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第一章 リトア王国
二人でお話しいたしましょう
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振り返った先にいたお祖母様はお父様たちの方を眺め少しあきれた様子で口を開いた。
「場が落ち着くまでにまだしばらくかかるでしょう。マリー、アロイス様に庭園を案内して差し上げなさい。」
私とのんちゃんは顔を見合わせてうなずいた。
「分かりましたお祖母様。アロイス様、どうぞこちらへ。」
歩き始めた私たちの少し後をアイリーンがついてくる。
「アイリーン、二人をお願いね。」
お祖母様はそう声をかけてから、やれやれという感じでお父様たちの方に近づいていった。
テラスから続く階段を降りて庭に足を踏み入れると大人たちの声も遠くなり、ホッと力が抜ける。
アイリーンは先ほどより距離をあけてくれて私たちが二人で話せるように気遣ってくれている。
「のんちゃん。」
改めて声をかけるとのんちゃんは黙って自分の右腕を差し出した。私も大人しくその腕を取りエスコートしてもらう。
「ゆき。大変だったね。前世の記憶はちゃんと全部ある?
俺のことどれくらい覚えてる?
最後の…最後の記憶は?」
のんちゃんの腕が少し震えているのを不思議に感じながら私は答えた。
「ちゃんと覚えてるよ。
幼稚園からずっと一緒のゲーム大好きな望くんでしょ?
でも前世って何?どういうこと?
最後の記憶…」
私の言葉にのんちゃんは固まって足を止めた。
「待って、ゆき。もしかして…
待って待って、ゆきには記憶があるんだよね?もしかして途中で思い出したとか?」
「思い出した?ああ、そうなのかも。ひと月前くらいに急にマリーベルになってて、ああマリーベルの記憶もちゃんとあるよ。」
「はぁぁ?ひと月前?」
のんちゃんは叫んでからその場にしゃがみ込んだ。
アイリーンが心配そうに駆け寄ろうとするのを手振りで待ってもらって私もそっと隣にしゃがみ込む。
「大丈夫?のんちゃん。」
のんちゃんは小声でぶつぶつ何か呟いていたが、しばらくして気を取り直したように顔を上げた。
「場が落ち着くまでにまだしばらくかかるでしょう。マリー、アロイス様に庭園を案内して差し上げなさい。」
私とのんちゃんは顔を見合わせてうなずいた。
「分かりましたお祖母様。アロイス様、どうぞこちらへ。」
歩き始めた私たちの少し後をアイリーンがついてくる。
「アイリーン、二人をお願いね。」
お祖母様はそう声をかけてから、やれやれという感じでお父様たちの方に近づいていった。
テラスから続く階段を降りて庭に足を踏み入れると大人たちの声も遠くなり、ホッと力が抜ける。
アイリーンは先ほどより距離をあけてくれて私たちが二人で話せるように気遣ってくれている。
「のんちゃん。」
改めて声をかけるとのんちゃんは黙って自分の右腕を差し出した。私も大人しくその腕を取りエスコートしてもらう。
「ゆき。大変だったね。前世の記憶はちゃんと全部ある?
俺のことどれくらい覚えてる?
最後の…最後の記憶は?」
のんちゃんの腕が少し震えているのを不思議に感じながら私は答えた。
「ちゃんと覚えてるよ。
幼稚園からずっと一緒のゲーム大好きな望くんでしょ?
でも前世って何?どういうこと?
最後の記憶…」
私の言葉にのんちゃんは固まって足を止めた。
「待って、ゆき。もしかして…
待って待って、ゆきには記憶があるんだよね?もしかして途中で思い出したとか?」
「思い出した?ああ、そうなのかも。ひと月前くらいに急にマリーベルになってて、ああマリーベルの記憶もちゃんとあるよ。」
「はぁぁ?ひと月前?」
のんちゃんは叫んでからその場にしゃがみ込んだ。
アイリーンが心配そうに駆け寄ろうとするのを手振りで待ってもらって私もそっと隣にしゃがみ込む。
「大丈夫?のんちゃん。」
のんちゃんは小声でぶつぶつ何か呟いていたが、しばらくして気を取り直したように顔を上げた。
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