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第一章 リトア王国
アリアドネ様は語ります 2
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アリアドネ様はマシンガントークの連続でさすがに疲れたのか、ふぅっとため息をつきながら紅茶を一口飲んだ。
「振り返ってみると前世も今世もロクな恋愛してないな~」
こころなしか目が遠くなっている。
「あなたたちはやってないみたいだけどプリマベーラには前作
エスターテ ひと夏の魔法と恋の花
があるの。あなたたちの親の世代。つまり私たちの世代の話。ヒロインは私アリアドネ。
攻略対象はキルライト陛下、エシャルロット公爵、隣国のスリジェ辺境伯、あと三人くらいいるわ。
そして悪役令嬢がエライザとエリザベス。」
「え?エリザベス?母上が?」
アロイスは目を見開いている。
「あーゲームでの話よ?結局ゲーム通りになったことなんて一つもなかったもの。」
「お父様が攻略対象…あ、そういえばお父様が昔アリアドネ様に自分のことを好きになる。なぜならヒロインだからと言っていたと…」
「ぎゃー!ヤメて。唐突に人の黒歴史を暴露するの。」
すごい勢いで頭を抱えたアリアドネ様と目を丸くしてこちらを見るアロイス。
馬車の中でのお父様とのやり取り話すの忘れてた…
私が小声でアロイスにお父様に正直に全て話したことを伝える間、アリアドネ様はずっと頭を抱えたままだった。
私のヒソヒソ話が終わった時、待っていたかのようにガバッと頭を上げて
「言い訳させてちょうだい。」
と宣言した。
アロイスがとりあえず。とどこからか持ってきた新しいカップに温かい紅茶を注いでアリアドネ様の前に置く。
私にも入れてくれて、何もせずに座っていた自分がちょっと恥ずかしい。
「ありがとう。いいわ~アロイス気遣える男子はポイント高いわね。」
「ありがとうございます。一応数年間は義理の娘候補となる身の上なので。」
「そのまま義理の娘になってくれていいのよ?あなたなら性別まで魔法で変えられそう…ってマリーちゃん冗談だから。そんな泣きそうな顔しないで。
嫌だ~これじゃ2人を引き裂く悪役みたいじゃない。」
慌てたアリアドネ様に顔を覗き込まれて私は真っ赤になった。
「なっ泣きそうにはなってないです。
ただやっぱりアロイスはあちこちでモテてるな~と思っただけで。」
「な~に、自分に自信がない系ヒロイン?
小さいうちは可愛いけどね、大人になってもそうだとウジウジすんなって言われるわよ。」
アリアドネ様は両手を腰に当てて見下ろしてくる。
「アロイスに比べて自分は~とか思ってるわけ?」
「え、いえ、うぅ……はい。」
「無駄よ!」
ピシッと指を突き立てられる。
「こんな規格外の人間と自分を並べたって嫌気がするだけ。
あなたまだ5歳でしょ?中身は16歳くらい?まぁ、いいや。世間的にはあなたはまだほんの小さな子供なの。人と見比べてる時間なんてないわよ。自分がやりたい事、やるべき事に集中しなさい。自分を磨けるのは自分だけなんだから。
あなたが比べてるアロイスがあなたを好きになってくれてるのにあなたが自分を好きにならないなんて可哀想じゃない。もっとマリーちゃんを大事にしなさい!」
ポカンとしている私にハッと気づいたらしいアリアドネ様は再び顔を覆い隠した。
「いや~またやっちゃった。説教ババアって言われる。」
「え?言わないです。そんなこと思ってもいないです。」
「そうです。むしろありがとうございます。」
アロイスもなんだか嬉しそうにお礼を言っている。
「振り返ってみると前世も今世もロクな恋愛してないな~」
こころなしか目が遠くなっている。
「あなたたちはやってないみたいだけどプリマベーラには前作
エスターテ ひと夏の魔法と恋の花
があるの。あなたたちの親の世代。つまり私たちの世代の話。ヒロインは私アリアドネ。
攻略対象はキルライト陛下、エシャルロット公爵、隣国のスリジェ辺境伯、あと三人くらいいるわ。
そして悪役令嬢がエライザとエリザベス。」
「え?エリザベス?母上が?」
アロイスは目を見開いている。
「あーゲームでの話よ?結局ゲーム通りになったことなんて一つもなかったもの。」
「お父様が攻略対象…あ、そういえばお父様が昔アリアドネ様に自分のことを好きになる。なぜならヒロインだからと言っていたと…」
「ぎゃー!ヤメて。唐突に人の黒歴史を暴露するの。」
すごい勢いで頭を抱えたアリアドネ様と目を丸くしてこちらを見るアロイス。
馬車の中でのお父様とのやり取り話すの忘れてた…
私が小声でアロイスにお父様に正直に全て話したことを伝える間、アリアドネ様はずっと頭を抱えたままだった。
私のヒソヒソ話が終わった時、待っていたかのようにガバッと頭を上げて
「言い訳させてちょうだい。」
と宣言した。
アロイスがとりあえず。とどこからか持ってきた新しいカップに温かい紅茶を注いでアリアドネ様の前に置く。
私にも入れてくれて、何もせずに座っていた自分がちょっと恥ずかしい。
「ありがとう。いいわ~アロイス気遣える男子はポイント高いわね。」
「ありがとうございます。一応数年間は義理の娘候補となる身の上なので。」
「そのまま義理の娘になってくれていいのよ?あなたなら性別まで魔法で変えられそう…ってマリーちゃん冗談だから。そんな泣きそうな顔しないで。
嫌だ~これじゃ2人を引き裂く悪役みたいじゃない。」
慌てたアリアドネ様に顔を覗き込まれて私は真っ赤になった。
「なっ泣きそうにはなってないです。
ただやっぱりアロイスはあちこちでモテてるな~と思っただけで。」
「な~に、自分に自信がない系ヒロイン?
小さいうちは可愛いけどね、大人になってもそうだとウジウジすんなって言われるわよ。」
アリアドネ様は両手を腰に当てて見下ろしてくる。
「アロイスに比べて自分は~とか思ってるわけ?」
「え、いえ、うぅ……はい。」
「無駄よ!」
ピシッと指を突き立てられる。
「こんな規格外の人間と自分を並べたって嫌気がするだけ。
あなたまだ5歳でしょ?中身は16歳くらい?まぁ、いいや。世間的にはあなたはまだほんの小さな子供なの。人と見比べてる時間なんてないわよ。自分がやりたい事、やるべき事に集中しなさい。自分を磨けるのは自分だけなんだから。
あなたが比べてるアロイスがあなたを好きになってくれてるのにあなたが自分を好きにならないなんて可哀想じゃない。もっとマリーちゃんを大事にしなさい!」
ポカンとしている私にハッと気づいたらしいアリアドネ様は再び顔を覆い隠した。
「いや~またやっちゃった。説教ババアって言われる。」
「え?言わないです。そんなこと思ってもいないです。」
「そうです。むしろありがとうございます。」
アロイスもなんだか嬉しそうにお礼を言っている。
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