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第一章 リトア王国

執事は語る 2

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「デューク様とセリーナ様がご結婚なさりスリジェ辺境伯家も少しずつ変わっていきました。
やがてデューク様が当主になられると本格的に改革がなされ今のような辺境伯邸となったのです。
そして旦那様、アラン様がお生まれになり立派に成長なさってベル様とご結婚されマリーベル様がお生まれになった。」

ここで言いにくそうにダミアンさんが口をつぐんだので、私は少し待ってからポツリとつぶやいた。

「あんなに完璧なお祖母様がそんな経験をなさっていたのですね。」

私の言葉にダミアンさんは微笑み冷めてしまったミルクをあっという間に新しいものと交換してくれる。

「マリーベル様はお屋敷にいらした当初と少しお変りになりましたね。」

その言葉にギクッとして目を泳がせてしまった。

「驚かせてしまい申し訳ありません。
決して悪い意味で申し上げたわけでは。」

私は急いで顔をあげてダミアンさんを見上げる。

「私、変わりましたか?」

「ええ、良い意味でお屋敷にもご家族や私ども使用人にも慣れてきてくださって…
大奥様の教育にも真剣に取り組んでいらっしゃるマリーベル様はとても幼子には見えません。」

私は再びギクッとするが、次の言葉を聞いて目を輝かせた。

「マリーベル様はすでに素晴らしいレディでいらっしゃいます。」

「ありがとうございます。」

私は嬉しくて胸の前で手をギュッと握る。

「そして、そんなマリーベル様だからこそお話いたします。先ほどの奥様の行動の訳を。」

ダミアンさんの姿勢がいつもに増してピンと緊張した。
なるほど、ミルクを注ぐ姿はピンとしつつも柔らかな動きで優雅、緊張感などはなかった。
お祖母様が私の所作について言っていらした言葉の意味が今分かった気がした。
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