31 / 246
第一章 リトア王国
知らない間に人命救助してました
しおりを挟む
「承知いたしました。」
アロイス様はにっこりしてお父様にお辞儀をした。
「ならば、その手は離して貰おうか。幼いとはいえ婚約者でもない男女の距離にしてはいささか近すぎる。」
お父様の言葉にまだ手を繋いだままだったのを思い出して恥ずかしくなりパッと手を離した。
アロイス様は少し悲しそうに一歩距離を開く。
お祖母様に招かれて私はお祖母様とお祖父様の間に座った。
「カイル・ランギャー伯爵は6年前に失敗した計画を再び実行に移そうとしています。
今度は成功させるために。」
アロイス様の話に首をかしげているのは私だけのようだ。
「6年前、デューク・スリジェ様のお体が悪くなったのは病ではない。毒の後遺症だ。違いますか?」
「それで?」
お父様は否定も肯定もせずに促し、アロイス様は部屋の隅に立っていたアイリーンを呼び話しかける。
「ベル様が姿を消す直前に辞めていった侍女がいましたね?」
「はい、ランギャー伯爵家から奥様が嫁いでいらっしゃる際に同行していらした方で、ご自身も結婚が決まりマリーベル様が無事にお生まれになったのを見届けてお辞めに…」
「その者が伯爵に命じられた実行犯でしょう。最初に狙われたのが当時の当主であられたデューク・スリジェ様です。」
確信を持って話すアロイス様に感心しながら私はお祖父様を見上げる。
お祖父様は私に微笑み頭に手を置いて撫でてくれた。
「確かに、私は6年前毒を盛られ生死を彷徨いました。
医者にもこれ以上とる手立てはないと言われた夜、朦朧とする意識の中でベルが、マリーベルを抱いて現れました。全ては自分の責任だと泣きながら。
彼女は自分の父親の企みを知らずに我が家に嫁いできたようでしたが、言い訳ひとつせずにひたすら頭を下げていました。
私は彼女の頭をなで、そしてマリーベルの頭にも手をやりました。
その時に、眩い光が私を包み私は意識を失った。
目が覚めた時にはずいぶんと時間が経っていて後遺症は残ったものの命の危機は去っていたのです。
そして、ベルとマリーベルが姿を消していました。」
アロイス様はにっこりしてお父様にお辞儀をした。
「ならば、その手は離して貰おうか。幼いとはいえ婚約者でもない男女の距離にしてはいささか近すぎる。」
お父様の言葉にまだ手を繋いだままだったのを思い出して恥ずかしくなりパッと手を離した。
アロイス様は少し悲しそうに一歩距離を開く。
お祖母様に招かれて私はお祖母様とお祖父様の間に座った。
「カイル・ランギャー伯爵は6年前に失敗した計画を再び実行に移そうとしています。
今度は成功させるために。」
アロイス様の話に首をかしげているのは私だけのようだ。
「6年前、デューク・スリジェ様のお体が悪くなったのは病ではない。毒の後遺症だ。違いますか?」
「それで?」
お父様は否定も肯定もせずに促し、アロイス様は部屋の隅に立っていたアイリーンを呼び話しかける。
「ベル様が姿を消す直前に辞めていった侍女がいましたね?」
「はい、ランギャー伯爵家から奥様が嫁いでいらっしゃる際に同行していらした方で、ご自身も結婚が決まりマリーベル様が無事にお生まれになったのを見届けてお辞めに…」
「その者が伯爵に命じられた実行犯でしょう。最初に狙われたのが当時の当主であられたデューク・スリジェ様です。」
確信を持って話すアロイス様に感心しながら私はお祖父様を見上げる。
お祖父様は私に微笑み頭に手を置いて撫でてくれた。
「確かに、私は6年前毒を盛られ生死を彷徨いました。
医者にもこれ以上とる手立てはないと言われた夜、朦朧とする意識の中でベルが、マリーベルを抱いて現れました。全ては自分の責任だと泣きながら。
彼女は自分の父親の企みを知らずに我が家に嫁いできたようでしたが、言い訳ひとつせずにひたすら頭を下げていました。
私は彼女の頭をなで、そしてマリーベルの頭にも手をやりました。
その時に、眩い光が私を包み私は意識を失った。
目が覚めた時にはずいぶんと時間が経っていて後遺症は残ったものの命の危機は去っていたのです。
そして、ベルとマリーベルが姿を消していました。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
106
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる