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第一章 リトア王国
ドキドキの謁見です
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イシェラ王国の国王陛下は黒い髪を後ろに撫でつけ、口髭を生やした口元はうっすらと笑みを浮かべている。
「ちょっとみんなして僕を無視するってどういうこと?」
拗ねたように声をあげる公爵様に呆れたような視線を向けてからお父様は私の背に手を置く。
「娘のマリーベル・スリジェと今回養子に迎え入れたディル・スリジェです。二人とも、陛下にご挨拶を。」
お父様の言葉にガクガク震えそうになりながらも一歩前に進み出てお祖母様にたっぷりしこまれたカーテシーをして名前を名乗った。
ディルも並んでお辞儀をして いるようだが今は自分のことで精一杯だ。
「なるほど、マリーベル嬢はまさにスリジェ家の色を受け継いでいるな。二人ともよく顔を見せてくれないか?」
陛下の言葉に従い顔をあげて初めて陛下の目を見ることができた。
相手の顔をじろじろ見るのはマナー違反だってお祖母様に気をつけるよう厳しく言われてたもんね。
陛下は晴れ渡った青空のような美しい空色の瞳をしていらっしゃる。
その目で興味深そうに私とディルを見ていた。
「幼いアランもこんなに可愛らしかったのかしら?」
陛下の右隣りに座る金髪の女性が黒い瞳を輝かせながらニッコリと私に笑いかける。
「アランは小さい頃から仏頂面だったに決まってるよ。一緒にしたらマリーちゃんが可哀想だ。」
お父様の隣に移動してきた公爵様が言うとようやくお父様は公爵様に顔を向けた。
「いらしたのか、エシャルロット公爵。」
「いたよ。ずっといたよ。お前も父親を無視するとは何事だアロイス。」
「これは気がつかず申し訳ありません。父上。」
ぜったい気づいてただろう…ぶつぶつ言う公爵様を面白そうに眺めながら陛下の左隣りに座っている女性が初めて口を開いた。
「二人は学生時代から変わらぬな。久しぶりに懐かしいやり取りをみた。」
女性にしてはハスキーな声につられて目を向けると透き通るような白い肌に銀色の髪、若葉のような緑色の瞳の妖精のように美しい人が座っている。
見た目もそうだけれど悠然とこちらを眺めている姿から王族の気品も感じられ思わず背筋が伸びる。
「今日は非公式の場だ。昔のように友として話そう。
私はイシェラ王国の国王キルライト。そして王妃のエライザと第二妃アリアドネだ。」
陛下の紹介に二人ともにこやかに私たちに挨拶をしてくれた。
金髪の女性がアリアドネ様、銀色の髪の女性がエライザ様。美しい女性を二人も妻に迎えているなんてさすが王様というべきか。前世の感覚では妻が二人なんてちょっと抵抗があるけど…
それにお父様の話ではアリアドネ様は転生者のはず…見ただけでは全然分からないけど。
私たちはいつのまにか用意されたテーブルに案内され木々に囲まれたお茶会が始まった。
「ちょっとみんなして僕を無視するってどういうこと?」
拗ねたように声をあげる公爵様に呆れたような視線を向けてからお父様は私の背に手を置く。
「娘のマリーベル・スリジェと今回養子に迎え入れたディル・スリジェです。二人とも、陛下にご挨拶を。」
お父様の言葉にガクガク震えそうになりながらも一歩前に進み出てお祖母様にたっぷりしこまれたカーテシーをして名前を名乗った。
ディルも並んでお辞儀をして いるようだが今は自分のことで精一杯だ。
「なるほど、マリーベル嬢はまさにスリジェ家の色を受け継いでいるな。二人ともよく顔を見せてくれないか?」
陛下の言葉に従い顔をあげて初めて陛下の目を見ることができた。
相手の顔をじろじろ見るのはマナー違反だってお祖母様に気をつけるよう厳しく言われてたもんね。
陛下は晴れ渡った青空のような美しい空色の瞳をしていらっしゃる。
その目で興味深そうに私とディルを見ていた。
「幼いアランもこんなに可愛らしかったのかしら?」
陛下の右隣りに座る金髪の女性が黒い瞳を輝かせながらニッコリと私に笑いかける。
「アランは小さい頃から仏頂面だったに決まってるよ。一緒にしたらマリーちゃんが可哀想だ。」
お父様の隣に移動してきた公爵様が言うとようやくお父様は公爵様に顔を向けた。
「いらしたのか、エシャルロット公爵。」
「いたよ。ずっといたよ。お前も父親を無視するとは何事だアロイス。」
「これは気がつかず申し訳ありません。父上。」
ぜったい気づいてただろう…ぶつぶつ言う公爵様を面白そうに眺めながら陛下の左隣りに座っている女性が初めて口を開いた。
「二人は学生時代から変わらぬな。久しぶりに懐かしいやり取りをみた。」
女性にしてはハスキーな声につられて目を向けると透き通るような白い肌に銀色の髪、若葉のような緑色の瞳の妖精のように美しい人が座っている。
見た目もそうだけれど悠然とこちらを眺めている姿から王族の気品も感じられ思わず背筋が伸びる。
「今日は非公式の場だ。昔のように友として話そう。
私はイシェラ王国の国王キルライト。そして王妃のエライザと第二妃アリアドネだ。」
陛下の紹介に二人ともにこやかに私たちに挨拶をしてくれた。
金髪の女性がアリアドネ様、銀色の髪の女性がエライザ様。美しい女性を二人も妻に迎えているなんてさすが王様というべきか。前世の感覚では妻が二人なんてちょっと抵抗があるけど…
それにお父様の話ではアリアドネ様は転生者のはず…見ただけでは全然分からないけど。
私たちはいつのまにか用意されたテーブルに案内され木々に囲まれたお茶会が始まった。
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