スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し

文字の大きさ
37 / 54

37話

しおりを挟む

 お、ようやく注文するのが決まったらしく、仮面の人――カエデちゃんがボタンを押した! いよいよ何かのモンスターが登場するはずだ。んで、それを【死神】っていうレアスキルで倒して料理をいただくつもりなんだろうね。

 ……まさかの放置で自爆テロっていう可能性もあるけど、それは考えたくない。

 ちなみに例の人影はというと、未だに動く気配がなかった。モンスターが来たあとでなんらかの行動に出るのかもしれない。

 もうそろそろ、リサとミリルが来ないかなと思ってたら、タイミングよくやって来た。リサがミリルの背中に乗ってて可愛さ倍増だ。

「シー……静かにね、リサ、ミリル。これからテロ事件が起きるかもだから、僕が何か指示するまで大人しくしててね」

「う、うん。坊や」

「クーン……」

 僕が小声でそう発すると、リサもミリルも同じように囁くような声で返してきた。本当に物分かりがいい。役者も揃ったってことでセーブしておく。

 イベントボードに流れたコメントを見ると、『犬相手にかくれんぼは無謀すぎ』だの『リサたんも偉い!』だの『ボキュだけの天使ウルフヘア―ちゃんはいずこ!?』だの、なんとも平和なコメントばかりで、異変にはまだ気づいてない様子。ここまでは僕の思う通りだ。

「――あっ……」

 遂に来た! あ、あれは……本物のミノタウロスだ……と思ったら、人影が颯爽とカエデちゃんに接近して、すぐに元居た場所に戻っていく。一体何をしたんだ……?

『ブモオオオオオオォォッ!』

 4メートル近くある巨体のモンスターが、それと同じくらい大きなハンマーを振り上げたっていうのに、すぐ傍にいるカエデちゃんは座ったままだった。

 そうか……この時点で既に何かされてたんだね。僕はそのあとの惨劇を見たくないのでロードすることに。

 ってか、ミノタウロスが出た瞬間、イベントボードに『現在、SSRスキルが獲得できる状態です――』って表示されてたような? 今はそれどころじゃないからあとで確認してみるか。

 とにかく、これで誰が悪いのかはっきりした。仮面の人――カエデちゃんはシロで、人影がクロだったんだ。

「ミリル。これから何かモンスターが出現した時点で、あの人影のほうに行って《咆哮》を使って」

「きゃうん!」

「リサはミリルが吠えたら、あの人影に抱き付いて、見えなくなる系のスキルを吸い取るんだ」

「うん!」

 まもなく、ミノタウロスが出現したのでミリルが人影に駆け寄って《咆哮》すると、リサが間髪入れず抱き付いた。これでミリルから2メートル以内の味方以外は身動きが取れなくなる。

「ぬぁっ……!?」

 人影のほうから素っ頓狂な声がしたかと思ったら、その姿がはっきり見えてきた。よし、狙い通り隠れる系のスキルを吸い取ったんだ。って、あいつは……支部で何度か見かけた挙動不審な男だ。

 ミノタウロスのほうは、Aランクハンターのカエデちゃんに任せておけばいいだろうってことで、僕は元人影のスキルボードを改めて調べるために【開眼】スキルを使用する。

 名前:板城十史郎《いたきとおしろう》
 ハンターランク:D★★
 所持スキル:(1)
 SRスキル【催眠】
 称号《テロリスト》

 やっぱりこの男か……。称号っていうのは、自身が普段どういう風に他人に思われているかだけでなく、自分の行動によっても変化するんだ。《仕置き人》のサツキや《ストーカー》の百々山三郎なんかもその類だろうね。

 さて、この男からどんなスキルを《吸収》したのか、リサのほうも調べてみよう。もちろん、【フェイク】で弄ってない本物のステータスを。

 名前:リトルサキュバス
 モンスターランク:B
 特殊能力:(2)
《吸収》《透明》

 なるほど……。この【透明】スキルで、テロ犯は体も情報も透明化してたってわけか……って、また大事な何かを忘れてると思ったら、そうだ。スキルのことだ。

 ログを辿っていくと、『――獲得条件は、ミノタウロスを自滅させることです』というメッセージが残されていた。モンスターが墓穴を掘るような格好にすればいいのかな。どうやればいいんだろう?

『ブモオオオオオォォッ!』

「ちょ、ちょっと! ミノタウロス氏っ! どどっ、どうかやめてくださいであります! 怖いのでありますぅうう!」

「ありゃ……」

 気が付くと、カエデちゃんがミノタウロスから逃げ回っていた。あれれ? 彼女って確か、Aランクハンター……なんだよね?

 でもよく考えるとダブルスーパーレアの【死神】スキル持ちとはいえ、いつ発動するかは運次第だし、それに頼り切ってあとは逃げ回るスタイルなのか。

「こっち!」

「ふわっ!?」

 受付嬢が本来カウンターにいるべきであろう時間帯に別の仕事をしてることが判明した場合、なんらかの厳しい罰則があるはず。

 このままじゃカエデちゃん=仮面の人って視聴者にバレちゃいそうなので、《テロリスト》の板城はリサとミリルに任せるとして、僕はカエデちゃんを素早くテーブルの下に隠すと、獲物を見失って困惑してる様子のミノタウロスの前に躍り出た。

「……うあ……」

 で、でかい……。さすが、A級モンスター。こうして実際に近くで正対するとその大きさもそうなんだけど、それ自体が持っているオーラのようなものに圧倒されそうになる。

 とはいえ、元小ボスのリサとユニークモンスターのミリルを味方にしている僕にとっては、すぐにその威圧感に馴染むことができた。

『ブモオオオオオォッ!』

「くっ……!?」

【神速】スキルがあるんだから、ハンマーなんて当たるわけがない――って思うんだけど、これが意外とバカにならない。

 なんせ、図体がでかいだけじゃなくてスピードもかなりあって、さらにハンマーが振り下ろされるたびに物凄い振動が起こるのでバランスを崩しそうになり、それがなんとも厄介すぎた。

 あと、倒すだけなら範囲も1メートルから2メートルに伸びた【殲滅】スキルがあるから楽なんだけど、SSRスキルを獲得したいからそういうわけにもいかない。

 自滅させるにはどうしたら……って、そうだ! もうこっちはかわすだけでそれ以外は何もしなくていいんだ。何故なら、カエデちゃんによって【死神】スキルが既に使用されているはずだから。

 というわけで、僕はそれから5秒ほどミノタウロスの猛攻から逃げ続けた結果、予期せぬことが起きた。やつがハンマーを振り上げた際、すっぽ抜けたのか手放してしまったんだ。まもなく落下してきた大きな鉄の塊が、ぽかんとするミノタウロスの脳天に直撃した。

 お……倒れてピクリとも動かなくなったかと思うと、跡形もなく消滅していき、勝手に自滅したってことでスキルボックスが落ちた! よし、きたーっ! この瞬間、癖になりそうだけど、周囲の人に見られないようにすぐ拾って開封する。

『SSRスキル【大食漢】を獲得しました』

 ははっ、いかにも『死霊のレストラン』ダンジョンっぽいスキルだ。効果はどうなんだろう?

『もっと食べたいと願う分だけ消化能力が高くなり、いくらでも食べられる。胃もたれや胸やけすることも太りやすくなることも絶対にない。また、SRスキル【体力上昇・大】と同等の効果があり、さらにスキル枠が一つ上昇する』

 おおぉ、こりゃいい。大好物の唐揚げとかステーキとか食べると結構胃もたれするほうだったし、苦い上に割りと高価な胃薬を飲まなくてもよくなるのは助かる。

 おまけにスタミナまで格段に上がって、獲得できるスキル枠も一つ上昇とか、地味な効果だけど大助かりだし、さすがSSRなだけあるね。この勢いでスキルを取っていけばいずれ二十個超えちゃいそうだし、これは地味に大きいと思う。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

処理中です...