え込んでいた。
みゆき「そのアクエリアって?」
圭佑「分かりません」
みゆき「なるほど・・・」
みゆきさんはしばらく考え込んだ末に口を開いた。
みゆき「君はあの被害者の事は知らない?」
圭佑「はい」
みゆき「そのアクエリアってのも分からない?」
圭佑「はい」
みゆき「その男から何か預かってない?」
圭佑「いえ、何も・・・」
みゆき「そっか・・・」
圭佑「何かあるんですか?」
みゆき「いいわ、とにかく君には自分の置かれている事情を理解してもらう必要があるわ」
圭佑「置かれている事情?」
みゆき「まず、あの死んだ男は西城 公康(さいじょう きみやす)、わたしの組織がずっとマークしていた人物なの」
圭佑「何かしたんですか?あの人」
みゆき「その辺りの事情は悪いけど話せない」
圭佑「・・・・守秘義務ですか・・・」
みゆき「まあね、それに詳しい事を聞けば君にも制限がつくわ」
圭佑「それは嫌ですね」
みゆき「だから必要最小限の事情しか話せない、理解できた?」
圭佑「はい」
僕は紅茶に口をつける。
みゆき「西城の足取りは3年前から途絶えていたの、それが最近になって存在が確認された」
圭佑「どこか海外にでもいたんですかね」
みゆき「それは謎ね、ただ西城は3年前<ある物>を当時いた研究所から盗み出したの」
圭佑「あ、さっき言った預かってないかって・・・」
みゆき「うーん・・・ちょっと違うかな」
圭佑「?」
みゆき「その<ある物>って簡単に持ち運べる物ではないからね」
圭佑「ならどうしてそんな事聞くんですか?」
みゆき「現物ではないにしろ手掛かりとして何か所持していたかもしれないでしょ」
圭佑「なるほど・・・」
みゆき「少し話を戻すわね」
圭佑「はい」
みゆき「西城の死因なんだけどおかしな所があるの」
圭佑「あんな血塗れな状態だけで十分おかしいですけど」
みゆき「鑑識の結果、何か拷問を受けていた節があったの」
圭佑「拷問!?」
僕は思わず叫んでしまった。
みゆき「最終的には出血多量で死亡なんだけど、拷問を受けてなおあの場所で亡くなったとなると・・・」
圭佑「・・・・!逃げ出した?」
みゆき「そうね、そして西城は誰かに追われていた事になる」
圭佑「・・・・・」
みゆき「しかもその相手は手ひどい拷問をいとも簡単に行える凶悪な人物、もしくは団体」
圭佑「そんな・・酷い事」
みゆき「だから君みたいな平凡な大学生が犯人なわけないの」
圭佑「確かに」
みゆき「で、ここからが本題」
圭佑「今まで本題じゃなかったんですか!?」
みゆき「てかさ」
圭佑「はい?」
みゆき「君ここまで聞いて何か思わない?」
圭佑「何かって・・・酷い事件だなあ・・・と」
みゆき「鈍感なのか、肝っ玉が太いのか・・・・ま、前者か・・・」
僕は頭を捻る。
ここまでの話だとかなり凶悪な事件に思える。
それこそ僕みたいな平凡な学生が立ち入る隙などない。
圭佑「・・・僕には関係ないように思えますけど・・・」
思った疑問を素直に口にしてみる。
みゆき「向こうもそう思ってくれればいいけどね」
?
僕にはみゆきさんの言葉の真意が解らない。
圭佑「どういう意味ですか?」
みゆき「いい?話を整理するわよ?」
圭佑「はい」
みゆき「西城は何者かに追われていた。」
圭佑「そうですね、しかも拷問すら厭わない人物に」
みゆき「西城が追われていたのはその人物が、西城から何か情報か物品を奪うための可能性が極めて高い」
圭佑「つまり西城さんが何か握っていたと?」
みゆき「その西城の最後に接触したのが・・・君よ」
圭佑「・・・・・・」
僕は何となくみゆきさんの意図が解って来た。
それは
とてつもなく恐ろしい意図・・・・
みゆき「その西城を殺した犯人に、狙われるかもしれないのよ」
圭佑「!」
みゆき「少しは自分の置かれてる立場は理解出来たかしら?」
圭佑「いや!ちょ、ちょっと待ってください!」
みゆき「だから、それは向こうに言いなさい」
圭佑「んな事出来るわけないじゃないですか!」
っみゆき「まあ、まあ、落ち着いて」
圭佑「落ち着けるわけないじゃないですか!」
みゆき「だから、わたしがここにいるのよ」
圭佑「・・・?」
みゆき「あなたの身辺警護の為にわたしはここにいるのよ」
圭佑「・・・・僕を・・・助けてくれるんですか・・・?」
みゆき「とは言え、君が西城の最後に立ち会ったのはほぼ偶然にすぎないわ」
圭佑「・・・・はい」
みゆき「あくまでその可能性があるってだけで、実際犯人に狙われないかもしれない」
圭佑「・・・あくまで可能性の話ですよね?」
みゆき「だから万が一に備えてわたしが警護するの、理解できた?」
僕はため息をつき、うなだれる。
圭佑「僕は選べる立場じゃないのがよーくわかりました・・・」
みゆき「そんなに落ち込まないの、事件解決までわたしが守ってあげるから」
そう言うみゆきさんが凄く頼もしく見えるのは
その満点の笑みのせいかもしれない・・・
この人なら信用できる
僕はそう思っていた・・・・
しかし
事態は僕やみゆきさんの予想を遥かに超えていたのだった・・・・
悪いほうに・・・
辺りは騒然となった。
僕は促されるままパトカーに乗せられ
今は警察署の取調室で事情聴取を受けていた。
刑事「で、その男に見覚えは?」
圭佑「ありません」
刑事「どうしてそんな所に男がいた?」
圭佑「知りません」
かれこれ1時間は経っただろうか・・・
この質問も何度も繰り返された。
相変わらず目の前のゴリラが服を着たような刑事が僕を睨みつけている。
はあ~
正直言ってかなりの苦痛だ。
事情が事情だけに分からなくもないが、
いい加減このゴリラ刑事の態度には腹が立ってきていた。
初めから僕が犯人みたいな扱いだ。
圭佑「だから!何度も言ってますけど、僕はあの人の事は知りませんし、事件にも関係ありません!」
ゴリラ刑事「それはこっちが判断する!」
このやり取りも何度目だろう・・・
コンコン・・・
取調室のドアがノックされ、
制服の警官が入って来た。
警官は何やらゴリラ刑事に耳打ちをする。
すると
ゴリラ刑事「なんだと~!」
と、こめかみに太い血管が浮かび上がり、
怒りを露わにする。
バン!!
ゴリラ刑事は壁を殴ると、やって来た警官と取調室を出て行ってしまった。
僕は一人取調室に取り残される。
なんだ?何なんだ?
事情が分からないまま
僕は途方に暮れる。
ガチャ
しばらくして取調室のドアが開いた。
さっきのゴリラ刑事ではなく、
黒髪の綺麗な女性が入って来た。
取調室には全く似合わない、まるでモデルのような人だ。
女性「災難だったわね。でももう大丈夫よ」
その人は笑みを浮かべながらぼくにそう話しかけてきた。
女性「初めましてね、あ、これ・・・」
女性は名刺を手渡してきた。
僕はその名刺を眺めながら
圭佑「・・・・警察省、特殊防犯課・・・室長、長谷 みゆき(はせ みゆき)?」
呟く。
みゆき「みゆきでいいわよ、よろしくぅ~高木圭佑君」
さっきまでの雰囲気との違いに思わず戸惑う。
そんな僕にお構いなしにみゆきさんは僕の腕を掴み、
取調室の外へと促す。
圭佑「え?え?」
みゆき「いいから、いいから」
圭佑「で、でもまずいんじゃ・・・」
みゆき「大丈夫、大丈夫」
みゆきさんに連れられるまま僕は警察署を後にする。
警察署の前に止められている黒塗りの高級車の後部座席に座らせられた。
その隣にみゆきさんが乗り込んでくる。
みゆき「出して」
みゆきさんが運転席の男性に声をかけると
車はゆっくりと走り出した。
圭佑「あ、あの・・・」
みゆき「いやあ~災難だったわね」
圭佑「あ、・・・はい」
みゆき「あんなせまっ苦しい所に閉じ込められてほんと、災難だわ」
圭佑「あの・・・大丈夫なんでしょうか?」
みゆき「大丈夫、大丈夫、気にしないで大丈夫」
みゆきさんは笑顔で親指を立てる。
圭佑「で、でも一応・・・僕は容疑者なんです・・・よね?」
みゆき「君が?容疑者?」
圭佑「さっきの・・・刑事さんは・・・」
みゆき「あはははは」
みゆきさんは突然笑いだす。
みゆき「あ~ごめんなさい」
圭佑「あ、いや別に・・」
何やら馬鹿にされたみたいで少し凹む。
みゆき「警察はね~怪しきは調べるのがお仕事だからねえ」
圭佑「は、長谷さんも警察ですよね?」
みゆき「みゆきでいいわよ」
圭佑「あ、はい」
みゆき「まあ・・・そうなるのかな」
?
なんか歯切れの悪い言い方だ。
みゆき「少なくともわたしはあなたが犯人とは思ってないわ」
圭佑「どうしてですか?」
みゆき「その辺りは後で話すわ」
圭佑「はあ、そうなんですか・・・」
どうも釈然としないが、その方がありがたい。
みゆき「とは言え、参考人の一人、警察署から連れてくるぐらいの権限は持ってるの」
圭佑「つまりは上層部ってやつですか・・・」
みゆき「ふ~ん・・・意外と優秀なのね、君」
圭佑「あ、ありがとうございます」
みゆき「・・・・・だから巻き込まれたんでしょうけどね」
圭佑「え?」
僕が驚いたと同時に車が止まる。
みゆきさんに連れられて降りると、
見覚えのある建物だった。
みゆき「さあ、着いたわよ」
目の前には古ぼけたワンルームマンションがある。
そう
僕の家だ。
驚きながらみゆきさんの方を見ると、
みゆきさんに促されて黒い高級車は走り去ってしまった。
みゆき「いきましょうか」
圭佑「え?行くって・・・・」
みゆき「何呆けてるのよ、お家に帰るのよ」
みゆきさんが明るく笑う。
ぼくの後をみゆきさんがついてくる。
僕はポケットから部屋の鍵を出し、
自宅のドアを開ける。
部屋に入るといつもの日常に帰った気がした。
いゆき「へえ~案外片付いてるのね」
その日常にないみゆきさんがいるんだけど・・・
圭佑「・・・で、何かあるんですよね?」
みゆき「そんなに警戒しないでよ」
圭佑「みゆきさんがここにいるって事は僕にまだ用があるんですよね?」
みゆき「そうね」
とにかく嫌な予感しかしない。
なにせ僕の目の前で人が死んだんだから・・・
みゆき「ちょっと、台所かりるわね」
圭佑「あ、はい」
みゆきさんは何やら台所でゴソゴソしている。
僕はお客様用の座布団を引っ張り出して小さなテーブルの向かい側に置く。
反対側に腰を下ろすとみゆきさんがカップを二つ持ってやってきた。
みゆき「疲れたでしょ、これでも飲んで落ち着きなさい」
そういってカップの一つを僕に手渡す。
暖かくて凄くいい香りがする。
圭佑「紅茶ですか?」
みゆき「知り合いに詳しいのがいてね、飲んでみて」
一口飲むと紅茶のいい香りが口に広がる。
美味しい!
てか、紅茶ってこんなに美味しいんだ・・・
圭佑「美味しいです、ほんとに」
みゆき「よかったわ」
紅茶のせいか自分が冷静になってきたのがよく分かる。
そうか、僕は・・・ずっと緊張してたんだな・・・
それをみゆきさんは察して気を利かせてくれたんだ。
それが解るとみゆきさんは信用してもいいんじゃないかと思った。
みゆき「さてと・・・落ち着いた?」
圭佑「はい」
みゆき「じゃあ、警察で話した事、わたしにも話してもらえる?」
圭佑「わかりました」
僕は事件の一部始終をみゆきさんに伝える。
みゆきさんは頷きながら聞いていた。
そして最後に聞いた・・・
アクエリア
最後まで話を聞いていたみゆきさんは考え込んでいた。
みゆき「そのアクエリアって?」
圭佑「分かりません」
みゆき「なるほど・・・」
みゆきさんはしばらく考え込んだ末に口を開いた。
みゆき「君はあの被害者の事は知らない?」
圭佑「はい」
みゆき「そのアクエリアってのも分からない?」
圭佑「はい」
みゆき「その男から何か預かってない?」
圭佑「いえ、何も・・・」
みゆき「そっか・・・」
圭佑「何かあるんですか?」
みゆき「いいわ、とにかく君には自分の置かれている事情を理解してもらう必要があるわ」
圭佑「置かれている事情?」
みゆき「まず、あの死んだ男は西城 公康(さいじょう きみやす)、わたしの組織がずっとマークしていた人物なの」
圭佑「何かしたんですか?あの人」
みゆき「その辺りの事情は悪いけど話せない」
圭佑「・・・・守秘義務ですか・・・」
みゆき「まあね、それに詳しい事を聞けば君にも制限がつくわ」
圭佑「それは嫌ですね」
みゆき「だから必要最小限の事情しか話せない、理解できた?」
圭佑「はい」
僕は紅茶に口をつける。
みゆき「西城の足取りは3年前から途絶えていたの、それが最近になって存在が確認された」
圭佑「どこか海外にでもいたんですかね」
みゆき「それは謎ね、ただ西城は3年前<ある物>を当時いた研究所から盗み出したの」
圭佑「あ、さっき言った預かってないかって・・・」
みゆき「うーん・・・ちょっと違うかな」
圭佑「?」
みゆき「その<ある物>って簡単に持ち運べる物ではないからね」
圭佑「ならどうしてそんな事聞くんですか?」
みゆき「現物ではないにしろ手掛かりとして何か所持していたかもしれないでしょ」
圭佑「なるほど・・・」
みゆき「少し話を戻すわね」
圭佑「はい」
みゆき「西城の死因なんだけどおかしな所があるの」
圭佑「あんな血塗れな状態だけで十分おかしいですけど」
みゆき「鑑識の結果、何か拷問を受けていた節があったの」
圭佑「拷問!?」
僕は思わず叫んでしまった。
みゆき「最終的には出血多量で死亡なんだけど、拷問を受けてなおあの場所で亡くなったとなると・・・」
圭佑「・・・・!逃げ出した?」
みゆき「そうね、そして西城は誰かに追われていた事になる」
圭佑「・・・・・」
みゆき「しかもその相手は手ひどい拷問をいとも簡単に行える凶悪な人物、もしくは団体」
圭佑「そんな・・酷い事」
みゆき「だから君みたいな平凡な大学生が犯人なわけないの」
圭佑「確かに」
みゆき「で、ここからが本題」
圭佑「今まで本題じゃなかったんですか!?」
みゆき「てかさ」
圭佑「はい?」
みゆき「君ここまで聞いて何か思わない?」
圭佑「何かって・・・酷い事件だなあ・・・と」
みゆき「鈍感なのか、肝っ玉が太いのか・・・・ま、前者か・・・」
僕は頭を捻る。
ここまでの話だとかなり凶悪な事件に思える。
それこそ僕みたいな平凡な学生が立ち入る隙などない。
圭佑「・・・僕には関係ないように思えますけど・・・」
思った疑問を素直に口にしてみる。
みゆき「向こうもそう思ってくれればいいけどね」
?
僕にはみゆきさんの言葉の真意が解らない。
圭佑「どういう意味ですか?」
みゆき「いい?話を整理するわよ?」
圭佑「はい」
みゆき「西城は何者かに追われていた。」
圭佑「そうですね、しかも拷問すら厭わない人物に」
みゆき「西城が追われていたのはその人物が、西城から何か情報か物品を奪うための可能性が極めて高い」
圭佑「つまり西城さんが何か握っていたと?」
みゆき「その西城の最後に接触したのが・・・君よ」
圭佑「・・・・・・」
僕は何となくみゆきさんの意図が解って来た。
それは
とてつもなく恐ろしい意図・・・・
みゆき「その西城を殺した犯人に、狙われるかもしれないのよ」
圭佑「!」
みゆき「少しは自分の置かれてる立場は理解出来たかしら?」
圭佑「いや!ちょ、ちょっと待ってください!」
みゆき「だから、それは向こうに言いなさい」
圭佑「んな事出来るわけないじゃないですか!」
っみゆき「まあ、まあ、落ち着いて」
圭佑「落ち着けるわけないじゃないですか!」
みゆき「だから、わたしがここにいるのよ」
圭佑「・・・?」
みゆき「あなたの身辺警護の為にわたしはここにいるのよ」
圭佑「・・・・僕を・・・助けてくれるんですか・・・?」
みゆき「とは言え、君が西城の最後に立ち会ったのはほぼ偶然にすぎないわ」
圭佑「・・・・はい」
みゆき「あくまでその可能性があるってだけで、実際犯人に狙われないかもしれない」
圭佑「・・・あくまで可能性の話ですよね?」
みゆき「だから万が一に備えてわたしが警護するの、理解できた?」
僕はため息をつき、うなだれる。
圭佑「僕は選べる立場じゃないのがよーくわかりました・・・」
みゆき「そんなに落ち込まないの、事件解決までわたしが守ってあげるから」
そう言うみゆきさんが凄く頼もしく見えるのは
その満点の笑みのせいかもしれない・・・
この人なら信用できる
僕はそう思っていた・・・・
しかし
事態は僕やみゆきさんの予想を遥かに超えていたのだった・・・・
悪いほうに・・・
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