ゴミスキル【スコップ】が本当はチート級でした~無能だからと生き埋めにされたけど、どんな物でも発掘できる力でカフェを経営しながら敵を撃退する~

名無し

文字の大きさ
23 / 32

23.目論見

しおりを挟む
「「はあ……」」

 僕とアリシアの溜め息が重なる。昨日まであんなに賑わっていたカフェが、今ではすっかりもぬけの殻になってしまったからだ。

 というのも、司祭様がしばらく手伝ってくれるってこともあって、『秘境のカフェ・アリシア』から、暫定的に『魅惑のカフェ・プリースト』にしていたものを戻したからだと思う。

 その中心にいた司祭様がもういないってことで、客が全滅しちゃった格好なんだ。彼女、すっかり具合が良くなったってことではりきって山へ行っちゃったしね。

 それでも、来てくれた客の何人かはコーヒー目当てのリピーターになってくれるって期待してたんだけど、僕の目論見があえなく潰れてしまった。人類ってどんだけドスケベなんだよ。いや、僕もそうなんだけどさあ……。

「――アハハハハハハッ!」

「「っ!?」」

 び、びっくりしたあ……。見ると、オーガ子が窓から顔を出して豪快な笑い声を上げているところだった。

「ま、まさかビスケスたちが……?」

「来たわけ……?」

「違うよ。あんたらがあまりにも間抜けだから笑ってやっただけさ」

「酷いなあ、オーガ子さんは……」

「まったくよ。オーガ子、セインはキモすぎるとして、あんたは非情すぎるのよ……!」

「……」

 アリシアはホント、素直じゃなさすぎるんだよなあ。

「非情って……アハハッ! そんなのオーガなんだから当然だろ。というかさ、セイン。あんたの策はあたいに言わせてみりゃ急場凌ぎなんだよ。あんだけ男殺しの女を売りに出しといて、入れ替わりでその小娘を戻したら、そりゃ客なんてがっかりして来なくなるに決まってんじゃないのさ……」

「あははっ……」

「うっ……」

 どうもそれはアリシアのほうにダメージがあったみたいで、がっくりと項垂れていた。

「大丈夫大丈夫。アリシアの胸はまあ確かに小さいほうかもしれないけど、そんなに気にするほど貧乳じゃないよ!」

「セ、セイン、あんたそれ、もしかして褒めてるつもりなわけ……?」

「ええ?」

 普通にフォローしてるつもりなんだけど、アリシアの僕を見る目がなんだか怖い……。

「と、とにかく、気にすることはないってこと!」

「だ、だったらはじめっからそう言いなさいよね!」

「ま、あの女からしてみたら、そこの小娘の胸なんてないも同然だけどね!」

「ぐっ……」

「オーガ子さん……そんなにアリシアをいじめたら、封印しちゃうよ……?」

「アハハッ! あたいは事実を言っただけさ。それより、そんなしょうもないことをいつまでも気にしてる場合なのかい? またあいつらがお礼参りに来るかもしれないってのにさあ……」

「……」

 そうだ、確かにオーガ子の言う通り、またいつビスケスたちが仕返しに来るかわかったもんじゃない。でも、オーガ子を強化しようにも、スキルがあれから全然出てこないんだよね。それこそ何千回と関連掘りをやったわけなんだけど、出てくるのは人骨ばかりで嫌になった。

「てか、オーガ子さんなら、今のままでも充分強いし、大丈夫かも――」

「――フーッ……」

「ゴホッ、ゴホッ……!」

 またしても顔面を煙で殴られてしまった……。

「本当に、あんたってやつはとことんお花畑だねえ……」

「ど、どういう……ケホッ、ケホッ……」

「逆の立場で考えてみなっ。一度、あんだけこっぴどくやられておいて、また前回と同じようにのうのうとやってくると思うのかい……?」

「あっ……」

 それもそうか……。特にビスケスなんて顔が広くて知り合いも豊富にいるらしいし、新しい仲間を連れて来るとか、あるいは凄腕の殺し屋みたいなのを雇うとかあってもおかしくない。そう考えると、途端に物凄く不安になってきた……。

「ま、じっくり対策を考えときな。あたいは煙を吸うか吐くか、あるいは食べるか戦うかだけにさせてもらうよ」

「……」

 オーガ子が窓から顔を引っ込めたので、その存在感の消失に煽られて僕はさらに心配になる。どうしよう、どうしよう……。

「アリシア、どうしようか――」

「――えっ……」

「っ!?」

 アリシアが、とても不安そうに自身の胸を覗いているのをはっきりと見てしまった。

「アリシア、そんなに気にしてたんだね……」

「そっ、そりゃ、ないも同然なんて言われたら確認してみたくもなるでしょ! それだけのことよ! ふんっ!」

「……」

 僕はそのとき、名案を思い付いてしまった。彼女は昔の帝国の人だから、今の常識はよくわからないはず。つまり……。

「ね、ねえアリシア、それならいい方法があるよ」

「い、いい方法って……?」

「その……直接手で揉んだら大きくなるみたいだよ。それも、異性がね……」

 言ってて少しだけ罪悪感はあったけど、仕方ないんだ。これは僕たちの不安を和らげる意味でも、かなり有効な案だと思うし……。

「へえ、そうなんだ。じゃあやってもらえる?」

「う、うん!」

 よっしゃー!

「なわけないでしょっ!」

「ぐはっ!?」

 油断したところで猛烈なビンタを食らっちゃった。イタタ……。

「ホント、セインったらドスケベなんだから……」

 でも、アリシアも赤面してるしまんざらでもなさそうだ……って、こんなスケベなことを考えてる場合じゃないんだよね。もしオーガ子がやられちゃったら、それこそ一気に劣勢に立たされちゃうわけだし……。

 客も必要、戦力も必要ってことで、問題は山積みだった。こういうのをすぐに解決できるような都合のいい名案なんて、そうそう浮かんでこないよなあ。

 この際、客が戦力になってくればいいのに……って、待てよ……? そうだ、僕ってもしかしたら天才なんじゃないだろうか? そう思ってしまうほど、を思いついてしまった。

 もしこれが本当に可能なら、客が来ない問題も、戦力についても、どっちも解決してしまうことになる。よーし、早速試してみるか……。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~

黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。 待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金! チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。 「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない! 輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる! 元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...