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第二章 イシェラ王国

新しい友達です

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予感通り私とイライザはすぐに仲良くなった。イライザは少し負けず嫌いなところはあるけれど頭の回転が早いハッキリした子で最初はまったく喋らなかったカストルにも話を振って私たちの輪の中に溶け込ませた。

「私たちの父は権力欲の塊ですの。自分の地位を上げるためなら家族でもミーシャでもなんでも使いますわ。」

ミーシャというのはカストルとイライザのペットの猫。銀に近いグレーの滑らかな毛並みと金色の目をしたかわいいこでたまに二人について来ている。

「上を目指すのは結構ですが、私たちのことも自分の為の道具のように思っているのが気に入りませんの。
ですからリーク殿下のご友人の話も乗り気ではありませんでした。
わがまま王子のウワサも聞いていましたし。」

「失礼だな~俺はわがままじゃないぞ。」

「まぁ。それは置いておくとして、リーク殿下が父におっしゃった言葉で胸がスッとしたんです。」

リークは、置いておくなよ。と不機嫌そうに腕を組んでイライザを睨んでいる。

「あいつがリノアとの婚約を考え直してイライザを婚約者にしてはどうかとニタニタ嫌な笑顔を浮かべながらささやいてきたから自分の権力に利用しようとする奴が義理の父になるのはごめんだと言ってやっただけだ。
カストルとイライザは好きだけどユーグ公爵は好きになれない。っともな。」

「さすがリーク。でも大丈夫だったの?」

イライザたちのお父さんは確かイシェラ王国の王立魔導師長。結構偉い人だけど…

「リノアとの婚約は父上が許可した正式なものだ。」

「うちの父もあんなだけどイシェラ王国の宰相だから。
国王陛下と宰相の決定に口出ししたことが公になればリークの発言より問題になるでしょう。」

のんちゃんの言葉にリークは何度もうなずいている。

「父は何か焦っているようですの。たぶんカストルを駒にしにくいから代わりに私をなんとか王族の側に置きたいのでしょうけれど…」

イライザの言葉でフードを被ったまま小さくなっていたカストルは更に身を縮めた。

「カストルが珍しい魔力を持っていることをお前の親父はもっと誇った方がいいと思うけどな。」

「珍しいもの、変わったものを恐れたり嫌ったりする方もいますから。」

イライザは元気づけるようにカストルの手を優しく握った。

「でも、変な話だよな~光の魔力は喜ばれるのに闇の魔力は恐れられるなんて。」

三人の視線が私に集中して気まずい。

「光と闇は表裏一体。互いの力が暴走した時にもっとも効率よく抑えられる。なくてはならない存在だよね。まぁ、今のカストルの力なら私でも抑えられるけど。」

「私だってお兄様の力を抑えたり、意識をこちらに呼び戻したりできますわ。」

イライザとのんちゃんはたまにこうしてぶつかっているから私とリークは二人を遠巻きに眺める。
話題の中心人物カストルはといえばおとなしく分厚い本を読んでいるディルの隣に座り横からのぞかせてもらっている。

カストルとディルは年が近いのと物静かなディルの側が居心地がいいのか二人は一緒にいることが多い。

カストルが初めてフードを脱いだ姿を見せたのも確かディルと二人でいる時だったし。

高いファンファーレの音に私はビクッとして意識を会場内に戻した。
いよいよ式典が始まるらしい。
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