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第二章 イシェラ王国
私の心臓がもちません
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コンコンと開いたままの扉をノックする音が聞こえ近衛兵の制服に身を包んだアンディーブ様が呆れた顔をして立っていた。
「スリジェ辺境伯を呼びに行って下さるとおっしゃっていたのに何をなさっているのですか父上。母上まで。」
アンディーブ様の声を聞いたとたんにイライザは呆れ顔を引っ込めてそっと扉に目を向ける。
真珠色に金の縁取りがある詰襟を着たアンディーブ様は天上からの使者と見まごう美しさで男女問わず虜にしそうだ。もちろんイライザも頬を染めキラキラとした眼差しをむけている。
「ごめんごめん、ちょっとユーグ公爵と話が盛り上がっててね。」
ユーグ公爵様は苦々しい顔をしながらイライザを呼び寄せる。
「盛り上がった記憶はないが、どうやらお邪魔なようだ。
またの機会にゆっくり話すとしましょうスリジェ辺境伯。」
部屋を出るユーグ公爵様はアンディーブ様の肩にポンと手を置く。
「君も風変わりな父上を持って大変だな。
だが、第一王子エドワード様からの信頼が厚いと聞いている。その聡明さは母上譲りなのだろうな。」
「お褒めの言葉ありがたく思います。」
微笑んでから美しく礼をとるアンディーブ様に親娘そろって見惚れているような様子に私は内心複雑だった。
先ほどの様子を見るとユーグ公爵様はエリザベス様が好きなんだろうし母親似のアンディーブ様も気に入ってるとか?
アンディーブ様大丈夫かな~心配の眼差しを向けるとユーグ公爵様たちを見送ってから私にニコッと微笑んだ。
「兄貴は大丈夫だよ。慣れてるし。」
側に来たのんちゃんもそう言ってから私の顔を覗き込む。
「マリーは兄貴のフェロモンにやられないみたいだな。」
「リノア、お前は私を何だと思っているんだ」
「え?フェロモン垂れ流しの人たらし。」
のんちゃんの返事にアンディーブ様はため息をついてから私たちを陛下の元へと案内してくれた。
その晩に開かれた祝賀会で私はアロイスとワルツを踊っていた。
何故そんなことになったかというと陛下に呼ばれた時にエシャルロット公爵が陛下たちにユーグ公爵のことを言いつけたからだ。
リークとリノアが踊った後、リークとイライザ、カストルが話しているすきに着替え終わりアロイスが登場。みんなが気づいた時には私たちはダンスホールの隅で踊っていた。
アンディーブ様はエリザベス様とそっくりだけどアロイスはエシャルロット公爵様とエリザベス様両方に似ている。
久しぶりのアロイス、しかも正装姿は眩しくてなんだか直視できない。
「マリー、そのドレス似合ってるよ。」
エメラルドグリーンに金の刺繍のドレスはエリザベス様が用意してくれたもので、アロイスの瞳と髪と同じ色。アロイスが着ているベージュに近いピンクのベストとブルーのコートは私の色誰が見ても互いの色だと分かることがなおさら恥ずかしい。
「アロイスも…似合ってる。すごく。」
というか、アロイスに着こなせない服なんて存在しないんじゃ…
はたからみたら幼い二人のワルツは微笑ましいものかもしれないけど、私は心臓が破裂しそうだ。
ステップは間違えられないし、アロイスとすごく密着しててドキドキだし。九歳児にときめいてる私ってもしかしてロリコン?!とか邪念がよぎる。
「マリー」
先ほどと違う声のトーンに私はハッとアロイスの顔を見上げてしまう。
まだまだ目線の差はあまりないけど…
「ドキドキしてもロリコンじゃないから。俺もマリーにドキドキしてるし。
でも寂しいから目を逸らさないで。」
何なの?!どこで覚えてくるのそういうセリフ!!
ボンっと顔が真っ赤になったけどそのグリーンの瞳から目が離せない。
もうもうもう!!!アロイスの胸をポカポカ叩きたいけどダンスをやめるわけにはいかない。最後に片手を繋いだまま深く頭を下げ合ってワルツは終わった。
「スリジェ辺境伯を呼びに行って下さるとおっしゃっていたのに何をなさっているのですか父上。母上まで。」
アンディーブ様の声を聞いたとたんにイライザは呆れ顔を引っ込めてそっと扉に目を向ける。
真珠色に金の縁取りがある詰襟を着たアンディーブ様は天上からの使者と見まごう美しさで男女問わず虜にしそうだ。もちろんイライザも頬を染めキラキラとした眼差しをむけている。
「ごめんごめん、ちょっとユーグ公爵と話が盛り上がっててね。」
ユーグ公爵様は苦々しい顔をしながらイライザを呼び寄せる。
「盛り上がった記憶はないが、どうやらお邪魔なようだ。
またの機会にゆっくり話すとしましょうスリジェ辺境伯。」
部屋を出るユーグ公爵様はアンディーブ様の肩にポンと手を置く。
「君も風変わりな父上を持って大変だな。
だが、第一王子エドワード様からの信頼が厚いと聞いている。その聡明さは母上譲りなのだろうな。」
「お褒めの言葉ありがたく思います。」
微笑んでから美しく礼をとるアンディーブ様に親娘そろって見惚れているような様子に私は内心複雑だった。
先ほどの様子を見るとユーグ公爵様はエリザベス様が好きなんだろうし母親似のアンディーブ様も気に入ってるとか?
アンディーブ様大丈夫かな~心配の眼差しを向けるとユーグ公爵様たちを見送ってから私にニコッと微笑んだ。
「兄貴は大丈夫だよ。慣れてるし。」
側に来たのんちゃんもそう言ってから私の顔を覗き込む。
「マリーは兄貴のフェロモンにやられないみたいだな。」
「リノア、お前は私を何だと思っているんだ」
「え?フェロモン垂れ流しの人たらし。」
のんちゃんの返事にアンディーブ様はため息をついてから私たちを陛下の元へと案内してくれた。
その晩に開かれた祝賀会で私はアロイスとワルツを踊っていた。
何故そんなことになったかというと陛下に呼ばれた時にエシャルロット公爵が陛下たちにユーグ公爵のことを言いつけたからだ。
リークとリノアが踊った後、リークとイライザ、カストルが話しているすきに着替え終わりアロイスが登場。みんなが気づいた時には私たちはダンスホールの隅で踊っていた。
アンディーブ様はエリザベス様とそっくりだけどアロイスはエシャルロット公爵様とエリザベス様両方に似ている。
久しぶりのアロイス、しかも正装姿は眩しくてなんだか直視できない。
「マリー、そのドレス似合ってるよ。」
エメラルドグリーンに金の刺繍のドレスはエリザベス様が用意してくれたもので、アロイスの瞳と髪と同じ色。アロイスが着ているベージュに近いピンクのベストとブルーのコートは私の色誰が見ても互いの色だと分かることがなおさら恥ずかしい。
「アロイスも…似合ってる。すごく。」
というか、アロイスに着こなせない服なんて存在しないんじゃ…
はたからみたら幼い二人のワルツは微笑ましいものかもしれないけど、私は心臓が破裂しそうだ。
ステップは間違えられないし、アロイスとすごく密着しててドキドキだし。九歳児にときめいてる私ってもしかしてロリコン?!とか邪念がよぎる。
「マリー」
先ほどと違う声のトーンに私はハッとアロイスの顔を見上げてしまう。
まだまだ目線の差はあまりないけど…
「ドキドキしてもロリコンじゃないから。俺もマリーにドキドキしてるし。
でも寂しいから目を逸らさないで。」
何なの?!どこで覚えてくるのそういうセリフ!!
ボンっと顔が真っ赤になったけどそのグリーンの瞳から目が離せない。
もうもうもう!!!アロイスの胸をポカポカ叩きたいけどダンスをやめるわけにはいかない。最後に片手を繋いだまま深く頭を下げ合ってワルツは終わった。
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