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第一章 リトア王国
お祖母様はどんな時も貴婦人です
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扉を破壊し、侵入してきた人物はグレーのマントを羽織り両手に分厚い三日月型の刃がついた大きな剣を持っている。
「助けに参りましたよ、マリーベル様。」
フードを下ろした侵入者は赤髪に青白い顔のおじさんでニヤリと笑った口元、こちらを舐めるように眺めるギラギラした目が気持ち悪くて私はアイリーンのスカートをギュッと握り彼女の後ろに身を隠した。
「ノックもせずに入ってくるなんて無礼ですよ。
しかも自分は名乗りもせずに孫の名前を呼んでそんな下心が滲み出た不躾な視線を向けるなど。何一つ礼儀がなっていませんね。」
おじさんはムッとした様子でお祖母様に向き直る。
「黙れ、貴族の権威を振りかざし我らが聖女を拐かした罪深い者よ。」
「人の孫を勝手に邪神教の一員にしないでいただきたいわね。」
おじさんから血走った殺意のこもる眼差しを向けられてもお祖母様は平然としている。
「マリーベルはれっきとしたスリジェ家の娘です。ようやく見つけ出したこの子を再び奪えるなど努努思わないことね。」
言いながら壁に掛けていた剣を取り出す。
お祖母様の剣はフェンシングに使うような細身の剣で金色の柄はつる草のような螺旋を描きながらお祖母様の手を囲っている。
左手に扇子、右手に剣を握ったお祖母様の凛とした後ろ姿は見惚れてしまうほどカッコいい。
「素敵です。お祖母様。」
おもわず歓声を上げるとお祖母様の耳が真っ赤になった。
口をへの字にしたおじさんがお祖母様に向けてクロスさせた剣を向けサッと引き切ると大きな炎の塊が飛び出してきた。
炎はお祖母様に向けて真っ直ぐに飛んでいく。
しかしお祖母様はスッと剣を真っ直ぐに構え剣先で炎をつく。
塊だった炎は氷が砕け散るようにパッと細かく弾け消えてしまった。
「ま、魔剣?」
おじさんは怯んだように一歩後退する。
「魔剣?いいえ。残念ながら違います。魔道具は多少の魔力を備えた者でなければつかえませんからね。」
クスッとお祖母様が笑った声が聞こえる。
「この剣は代々我が家に伝わる皇后の剣と呼ばれるもの。歴代の当主の妻が夫と共に戦う際用いられ、様々な人の血を吸ってきた。ある時から剣は自我を持ち、一度鞘から抜かれれば人の血を求めて手段を選ばず魔法さえも打ち砕く。つまり、剣は今あなたの血を求めているのよ。」
真っ直ぐに剣でおじさんを指し示し口元を扇子で隠しながら微笑みを浮かべるお祖母様はすごい迫力だった。
おじさんは真っ青な顔になりながら自棄になったように二本の剣を振り回し始めた。
手裏剣のような炎がいくつもお祖母様に向かっていく。
私はハラハラして両手を握りしめた。
「助けに参りましたよ、マリーベル様。」
フードを下ろした侵入者は赤髪に青白い顔のおじさんでニヤリと笑った口元、こちらを舐めるように眺めるギラギラした目が気持ち悪くて私はアイリーンのスカートをギュッと握り彼女の後ろに身を隠した。
「ノックもせずに入ってくるなんて無礼ですよ。
しかも自分は名乗りもせずに孫の名前を呼んでそんな下心が滲み出た不躾な視線を向けるなど。何一つ礼儀がなっていませんね。」
おじさんはムッとした様子でお祖母様に向き直る。
「黙れ、貴族の権威を振りかざし我らが聖女を拐かした罪深い者よ。」
「人の孫を勝手に邪神教の一員にしないでいただきたいわね。」
おじさんから血走った殺意のこもる眼差しを向けられてもお祖母様は平然としている。
「マリーベルはれっきとしたスリジェ家の娘です。ようやく見つけ出したこの子を再び奪えるなど努努思わないことね。」
言いながら壁に掛けていた剣を取り出す。
お祖母様の剣はフェンシングに使うような細身の剣で金色の柄はつる草のような螺旋を描きながらお祖母様の手を囲っている。
左手に扇子、右手に剣を握ったお祖母様の凛とした後ろ姿は見惚れてしまうほどカッコいい。
「素敵です。お祖母様。」
おもわず歓声を上げるとお祖母様の耳が真っ赤になった。
口をへの字にしたおじさんがお祖母様に向けてクロスさせた剣を向けサッと引き切ると大きな炎の塊が飛び出してきた。
炎はお祖母様に向けて真っ直ぐに飛んでいく。
しかしお祖母様はスッと剣を真っ直ぐに構え剣先で炎をつく。
塊だった炎は氷が砕け散るようにパッと細かく弾け消えてしまった。
「ま、魔剣?」
おじさんは怯んだように一歩後退する。
「魔剣?いいえ。残念ながら違います。魔道具は多少の魔力を備えた者でなければつかえませんからね。」
クスッとお祖母様が笑った声が聞こえる。
「この剣は代々我が家に伝わる皇后の剣と呼ばれるもの。歴代の当主の妻が夫と共に戦う際用いられ、様々な人の血を吸ってきた。ある時から剣は自我を持ち、一度鞘から抜かれれば人の血を求めて手段を選ばず魔法さえも打ち砕く。つまり、剣は今あなたの血を求めているのよ。」
真っ直ぐに剣でおじさんを指し示し口元を扇子で隠しながら微笑みを浮かべるお祖母様はすごい迫力だった。
おじさんは真っ青な顔になりながら自棄になったように二本の剣を振り回し始めた。
手裏剣のような炎がいくつもお祖母様に向かっていく。
私はハラハラして両手を握りしめた。
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