ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し

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5話 組み合わせ


「う、うわわっ……」

「見違えたなあ」

 あれから俺は、高級宿でリリに美味しいものを腹いっぱい食わせてやったあと、風呂にも入れさせて、さらにお洒落な服も購入してやった。

 彼女はしばらく信じられないといった様子だったが、ようやく現実だって認識できたらしく、鏡を覗き込んで小躍りし始めたので微笑ましかった。

「ね、ねえ、あんたって……フォードって、もしかして超大金持ちさんなのかい……?」

 まあ、リリがそう勘違いするのもわかる。いきなりこんなところへ連れてこられて贅沢三昧なわけだからな。

「んー……どっちかっていうと貧乏人で、今やリリと同じ無一文だ」

「へっ?」

「有り金はもう全部使い果たしたから……」

「マ、マジで……? あたしなんかのために、なんでそこまでしてくれるんだよ。まさか、人生に失敗して投げやりになってるんじゃないだろうね……」

「いやいや、当てがあるからだよ。別に自棄になったわけじゃない」

「嘘だ……もう見栄なんて張らなくていいよ。そうだ……どうせだし、貧乏人同士で慰めセックスでもするかい……? イテッ!」

「こらこら、なんでそんな言葉知ってんだ」

 思わず強めに小突いてしまったが、リリは痛そうに頭を押さえつつも茶目っ気のある笑みを覗かせていた。

「だ、だって、あたしこれでも15歳だからね。それくらい知ってるよ」

「てか、本当に15なのか? 体だけ見るともっと若く見えるけどな」

「そりゃ、ろくに食べてきてないからねえ。ちんちくりんさ」

「な、なるほど……。とにかく、見栄張ってるわけでもないし、慰め合う必要もない。この神授石があればな……」

 俺はリリから受け取った八つの神授石を手に、凄みのある笑みを浮かべてみせた。

「ププッ……何言ってんだい、フォード。そこら辺にポイされてるような、そんなゴミスキルじゃ大したお金にはなりゃしないよ……」

「まあ見てろ。15歳ならスキルが使えるし、リリにも一つタダでやる」

 教会で洗礼を受ける際、最低でも銅貨10枚は寄付しないといけない決まりになっている。孤児のリリは銅貨10枚払う余裕さえもないわけだし、その分俺が補ってやれば問題ない。

「えぇ……あたし、本当にいらないよ。ゴミスキルなんてさあ……」

「いいから」

 怪訝そうな顔のリリをその辺に座らせて、俺は彼女に貰った八つの神授石を分析アナライズしてみることに。

【文字通】:念じるだけで地面に文字を書くことができる。

【蛇好き】:蛇が目の前に一匹出現する。

【足踏み】:対象がその場で足踏みする。

【宙吊り】:物を宙に浮かせることができる。

【噛み】:対象の舌が縺れる。

【喪失】:自分がたった今体験したことであれば記憶から消去できる。

【目から鱗】:自身の目から鱗が落ちる。

【威風堂々】:対象の存在感が上がる。

「……」

 これまた、とんでもないゴミスキルばかりで、捨てられるのも大いに納得できた。だが、俺の【分解】スキルさえあればこんなものでも化けてくれるはず。見てろ……。

 ――こんなもんでいいかな。

 スキル名:【足掬い】
 効果:対象の足を縺れさせる。

 まず最初に作ったスキルは【噛み】と【足踏み】を合わせたもので、相手の足を縺れさせるわけだから、逃げる、または追いかける状況で結構使えそうだ。

 スキル名:【目から蛇】
 効果:自身の目から蛇が出て来る。

 次に作ったスキルは【目から鱗】と【蛇好き】の組み合わせで、インパクトがあって相手を怯ませるのに便利だと感じた。

 スキル名:【宙文字】
 効果:宙に文字を書くことができる。

 三つ目のスキルは【文字通】と【宙吊り】を合わせたもので、宙に文字を書けるのは面白そうだと思ったんだ。あと、耳が聞こえない人と話す際にも有効かもしれない。

 スキル名:【希薄】
 効果:対象の存在感を消すことができる。

 最後に作ったスキルは【喪失】と【威風堂々】を合体させたもので、危険な目に遭ったときに使うとよさそうだ。

 ちなみに、【足踏み】と【喪失】を合わせて足を消すスキルなんてのも作ろうとしたら、エラーなのか出来なかった。さすがに強すぎるというか理不尽すぎる効果は受け付けないようだ。

 俺は早速【宙文字】スキルで、スキル群とその効果を念じることで宙に書き連ね、リリに選ばせてやる。

「えっ……な、なんなんだい? これ……」

「リリから受け取った八つのゴミスキルを、俺のスキル【分解】でぶっ壊して作り直した上で並べたんだよ。今使ってる【宙文字】もその一つだ。中々いいだろ?」

「へえ……フォードってそんなことができるのかい。凄いじゃないかあ……。じゃあ、これにするよっ!」

 リリが選んだのは【足掬い】スキルだった。

「お、いいの選んだな。なんに使うんだ?」

「これさえあればさ、犯罪に巻き込まれそうなったときとかに便利そうだからねえ」

「なるほど……って!」

 違和感を感じて、足元を見たら俺の足が絡み合っていた。

「リリ……」

「へへっ……」

 リリのやつ、してやったりの顔だ。今は止まってるからいいが、走ってるときとかにこれをやられたらド派手に転倒しそうだな……。

「じゃあ今度はこっちの番だ」

「あ、あれっ……消えた……!?」

「……」

 自分に【希薄】を使うと、俺の存在を察知できないのかリリが周囲を見回し始めた。存在感を消すと、こうもわからないもんなんだなあ。こんなに近くにいるのに。

「フォード……どこなんだい? 出てきておくれよ……」

「……」

 そう言われてもな……。そういや解除ってどうやるんだろう?

「――みっけ!」

 俺の存在に気付いてほしいと強く思ったら、嬉々とした顔のリリに抱き付かれた。そうか、スキルの使用者が存在を認知してほしいと思うことで解除されるってわけだ。

「リリ、次は【目から蛇】を試してやろうか?」

「そっ、それだけはやめてえぇっ!」

「ははっ……」

 迫力という意味では、このスキルの中では最高なんだけどなあ。まあこんなところで蛇なんか出したら出禁にされそうだし、また別の機会に試させてもらうとしよう……って、待てよ? これなら見世物として稼ぐのも悪くなさそうだな。無一文だしやってみる価値はありそうだ……。
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