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第二章
清掃師、祝杯をあげる
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ウォーキングバードに乗った俺たちは、あれから半日ほどかけて登山者ギルドのある都シルメキアまで到着した。
「――みんなっ! 遂に来たぞっ! 私たちが成り上がる予定の都会にっ!」
夕焼けに染まる城壁と、それに囲まれた高低差のある建物群を前に感激した様子のロディ。
「おいそこ! 早く降りろ!」
「あっ……!」
門番の兵士に注意され、バツが悪そうに鳥から降りるロディの様子にみんなおかしそうに口を押さえている。街中では乗ってはいけないことになってて、ここで役目を終えたバードたちは元の場所へと帰っていくのだ。
シルメキアの都……以前ここにいたときからそんなに日数は経ってないと思うが、久々にここへ来たような気がするのは、それだけ短い間に色んなことを経験してきたからだろうか。
「すっご。人が一杯ね」
「うじゃうじゃー」
「あらあら、一杯ですぅ」
「お、おおおっ、落ち着くのだっ……!」
とりあえず俺が登山者ギルドまでみんなを案内することになったわけだが、全員が都の華やかな街並みに目を奪われてそわそわしてるのかスローペースになっていた。その一方でマリベルたちは珍しく大人しい。あれだけ騒いでたし、疲れて寝てるんだろうか。
「――着いた。あれが登山者ギルドだよ」
「「「「おおっ……」」」」
やがて俺たちは都の中心にあるギルドに無事到着した。
三角錐の形をしたこの半透明の巨大な建造物は、三方から階段を通じて入れる仕組みで、一流の登山家を目指す者たちが集まるだけでなく、図書室、酒場、カジノ、駐屯地、サウナ等も兼ねており、一般市民の娯楽や安全を確保するためにも日々利用されているのだ。
といっても、ドワーフとかエルフのような人外が本気を出して襲ってきたら厳しそうだが、逃げ場を確保するという意味合いもこの建物の構造にはあるらしく、いざとなれば窓から滑り降りることもできるとのこと。それはできれば遠慮したいが。
「――受理いたしました」
早速ギルドの中へ入り、受付でロディがイメージングボードとともにパーティー申請書を提出すると、係員によって無事受理された。
みんな喜んでるっていうより緊張から解放されてほっとした様子で、俺もそんな心境だった。とにかくこれで《リファインズ》というパーティーが正式に誕生したってわけだ。
「では……! 私たちのパーティー《リファインズ》の結成を記念して――」
「「「「――乾杯っ!」」」」
こうして俺たちは、酒場を兼ねたギルド内で《リファインズ》の結成を祝うこととなった。
「思えば……地元の教会で天啓を受け、学校で【回復師】について学び始めてから、私の苦難の道のりは始まった……」
「リーダー、またその話?」
「もういいよ、ロディお兄ちゃん」
「眠くなっちゃいますねぇ」
「ア、アルファ君は初めてのはずだっ!」
サーシャ、シェリー、ミュートの三人に不満そうに遮られたものの、ロディが続けて話し始める。
「どうしても補助系のスキルが取れなかった私は、回復系のスキルに専念し卒業後すぐ登山家を目指したが……仲間も集まらず、同僚の嫌がらせを受け、心が折れかけていた……。そんなとき、妹が飛び級で学校を卒業し、私を頼ってきた。それが転機だった……」
「えー! わたしたがお兄ちゃんに頼ったんじゃないよ。お母さんから、あの子よりあなたのほうが頼りになるから側で支えてあげなさいって言われたもん」
「ぶっ……!」
酒を噴き出すロディ。俺を含めて、みんな違う意味で噴き出しそうになってたが……。
「シェ、シェリー! それはだな、母君がまだ未熟なお前に自信をつけさせるための方便だろうっ!」
「ふんっ」
不機嫌そうに顔を背け合う兄妹。多分どっちも正解なんだろう。
「んで、あたしが二人に声をかけたんだよね。お父さんが健気に娘を守ってるみたいに見えて、それで興味を持ったからだけど……」
「サ、サーシャッ! 私はそんなに老けてなーい!」
ロディが叫んで笑い声が上がる。
「私も……リーダーさん、シェリーさん、サーシャさんを見たとき、家族みたいなパーティーだから入りたいって思ったんですぅ」
「ミュ、ミュート! それってあたしがリーダーの奥さんに見えたってこと!?」
「妹さんっ」
「そ、そうよねっ」
「なるほど……って、それじゃまるで私が旦那だったら不満みたいな言い方じゃないかっ!」
「当然でしょっ!」
「……」
喧嘩が発生してしまった。
「――お、そこにいるのロディじゃね?」
「うっ……!?」
なんだ? 誰かに声をかけられたと思ったら、ロディの赤い顔が見る見る青くなっていった。リーダーの名前を知ってるってことは知り合いだろうけど、こんなに青ざめるなんて一体どうしたんだろう……。
「――みんなっ! 遂に来たぞっ! 私たちが成り上がる予定の都会にっ!」
夕焼けに染まる城壁と、それに囲まれた高低差のある建物群を前に感激した様子のロディ。
「おいそこ! 早く降りろ!」
「あっ……!」
門番の兵士に注意され、バツが悪そうに鳥から降りるロディの様子にみんなおかしそうに口を押さえている。街中では乗ってはいけないことになってて、ここで役目を終えたバードたちは元の場所へと帰っていくのだ。
シルメキアの都……以前ここにいたときからそんなに日数は経ってないと思うが、久々にここへ来たような気がするのは、それだけ短い間に色んなことを経験してきたからだろうか。
「すっご。人が一杯ね」
「うじゃうじゃー」
「あらあら、一杯ですぅ」
「お、おおおっ、落ち着くのだっ……!」
とりあえず俺が登山者ギルドまでみんなを案内することになったわけだが、全員が都の華やかな街並みに目を奪われてそわそわしてるのかスローペースになっていた。その一方でマリベルたちは珍しく大人しい。あれだけ騒いでたし、疲れて寝てるんだろうか。
「――着いた。あれが登山者ギルドだよ」
「「「「おおっ……」」」」
やがて俺たちは都の中心にあるギルドに無事到着した。
三角錐の形をしたこの半透明の巨大な建造物は、三方から階段を通じて入れる仕組みで、一流の登山家を目指す者たちが集まるだけでなく、図書室、酒場、カジノ、駐屯地、サウナ等も兼ねており、一般市民の娯楽や安全を確保するためにも日々利用されているのだ。
といっても、ドワーフとかエルフのような人外が本気を出して襲ってきたら厳しそうだが、逃げ場を確保するという意味合いもこの建物の構造にはあるらしく、いざとなれば窓から滑り降りることもできるとのこと。それはできれば遠慮したいが。
「――受理いたしました」
早速ギルドの中へ入り、受付でロディがイメージングボードとともにパーティー申請書を提出すると、係員によって無事受理された。
みんな喜んでるっていうより緊張から解放されてほっとした様子で、俺もそんな心境だった。とにかくこれで《リファインズ》というパーティーが正式に誕生したってわけだ。
「では……! 私たちのパーティー《リファインズ》の結成を記念して――」
「「「「――乾杯っ!」」」」
こうして俺たちは、酒場を兼ねたギルド内で《リファインズ》の結成を祝うこととなった。
「思えば……地元の教会で天啓を受け、学校で【回復師】について学び始めてから、私の苦難の道のりは始まった……」
「リーダー、またその話?」
「もういいよ、ロディお兄ちゃん」
「眠くなっちゃいますねぇ」
「ア、アルファ君は初めてのはずだっ!」
サーシャ、シェリー、ミュートの三人に不満そうに遮られたものの、ロディが続けて話し始める。
「どうしても補助系のスキルが取れなかった私は、回復系のスキルに専念し卒業後すぐ登山家を目指したが……仲間も集まらず、同僚の嫌がらせを受け、心が折れかけていた……。そんなとき、妹が飛び級で学校を卒業し、私を頼ってきた。それが転機だった……」
「えー! わたしたがお兄ちゃんに頼ったんじゃないよ。お母さんから、あの子よりあなたのほうが頼りになるから側で支えてあげなさいって言われたもん」
「ぶっ……!」
酒を噴き出すロディ。俺を含めて、みんな違う意味で噴き出しそうになってたが……。
「シェ、シェリー! それはだな、母君がまだ未熟なお前に自信をつけさせるための方便だろうっ!」
「ふんっ」
不機嫌そうに顔を背け合う兄妹。多分どっちも正解なんだろう。
「んで、あたしが二人に声をかけたんだよね。お父さんが健気に娘を守ってるみたいに見えて、それで興味を持ったからだけど……」
「サ、サーシャッ! 私はそんなに老けてなーい!」
ロディが叫んで笑い声が上がる。
「私も……リーダーさん、シェリーさん、サーシャさんを見たとき、家族みたいなパーティーだから入りたいって思ったんですぅ」
「ミュ、ミュート! それってあたしがリーダーの奥さんに見えたってこと!?」
「妹さんっ」
「そ、そうよねっ」
「なるほど……って、それじゃまるで私が旦那だったら不満みたいな言い方じゃないかっ!」
「当然でしょっ!」
「……」
喧嘩が発生してしまった。
「――お、そこにいるのロディじゃね?」
「うっ……!?」
なんだ? 誰かに声をかけられたと思ったら、ロディの赤い顔が見る見る青くなっていった。リーダーの名前を知ってるってことは知り合いだろうけど、こんなに青ざめるなんて一体どうしたんだろう……。
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