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第一章 リトア王国

執事は語る 3

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「ベル様が当家に嫁いでいらっしゃった際セリーナ様は張り切ってベル様に辺境伯夫人としての振る舞いを教えていらっしゃいましたが、ベル様とセリーナ様のご関係は決して悪いものではなかったように思われます。

ですから私どももベル様が突然出奔なさってしまったことを不可解に感じているのです。

当時、デューク様が病にお倒れになり一命を取り留めた最中でもあり、慌ただしかったのも災いし理由が分かるものは当家にも誰もいない状況でした。
周りの家の方々はセリーナ様の厳しさに耐えきれずに逃げ出したのだ。または、男児ではなく女児を産んだことを責められ子供を守るために逃げたのだと噂されていらっしゃいました。

アラン様は噂を打ち消そうとなさいましたが、セリーナ様がそれをお止めになったのです。
アラン様やベル様に不義の疑いをかけられるよりは自分が悪く言われる方が良いと。
それに、周りが言うことが真実であるのかもしれないと。

アラン様はずっと異議を申していらっしゃいましたが最後には諦めて受け入れていらっしゃいました。

セリーナ様はデューク様の病に気付けなかったようにベル様を追い詰め気付けなかったのだと思っていらっしゃるのです。

そしてマリーベル様が当家ではなく教会で平民として育ったこと、将来そのことで周りに悪く言われ辛い思いをなさるのではと心配して焦っていらっしゃるのです。
厳しく教育なさろうとする一方で幼いマリーベル様を追い詰めてしまっているのではと不安に思っていらっしゃるようで」

「あぁ、それで先ほどの…」

ようやく話が見えてきて私はにっこり微笑んだ。

「大丈夫です。以前は確かにお祖母様に嫌われているのではと不安に思ったこともありましたが、お祖母様が私のことを色々考えて教えてくださっていることも時折心配そうに私を見ていることも気づいていますから。」

ダミアンさんは、今まで見せていた笑顔とは違う、ホッとしたような嬉しそうな表情を浮かべた。
その表情を見たら私も安心してしまってなんだか眠くなってきた。

「大丈夫ですよ~お祖母様ってデレが苦手でかわいいです よ ね …… むにゃ」

そのまま眠ってしまったらしい私は翌朝自分のベッドでアイリーンに優しく起こされるまでぐっすり眠ってしまった。
ダミアンさんが運んでくれたのかな申し訳ない。
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