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第一章 リトア王国
アリアドネ様は語ります
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部屋に戻ってきてくれたアロイスを見て私はホッと安心した。
「失礼いたします。私はマリーベルと共にアリアドネ様のお話し相手をと仰せつかってまいりました。」
「あ~そんなかしこまらなくていいからこっち座って望くん?だっけ?」
アロイスは目を丸くして私とアリアドネ様を見比べながら急いで近づいてきた。
「何、どういう事?」
私の後ろに立ち小さな声で聞いてきたけどアリアドネ様にもしっかり聞こえちゃっている。
「あ~いいから座って座って。マリーちゃんだと説明があっちゃこっちゃしちゃうから。」
うう、すみません。
小さくなる私を他所にアリアドネ様は手短に的確に今までの経緯を説明してくれた。
さすがです。きっと前世でも仕事ができる人だったんだろうな~かっこいい。
「で、青春真っ盛りな二人がなんで一緒に乙女ゲームしてるの?
いや、別にいいのよ?二人でやっても。特に恋の花シリーズは作画、音楽、ストーリーそして神キャスティング。もう~どのキャラも期待を裏切らないイメージ通りなんだもの。キャラクターの過去話もちょっと暗いって意見もあったけど私的にはドンピシャ。
訳ありな過去を引きずってるちょっとアンニュイな姿もいいし、ヒロインのおかげで少しずつ克服していく姿もまた泣けるのよ~」
アリアドネ様のマシンガントークに私たちはただただ相槌をうつしかなかった。
「あなたたちがやってたのはエスターテ?プリマベーラ?どのくらいやりこんでたの?」
「えっと…」
「俺たちは プリマベーラ魔法学園に咲く恋の花 をやってました。俺は隠しキャラ以外は攻略しましたけど、マリーは本当に物語の初っ端しかやってないです。」
「え?待って…先にゲームを始めたのは君ってこと?」
口元を覆いながらアリアドネ様は嬉しそうにのけぞる。
「や~ん、乙女男子?いいわねいいわね嫌いじゃないわ。」
「いや、友人がこのゲームをやれば乙女心が分かるって貸してくれたんで。
あと、マリーにやらせれば好きな男のタイプが分かるかなと思って…」
え?そんな経緯でやってたのあのゲーム。知らなかった…
「でもマリーは全然上手く進められなくて」
「だから、ああいうの苦手なんだって~綺麗な声だと思うけどセリフがわざとらしくて背中がゾワゾワするんだよ~」
言ってしまってから殺気を感じて急いで口を閉じたけど無駄だった。
すごく笑顔だけど同時に殺気を放ったアリアドネ様に両頬をつままれる。
「そりゃ、現実に好きな人、しかも幼なじみとかいう萌える設定の相手がいりゃね。
私だって乙女ゲームの世界がファンタジーだって分かってたわよ。現実にはあんなこと言ってくれる人なんてそうそういない。
現実の男なんて、現実の男なんてねー
デートの待ち合わせ2時間も遅刻しながら、ごめん寝てた。で済ませたり。
誕生日ディナー楽しみにしてたのにラーメン屋に連れて行かれたり。
全然趣味じゃない謎の置物プレゼントされたり。
やっと休み合わせられたと思ったら友達との予定優先されたり。
すぐ返す、すぐ返すって言いながらお金せびってきたり。
ともかくロクな奴がいなかったのよ!
そんな私のささくれた心を乙女ゲームはいつも癒してくれたの。
運命的な出会い。ロマンチックなデート、外さないプレゼントと囁かれる甘い言葉。
乙女ゲームは私のオアシスだったのよ。
それからアロイス、乙女ゲームは乙女心を知ったり好みを把握するためのゲームじゃないから。
その友達にも言ってやりたいもんだわ。まったく。」
「ひゃい、ひょめんなひゃい。」
謝るとピンッと頬を離してくれた。イテテ、強くはさまれてたわけじゃないけどちょっとヒリヒリする。
のんちゃんは困った表情を浮かべながらうなずいた。
「失礼いたします。私はマリーベルと共にアリアドネ様のお話し相手をと仰せつかってまいりました。」
「あ~そんなかしこまらなくていいからこっち座って望くん?だっけ?」
アロイスは目を丸くして私とアリアドネ様を見比べながら急いで近づいてきた。
「何、どういう事?」
私の後ろに立ち小さな声で聞いてきたけどアリアドネ様にもしっかり聞こえちゃっている。
「あ~いいから座って座って。マリーちゃんだと説明があっちゃこっちゃしちゃうから。」
うう、すみません。
小さくなる私を他所にアリアドネ様は手短に的確に今までの経緯を説明してくれた。
さすがです。きっと前世でも仕事ができる人だったんだろうな~かっこいい。
「で、青春真っ盛りな二人がなんで一緒に乙女ゲームしてるの?
いや、別にいいのよ?二人でやっても。特に恋の花シリーズは作画、音楽、ストーリーそして神キャスティング。もう~どのキャラも期待を裏切らないイメージ通りなんだもの。キャラクターの過去話もちょっと暗いって意見もあったけど私的にはドンピシャ。
訳ありな過去を引きずってるちょっとアンニュイな姿もいいし、ヒロインのおかげで少しずつ克服していく姿もまた泣けるのよ~」
アリアドネ様のマシンガントークに私たちはただただ相槌をうつしかなかった。
「あなたたちがやってたのはエスターテ?プリマベーラ?どのくらいやりこんでたの?」
「えっと…」
「俺たちは プリマベーラ魔法学園に咲く恋の花 をやってました。俺は隠しキャラ以外は攻略しましたけど、マリーは本当に物語の初っ端しかやってないです。」
「え?待って…先にゲームを始めたのは君ってこと?」
口元を覆いながらアリアドネ様は嬉しそうにのけぞる。
「や~ん、乙女男子?いいわねいいわね嫌いじゃないわ。」
「いや、友人がこのゲームをやれば乙女心が分かるって貸してくれたんで。
あと、マリーにやらせれば好きな男のタイプが分かるかなと思って…」
え?そんな経緯でやってたのあのゲーム。知らなかった…
「でもマリーは全然上手く進められなくて」
「だから、ああいうの苦手なんだって~綺麗な声だと思うけどセリフがわざとらしくて背中がゾワゾワするんだよ~」
言ってしまってから殺気を感じて急いで口を閉じたけど無駄だった。
すごく笑顔だけど同時に殺気を放ったアリアドネ様に両頬をつままれる。
「そりゃ、現実に好きな人、しかも幼なじみとかいう萌える設定の相手がいりゃね。
私だって乙女ゲームの世界がファンタジーだって分かってたわよ。現実にはあんなこと言ってくれる人なんてそうそういない。
現実の男なんて、現実の男なんてねー
デートの待ち合わせ2時間も遅刻しながら、ごめん寝てた。で済ませたり。
誕生日ディナー楽しみにしてたのにラーメン屋に連れて行かれたり。
全然趣味じゃない謎の置物プレゼントされたり。
やっと休み合わせられたと思ったら友達との予定優先されたり。
すぐ返す、すぐ返すって言いながらお金せびってきたり。
ともかくロクな奴がいなかったのよ!
そんな私のささくれた心を乙女ゲームはいつも癒してくれたの。
運命的な出会い。ロマンチックなデート、外さないプレゼントと囁かれる甘い言葉。
乙女ゲームは私のオアシスだったのよ。
それからアロイス、乙女ゲームは乙女心を知ったり好みを把握するためのゲームじゃないから。
その友達にも言ってやりたいもんだわ。まったく。」
「ひゃい、ひょめんなひゃい。」
謝るとピンッと頬を離してくれた。イテテ、強くはさまれてたわけじゃないけどちょっとヒリヒリする。
のんちゃんは困った表情を浮かべながらうなずいた。
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