あらゆる属性の精霊と契約できない無能だからと追放された精霊術師、実は最高の無の精霊と契約できたので無双します

名無し

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66.精霊術師、悪魔と対峙する

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「「「「「ピガアアアァァッ!」」」」」

 エリスたちが連れてきた蝙蝠――ローグバット――の群れが、星のブレスレットで魔力を底上げした風刃によってなぎ倒されていく。

「レオン、すごーい」

「いっぱいね、レオン」

「あ、あぁ、そうだな……」

 それにしても、一体どれだけ集めたんだと呆れるほど蝙蝠たちは大量にいたが、そのドロップ品である闇の結晶は一つしか出なかった。

 とはいえ、これを一個持ってきてほしいというのがA級の依頼内容だから、もう完了したってわけだ。出るとしたら200匹倒して一つ程度らしい。つまり、それだけの数をエリスたちは集めたってことか……。

 100匹以上倒したってことで、周囲が見る見るボス部屋へと移行していくのがわかる。

 深い暗闇の中なので、星のブレスレットがなかったらおそらく景色が変わったこともわからなかったはず。

「――ホオオオォォッ……」

 お、魔法陣が怪しく光り輝いたかと思うと、そこから黒い翼に覆われた幼女姿の悪魔が現れた。これでもかと冷徹な眼差しをこちらに向けるこのモンスターこそ、闇の洞窟ダンジョンのボスである。

 通称、――その正式名称は、ディアボロスという。

 アンゲルスと同じく実体がない上、魔法耐性もそれ以上に高いってことでそんな異名がついたのもよくわかる。常に体中から液体のようなものを零しているが、それは物体ではなく闇の気らしい。

 倒された記録が10年前まで遡るってことで、最早討伐するのも難しいレベルの存在なわけだが、この洞窟でも最速記録を達成してみせるつもりだ。

「ティータ、重力を無効化してくれ」

「了解したわ」

 アンゲルスと戦ったときと同じく、無重力になった俺は風刃を発動させて飛行し、ディアボロスの元へと向かっていく。

「ホオォォォッ……!」

 そのまま杖で殴りかかったんだが、ディアボロスは反撃してくるどころか、逃げ始めた。

 あれ、逃げるのかと思って追いかけると、今度は一転して攻撃してくる。行動が不規則で読めないボスとは聞いていたが、まさかこれほどとは。表情も変わらないし、闇の精霊たちも味方をしてくれないので予想すらできない。

「うっ……」

 しかもその攻撃方法というのが、ライフドレインとかいう闇の魔法で、近付くだけでどんどん体力を吸われてしまう。

「エリス、ボスのの無効化を頼む!」

「はぁーい」

 俺がボスのスピード、エリスが魔法防御力を無効化し、光属性にした風の刃で攻撃するも、若干効き目があった程度ですぐ闇魔法のライフドレインで回復され、全然倒せそうにない。星のブレスレットで魔力が上がったこともあって期待したが、元が低いからこんなものだ。

 しかも、そこからやつは怒涛の攻撃をしてくるかと思えば逃げ回る始末。これじゃ、攻撃を当て続けるのも難しい。こんなのどうやって倒せばいいっていうんだ……。

 唯一残っている倒し方の記録も十年前のもので、都で一番の火力の強さで知られる伝説的な召喚術師が、仲間たちを次々と失う中で遂に長い詠唱を完了させ、光の精霊ウィルオーウィスプを召喚してようやく倒したというもの。

 だが、俺にはそんな凄い光魔法があるわけじゃない。不規則な動きをするので、回復が追い付かないほど攻撃し続けることもできない。もうダメなのか……。

「ホオオオォッ!」

「…………」

 なんだ? ディアボロスが目の色を変えてこっちへ向かってきた。表情は変わらないが、その双眸が怪しく光ったような気がした。

 これは一体、どういうことだ? こっちはなんにもしてないはずなのに――

「――はっ……」

 そうか、わかったぞ。ディアボロスは悪魔なだけあって人の心の弱みに反応するのだ。これを利用すれば倒せるかもしれない。心の弱さを消すのではなく、それと真っ向から向き合うことで活路を見出すんだ。

 だが、俺が希望を持ったことが災いしたのか、悪魔は興味を失くした様子で飛び去っていった。

 うーむ……そもそも、俺にはティータがいることで精神的耐性が非常に高いから、心に付け入られるような隙を作るのが難しいんだよな。よーし、それなら……。

「ティータ、しばらく消えてくれないか?」

「えっ……」

 ショックを受けた表情のティータ。可哀想だが仕方ないし、説明している余裕なんてないんだ。

「やーい、ティータ、フラれたー」

「む……エリス、あとで覚えておきなさい。きっと、レオンには何か事情があるのよ……ぐすっ」

 目元に光るものを見せつつ、ティータがその姿を暗ます。

「よ、よくわからぬがライバルが一人減ったな! レオンよ、余は何をすればよいのだ!?」

「マリアンは何もしなくていい」

「な、なぬっ!?」

 マリアンはショックを受けた表情になったが、すぐにニヤリと笑ってみせた。

「ま、それはそうだろう、余は第二王女マリアンなのだからな! 高みの見物を許されるというわけだ!」

「…………」

 このポジティブシンキング、見習いたいとはいえ、今は真逆のことをやらないといけない。そういうわけで、俺はとことんネガティブな気持ちになろうと努めた。

 はぁ……どうせ、今の俺がボスを倒すことなんてできない、記録を作ることも到底無理な話だ。俺はダメ人間なんだ――

「――ホオオオオォッ!」

 早速ディアボロスに好意を持たれたらしく、怖いくらい目をギラつかせてどんどん俺のほうに向かってくる。

 よし、もうこの辺でいいだろう。

「ティータ、出てきてくれ」

「……あら、もういいのかしら?」

「っ!?」

 ティータが現れたことで、ネガティブがポジティブに変換した瞬間、俺はやつの魔法防御力を無効化するとともに、光属性に変えた風刃をディアボロスに浴びせてやった。

「ホオッ……? オホオオオオオオオオォォォッ!」

 ボスが上げた断末魔の悲鳴以上に、この上なく歪んだやつの表情こそ、爆発的に効き目があったことの証だった。

 俺の魔力は弱いが、その分超ネガティブから超ポジティブになるっていう心の緩急で強く見せて、錯覚させることで大ダメージを与えて倒す作戦だ。

《A級パーティー【名も無き者たち】の闇の洞窟の攻略時間、14分48秒。新記録です!》

「「「「おおおぉっ!」」」」

 マリアンを含めた俺たちの歓声がこだまするとともに、周囲の景色が元に戻っていく。しかも、レアドロップ品の深淵の瞳まで手に入れた。

 なんとも黒々とした、光沢のある柔らかい石だ。これは影追いのスカーフっていう激レア装備の材料なんだが、これも星のブレスレット同様、市場に出回っているのを未だかつて見たことがない

 影追いっていうくらいだし影と関係のあるアイテムだとは思うが、どんな効果なのか今から楽しみだ。
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