12 / 50
第十二話 灯火
しおりを挟む「……ミケ、大丈夫か?」
「はい。なんとか……」
ミケを背負ってダンジョンから脱出する。
ふー……久々に外に出た気がするな。肌寒い中、階段越しに見上げた夜空はどんよりと雲っていたが、不思議と満たされる思いだった。シルウたちにボコられてたときはまた空を見られるなんて夢にも思わなかったからな……。
それにしても驚かされっぱなしだ。【転送】の隠し効果もそうだし、ミケは明らかに致命傷を負っていたのに蘇生していた。おそらく彼女の回復系スキルによるものだろうな。かなり評価が高そうだし一緒にいれば役に立ちそうだ。
ただ、それでも彼女はルザークの身内だろうからできるだけ離れたいというのが本音だ。
「――さ、もういいだろ」
「はい。ありがとうございました、ルザークさん」
「じゃー、元気でな」
「えっ……」
階段の上でミケを下ろし、一方的に手を振って別れた。少し顔色が悪いように見えたが、ここからは一人でも大丈夫だろう。ロリコンなら問答無用で自宅にお持ち帰りなんだろうが、あいにく俺はノーマルだからな。若干マゾ体質ではあるんだが。
さて、どこで一晩過ごそうか。ケイスじゃないからアパート『夢の森』に帰ろうにも住人として認証されないし……。
ルザークの住んでるところは身内とかいそうだから、その辺の宿にでも泊まろうかな? そういやこいつ所持金いくら持ってるんだろう。タブレットを出して所持金欄を確認する。
……うげっ。20ウェンしかない。子供の小遣いかよ……。これじゃ町の転送ポイント一回分だ。安い宿でも30ウェンは必要になる。こんなの野宿しろって言われてるようなもんだな。
「「……」」
なんか足音がすると思ったらミケがついてきていた。
「ミケ……もういいって言っただろ?」
「えっと、それは一人で歩けるという意味かと……」
「いや、もうお別れって意味だよ」
「……そんな……。一人はもう嫌なんです。あなたと一緒にいたいです……」
「あのなあ……」
怒鳴ってやろうかと思ったら、涙ぐんでるもんだからできなかった。第三者から見たら明らかに児童虐待だもんな。はあ、どうしようか……。
そうだ、【転送】で撒くか。夜道だし効果覿面だろう。
「あの、ルザークさん……あなたの中身が突然入れ替わったことについて詮索はしません。それが嫌なのはわかっています。だから側にいさせてください……」
「……え?」
足元に出た魔法陣をキャンセルする。中の人が違うことがバレてるだと? 一体何故……。
「ミケ、どういう根拠があってそんなことを言うんだ……?」
「まず私に対する呼び方が違います。ルザークさんは私をミケちゃんって呼んでました。それに……その、私を食べたがっていました……」
「……」
ミケが顔を赤くしてる。外見は子供だが、15歳以上ならさすがにその意味もわかるのか。
うーん……バレてるのにこのまま見捨てるのは怖いし、口封じに殺すってわけにもいかないし……仕方ない、開き直って連れて行くか……。
「そうだ。俺はルザークじゃない。ケイスっていうんだ」
「やっぱり……。でも、大丈夫です。詮索なんてしませんから」
「あのな……詮索しなくても、一緒にいたらいずれ目的だってわかるだろ? だったら今教えるよ」
「いいんですか?」
「ああ。そのほうが仲間としては心強いからな」
「私……頑張ります!」
「というか、ミケは素性のわからないやつと一緒にいて怖くないのか?」
「……独りぼっちのほうが怖いので。ずっとお誘いもなかったですし……」
「そ、そうか……」
申し込み0件は本当に辛いからミケの気持ちがよくわかる。まるで自分一人だけ世界から隔離されたような気分になるからな……。
「それに、ルザークさん……いえ、ケイスさんはとても優しそうに見えて、むしろ安心したくらいなんです」
「……」
街灯顔負けなミケの笑顔に目が眩みそうだ。ま、この子なら信じてもよさそうだな。シルウたちに騙されてからまだ間もないっていうのに、俺って結構単純なのかもしれない……。
22
あなたにおすすめの小説
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます!
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる