69 / 87
69.精霊術師、重たいと思う
しおりを挟む「それでは、レオン様、契約いたしましょう……」
「はい、ソフィアさん……」
俺はベッド上でソフィアと体を寄せ合って唇を重ねた。さて、ここから男を見せてやらないとな。
「それじゃ、ソフィアさん、行きますよ」
「き、来てください、レオン様……んっ……」
「うー」
「むぅ」
「ぬぐぐっ」
傍らではエリス、ティータ、マリアンが俺たちの行為を羨ましそうに見ているが、これは契約の儀式だから仕方ないんだ――
「――はっ……」
気が付くとそこは安ホテルの一室で、俺は一人でベッドに横たわっていた。なんだ、夢か、がっかりだな……。
でもよく考えたら、エリスやティータと契約するときにそんなことはしなかったわけで、あまりにも都合がよすぎた。
って、エリスとティータだけじゃなく、マリアンもいないと思ったら、まもなくドタドタと慌ただしい足音が近付いてきた。なんだ……?
「はっ、放すのだっ!」
「だーめっ」
「放さないわよ」
エリスとティータに手を引っ張られたマリアンが部屋に入ってくる。さては、例のカードを持って逃げたか……。
「おいおい、マリアン、まったく反省してないな。これはどういうことだ?」
「ぬううぅ」
彼女の体を念入りに調べると、やはりカードを隠し持っていた。
「ちなみに言うとな、それは偽のカードで、本物はこっちにある」
「なっ……!?」
本物のギルドカードについては、盗まれないようにレア装備と一緒に無効化していたからな。
「証拠品を持ちだして、また悪巧みを働くつもりだったのか?」
「だったのー?」
「そうなのかしら……?」
「い、いやっ、それは断じて違うっ! 余を信じてほしい……」
「「「……」」」
マリアンが涙目で訴えかけてくるが、思いっ切り星のブレスレットが点滅している。やっぱり全然反省してないな。
「――嗚呼ぁっ!」
「「キャッキャ」」
というわけで、またエリスたちに服を消す、戻すのを繰り返す変なお仕置きをやってもらうことに。マリアンは悲鳴を上げつつも少し喜んでそうだから複雑だが。
「それで、何をやるつもりだったんだ?」
「……はぁ、はぁぁっ……と、とりあえず、証拠品を持ちだすとともに王宮へと戻り、それから兵を率いてここへ舞い戻るつもりであった……」
「「「……」」」
俺たちは呆れ顔を見合わせた。とんでもないやつだな……。
「そんなことをしても無駄だってのはわかってるだろ?」
「そ、それはそうだが、言い訳が必要だったのだ……」
「「「言い訳?」」」
「う、うむ……。余は汗臭い冒険者にさらわれたので、今まで帰ってこられなかったんだと。父上は物凄く厳しい人なのでな。貴様ら――い、いや、そなたらを投獄したあと、あとでこっそり釈放するつもりであった。これは本当だぞ?」
星のブレスレットが反応しない。なるほど、そういう事情があったのか……。
「でもなあ、いくら父親が怖いからっていちいちそんな言い訳を用意するなんて、よくそれで王宮を抜け出して冒険者になろうなんて思ったな。覚悟が足りなすぎるんじゃないか?」
「レオンの言う通りだねー」
「私もレオンに同意するわ」
「そ、それはだなっ、そなたらが、父上の恐ろしさを知らぬだけだ。第一王子が子供の頃に王宮から黙って抜け出したときなんて、冬の真っ只中なのに下着一丁で三日三晩、時計塔の天辺に縛られて死にかけたのだぞ! しかも、それは甘いほうの処罰でな……」
「それで甘いほうの処罰なのか……」
「ひどーい」
「酷いわね」
「うむ……。ちなみに、余の姉である第一王女は使用人と密会したことが発覚し、冷宮に幽閉されてしまった。あれからもう三年にもなるが、その間一度も余は顔を見ておらん……」
「「「……」」」
俺たちは声を封じられてしまった。マリアンの父、すなわちこの国の王は我が子であっても容赦がないってことで、彼女が必死になって言い訳を探すのもわかる気がする。
「わかった。そんなに言うなら帰っていいよ。な、エリス、ティータ?」
「うんっ。マリアン、ばいばいー」
「そうね。さようなら、マリアン」
「い、いや、待ってほしい。ただ帰るだけでは、罰を受けてしまうではないかっ! そ、そりゃ余も悪かったが……あ、そうだ、その手があった!」
「ん……?」
マリアンが何かをひらめいた顔になったわけだが、何故か嫌な予感がするな……。
「余の好みの殿方を見つけて、帰りたくなかったと言えばよいのだっ」
「「「えっ……」」」
なんだよ、その言い訳は……。
「いや、ちょっと待ってくれ。さっき、第一王女が使用人と密会して幽閉されたみたいなことを言ってたよな? その言い訳だとまずいんじゃ?」
「それはない。余のような超がつくやんちゃ者には、一般人を含めて婚約者など一生見付からぬだろうと父上は嘆いておられた。だからむしろ喜ばれるであろう。そういうわけだから、婚約者のレオン殿、パーティーはそのままにしておいてくれ。また暇を貰ってきたときはよろしく頼むぞっ!」
「…………」
おいおい、なんか勝手に婚約者にされてるし、しかもその相手が第二王女って……いくらなんでも荷が重過ぎるぞ……。
3
あなたにおすすめの小説
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる