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第一章 リトア王国

ついに出たデレに対応できません

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え?え?記憶にないんだけど…

目を彷徨わせる私にお祖父様はにっこり微笑む。

「マリーは私の命の恩人だ。本当にありがとう。」

お礼を言われてしまった!でも身に覚えがない!
アワアワしていたら、急にお祖母様が私を抱きしめた。
すごい!デレが!ついにお祖母様のデレがきた!
もう訳が分からず固まる私を抱きしめたままお祖母様は口を開いた。
 
「知らなかった。私はてっきり…」

「ごめんよ、セリーナ。君が誤解しているのも傷ついているのも知っていたけど、無闇に話せばマリーベルに危険がおよぶと思って黙っていたんだ。」

「アランは知ってたの~?」

公爵様ののんびりした声にお父様は首を振る。

「マリーベルの力については知らなかった。ランギャー家が怪しいのは分かっていたが証拠もなく伯爵家を訴えればこちらに非難がくる。」

「怪しむべきはカイル・ランギャーです。
ランギャー家と一括りにするのは…」

お父様はアロイス様に鋭い視線をむけ、観察するように眺めている。

「ランギャー家とカイル・ランギャーの企みは別だといいたいのか?
当主が道を踏み外せば家族はもちろん、親族にも責は及ぶ。それが貴族というものだ。」

「もちろんです。ですが、企みを持つのがランギャー家であれば、それを止めようとしているのもまたランギャー家であるということをお心に留めていただきたいのです。」

「ほう。止めようとしている?今現在の話か?」

「今も、6年前もです。」

ふむ。と顎をなでながら考えるお父様を差し置いて公爵様が身を乗り出した。

「止めようとしてるランギャー家って?」

「カイル伯爵の妻。マーガレット伯爵夫人です。
6年前、ベル様に真実を伝え、逃亡に手を貸したのも彼女です。」

「マーガレット伯爵夫人?」

お祖母様に抱きしめられたまま私は呟いた。その人に会えば母のことを色々教えてもらえるだろうか?
正直に言って私より、のんちゃんことアロイス様の方がたくさんのことを知っていて羨ましい。私も母のことをもっと知りたい。
でもまずはランギャー家の伯父様の企みを知らなければ。お父様達やお屋敷の皆んなに危ないことがあったら嫌だ。
もちろん、私自身もまた命を落とすような目に遭うのは絶対に嫌だし。
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