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第一章 リトア王国
お祖母様はいかなる時も優雅です
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ハラハラする私をよそにお祖母様は扇子を広げたまま、自分に向かってくる炎の塊を剣で砕き散らしていく。
チリチリと小さく赤く燃え尽きる光に囲まれたお祖母様は優雅で美しい炎の女神のようだ。そうしていつの間にか赤毛のおじさんをジリジリと扉の方へ追い詰めていく。
と、私は気配を感じて窓の方を振り返り同時にアイリーンの腕の中に抱き込められた。
ガツン、ガツンと窓ガラスに何かがぶつかってくる。水色の槍のようなものが見えるがガラスはびくともしない。
窓のそばにある大木の枝に赤毛のおじさんと同じマントをかぶった男の人がいる、驚愕に見開いた目は紫色で、その人とバッチリ目が合ってしまい気まずくなる。
このガラス窓からテーブル辺りまですっぽりと包むようにアロイス様が防御魔法をかけたからたぶん、破るのは難しいと思います。頑張ってるのにごめんなさい。
ちなみにこの防御魔法をかける際、アロイス様は公爵様に呆れられていた。
「どんだけ強固な魔法かけてるの?
ドラゴンが10頭来ても破れないんじゃない?」
「あらゆる最悪の事態を想定してそれでもマリーベル嬢を守ることができるようにしてあるんです。」
さらにアロイス様は飽き足らず私の着るドレスにも魔法を縫い付け、お守りといって、水晶の結晶のような石に鎖を通したものを首からさげてくれた。
これ、綺麗だしアロイス様の手作りだから事件が終わった後そのままくれないかな~
胸元を見下ろしてキラキラ輝くそれにそんな場合じゃないのにニヤニヤしてしまう。
そんなわけで厳重に守られている私は自分の意思を持ってしてもこの空間から出ることはできない。
お祖母様やアイリーンは自分から望めば出られるがハッキリ言って今この空間は屋敷中いや、この国中で一番の安全地帯。だから私たちは優雅にティータイムを続けていても良かったのだけど…
お祖母様は最初から言っていた。
スリジェ辺境伯家の女性の在り方の一例を見せると。
そしてとても張り切っていらした。
だから誰も止めなかったし、なんならあの赤毛おじさんの侵入はお祖母様の活躍の場を作るためにわざと侵入させた可能性もあるのではと私は思っている。
ぼんやりとそんなことを考えていたらパリンとガラスが割れる音が響き部屋の一番端にある窓ガラスが破られ先ほど枝の上にいた男の人が部屋に侵入してきた。
あの窓だけは公爵様が防御魔法をかけていたから、後でアロイス様に怒られるんだろうな~かわいそうに。
赤毛のおじさんは仲間の登場に明らかにうれしそうに顔を緩めている。
お祖母様に向けて更に炎を放ち、紫の目をした男の人もお祖母様に何か放とうとした。
しかし、その腕にシュルシュルっと何かが巻きつく。
「ギャァ。」
見事にすっ転び巻きついたものを何とか外そうとしているが、それはしっかりと手首に食い込んでいるようだ。
紐のようなその先を見るとお祖母様の扇子に繋がっている。
お祖母様は剣を操りながら器用に扇子を動かして相手を手繰り寄せているようだ。
ジタバタもがくその人はいつの間にか身体にも紐が巻きつき、青い顔をした赤毛おじさんが自分が蹴破った穴から逃げ出そうとすると、お祖母様は剣に紐を巻き付け両手で器用に操りながら赤毛おじさんの体にも紐を巻き付ける。
「イタタタタ助けてくれ!」
おじさんが私に向けて手を伸ばしている。
え?待って。助けを求める相手間違えてない?
困惑して見つめているとおじさんは苛立ったように睨んできた。
チリチリと小さく赤く燃え尽きる光に囲まれたお祖母様は優雅で美しい炎の女神のようだ。そうしていつの間にか赤毛のおじさんをジリジリと扉の方へ追い詰めていく。
と、私は気配を感じて窓の方を振り返り同時にアイリーンの腕の中に抱き込められた。
ガツン、ガツンと窓ガラスに何かがぶつかってくる。水色の槍のようなものが見えるがガラスはびくともしない。
窓のそばにある大木の枝に赤毛のおじさんと同じマントをかぶった男の人がいる、驚愕に見開いた目は紫色で、その人とバッチリ目が合ってしまい気まずくなる。
このガラス窓からテーブル辺りまですっぽりと包むようにアロイス様が防御魔法をかけたからたぶん、破るのは難しいと思います。頑張ってるのにごめんなさい。
ちなみにこの防御魔法をかける際、アロイス様は公爵様に呆れられていた。
「どんだけ強固な魔法かけてるの?
ドラゴンが10頭来ても破れないんじゃない?」
「あらゆる最悪の事態を想定してそれでもマリーベル嬢を守ることができるようにしてあるんです。」
さらにアロイス様は飽き足らず私の着るドレスにも魔法を縫い付け、お守りといって、水晶の結晶のような石に鎖を通したものを首からさげてくれた。
これ、綺麗だしアロイス様の手作りだから事件が終わった後そのままくれないかな~
胸元を見下ろしてキラキラ輝くそれにそんな場合じゃないのにニヤニヤしてしまう。
そんなわけで厳重に守られている私は自分の意思を持ってしてもこの空間から出ることはできない。
お祖母様やアイリーンは自分から望めば出られるがハッキリ言って今この空間は屋敷中いや、この国中で一番の安全地帯。だから私たちは優雅にティータイムを続けていても良かったのだけど…
お祖母様は最初から言っていた。
スリジェ辺境伯家の女性の在り方の一例を見せると。
そしてとても張り切っていらした。
だから誰も止めなかったし、なんならあの赤毛おじさんの侵入はお祖母様の活躍の場を作るためにわざと侵入させた可能性もあるのではと私は思っている。
ぼんやりとそんなことを考えていたらパリンとガラスが割れる音が響き部屋の一番端にある窓ガラスが破られ先ほど枝の上にいた男の人が部屋に侵入してきた。
あの窓だけは公爵様が防御魔法をかけていたから、後でアロイス様に怒られるんだろうな~かわいそうに。
赤毛のおじさんは仲間の登場に明らかにうれしそうに顔を緩めている。
お祖母様に向けて更に炎を放ち、紫の目をした男の人もお祖母様に何か放とうとした。
しかし、その腕にシュルシュルっと何かが巻きつく。
「ギャァ。」
見事にすっ転び巻きついたものを何とか外そうとしているが、それはしっかりと手首に食い込んでいるようだ。
紐のようなその先を見るとお祖母様の扇子に繋がっている。
お祖母様は剣を操りながら器用に扇子を動かして相手を手繰り寄せているようだ。
ジタバタもがくその人はいつの間にか身体にも紐が巻きつき、青い顔をした赤毛おじさんが自分が蹴破った穴から逃げ出そうとすると、お祖母様は剣に紐を巻き付け両手で器用に操りながら赤毛おじさんの体にも紐を巻き付ける。
「イタタタタ助けてくれ!」
おじさんが私に向けて手を伸ばしている。
え?待って。助けを求める相手間違えてない?
困惑して見つめているとおじさんは苛立ったように睨んできた。
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