外れスキル【転送】が最強だった件

名無し

文字の大きさ
11 / 50

第十一話 不意打ち

しおりを挟む

「……すぅ、はあぁ……」

 地面が霞んで見える。意識して呼吸しないと息が詰まりそうだ……って、あれ? 俺、生きてる? 

 ってことは……。

「……」

 恐る恐る顔を上げると、それまでの光景とは明らかに違っていた。壁があり、その下にはバルテスの巨大斧によって木っ端微塵になったスケルトンの姿があった。

 どうやら意識の【転送】に成功したようだ。バルテス、ミケ、ルザークの三人に試行した結果、乗り移れたのはルザークだけだった。何かこの三人に違いでもあるんだろうか?

 あ……そういや、ルザークはかなり疲れている様子だったな。それも、スキルを使いすぎて精神力をかなり摩耗しているのが見て取れた。

 なるほどなるほど、そうか。意識の【転送】には、相手の精神力も関係していたんだ。俺がスケルトンに乗り移れたのも、地下一階の雑魚モンスターだし元々精神力が弱かったからかもしれない。

「――あれれ、なんだこりゃ……。なあんにもレアなんて出てねえぞ……?」

 バルテスが死骸を丹念に調べてるが無駄なことだ。あれは俺が中に入ってただけで、実際はただのスケルトンだからな。

「あの、ルザークさん、大丈夫ですか? ごめんなさい、何もできなくて……」
「……あ、ああ」

 後ろからミケに話しかけられたが、若干返答が遅れた。中身はケイスだからルザークと呼ばれると違和感がある。

 さて、これからどうしようか……。

 ルザークの身内に中身が違うとバレたら、どんな方法で乗り移ったのか調べられる可能性が出てくるように思う。隠し効果は判明した時点で自動的に書き加えられる仕組みだから、乗り移る方法を検索すれば【転送】が引っかかってしまうはずだ。もう載ってるかどうかちょっと確認してみるか。タブレットはっと……あった。くたびれたズボンのポケットに入っていた。

 スキルの名称【転送】

 種類:特殊系

 精神力の消費:小

 効果:狭い範囲であれば、自身を任意の場所に瞬時転送できる。

 隠し効果:精神力レベルが低下した相手に対し、意識を転移させることによって意のままに操ることができる。その場合は精神力を中程度消費するが、再使用するまで効果は続く。

 評価:Fランク

 やはり隠し効果が記載されていた。スキルの評価はFのままだったが、これでいいんだ。

 驚異的な効果だから誰かが検索すればすぐ評価は高まるだろうが、その元の所有者が俺だってことは『サンクチュアリ』のやつらがよく知ってる。この噂が広がったら警戒されて復讐が難しくなってしまう。ボロが出ないうちにルザークの人間関係を清算しといたほうがよさそうだ。というわけで仲間を攻撃できるよう、パーティーからバルテスを追放してやった。

「ちっくしょー。こいつ、レアモンスターじゃなかったみてえだ……うごっ!?」

 おっと……。バルテスの足元付近に短剣を投げて脅すつもりが、そのまま太腿の部分に刺さってしまった。それでも、戻ってこいと意識するだけで短剣はちゃんと俺の手元に帰ってきた。こりゃ便利だな。

「ぐぐ……な、何のつもりだ、ルザーク……」
「ここまでだ。バルテス、お前みたいな役立たずは金輪際必要ない。消えろ!」
「クソッ。ミケを独り占めする気か。お、おおお、覚えてやがれええぇっ!」

 バルテスが足を引き摺るようにして逃げていくのを見届ける。

「る、ルザークさん……?」
「悪いがお前も役立たずだから消えてくれ、ミケ」
「そんな……役立たずなまま消えたくはないです。頑張りますから、どうか見捨てないでください……」
「……」

 うーん。この子、かなり性格が良いっぽいな。バルテスと違って可愛いし連れて行ってやっても……いや、ダメだ。

「――うっ……」
「え?」
『……コォォ……』

 急にミケが倒れたと思ったら、その背後にスケルトンが立っていた。やつが手に持った錆びた剣の矛先からぽたぽたと赤い雫が垂れ落ちている。

 ……そうだった。ここはダンジョンだった。ミケの背後に即湧きしちゃったんだな。

『グギイィッ!』

 近距離から反則的な短剣の乱れ撃ちでバラバラにしてやった。仇は取ったぞ、ミケ……。

「……最後まで……役立たずでごめんなさい……」

 血だまりの中でミケが発した言葉が俺の胸に突き刺さる。

 うーん……本当にいい子だったんだな。それを見捨てようとした俺って、まるで『サンクチュアリ』のメンバーみたいじゃないか。実際そうだったんだが。まあもう死んじゃったものは仕方ない。とっととここから出るとしよう……。

「……う……」
「……え……?」

 呻き声がして、まさかと思って振り返ると、ミケが足を滑らせながらも起き上がろうとしていた。

「ミケ、なんで生きて……?」
「……え……」
「自分の体を見てみろ!」
「……」

 ミケは自分の血まみれの体を見て卒倒した。今度こそ死んだ? なんだったんだ今の……。恐る恐る近寄って確認すると、まだ余裕で息があったし出血も止まっていた。おいおい、嘘だろ……。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

処理中です...