悪役令嬢とヒロインはハッピーエンドを目指したい

ゆりまき

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第三章 魔法学園

イメージと違いました

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ルルが住むのは女子寮とは別に建てられた王族専用の建物でリークやエドワード王子、護衛としてアンディーブ様や、カストルもそちらに住んでいる。
ルルの了承を得てからのんちゃんがリークとアンディーブ様に事情を話しに行きその日は解散になった。

翌日、リノアとイライザと朝食を食べている席にルルがやって来た。
静かに私の隣に座ったルルにまずリノアが話しかける。

「ルル、昨日あれからどうだった?」

ルルは少し思案げな顔をする。

「貴女のお兄さん敵にしたくない思いマシタ。」

「だよね~」

リノアから話を聞いたアンディーブ様はすぐに動き始めたらしい。
同じ建物とはいえ居住区がキッチリ分かれているルルの元を訪問し挨拶を交わした後、彼女の使用人たちの元も訪れ労い困ったことがあればいつでも自分を頼るように伝えたそうだ。しかも完璧な帝国語で。
女性陣は美貌の貴公子にメロメロ。男性陣はどうかというと、帝国軍の強さは遠いこの地にも届いている。王族をお守りするというこの誇り高い仕事を行う者同士親しくなれるとありがたい。
と熱心に口説かれて悪い気はしていない様子だという。

「彼女たち朝からニコニコそわそわしてる。
私、彼女たちスパイしか思ってナイかった。彼女たちも心ある。仲良くなれないか努力してみよう思いマス。」

ルルも使用人たちの新たな一面を見て思うところがあったようだ。

「ルル様と共に帝国の親善大使としていらした方がお父様と会食をなさる予定ですの。頼み込んで私も同席させていただきますので色々探って来ますわ。」

イライザいつの間に…相変わらずリノアにライバル心を燃やしているらしい。
食事を終えて教室へ向かうとセーラが席に座っていた。

「おはよう、セーラ。早いのね。」

「おはよう、マリー、ルル。」

セーラは本をパタンと閉じると私たちに笑顔を向けてくれる。

セーラにもルルの話を伝えたくてのんちゃんから借りた防音魔法を発動させる。
周りから見ると私たちが話している姿は景色の一部になって近づく気をなくさせる作用が施されている便利グッズだ。

「すごいですね。この魔道具。」

セーラは話始める前に防音魔法の方に気を取られている。
私がルルの事情を説明すると眉をひそめながらルルの言葉やこの国の作法を教えることに協力してくれることを約束した。

「お兄様であるソーマ皇子様のことも心配ですね。お一人で国に残られて。」

セーラの言葉にルルは最初キョトンとしていた。意味が伝わらなかったのかと思いもう一度言うと急に声に出して笑い始める。

「二人、ソーマどんな風に想像してる?」

聞かれて想像してみた。お母さんと妹を助けるために皇帝に直々に願い出る優しくて賢そうな人かな、セーラも同じような想像らしい。少し線が細く辛い環境を懸命に耐え忍んでいるような…

私たちの返事を聞いてルルはさらに笑いが止まらなくなった。
「ソーマ強い。とても。私とお母さんあまり強くない。足手まといならないように国出された。
ソーマ、腕このくらいある。サバニアタイガー素手で倒したことある。」

ルルは両手を浮かせて大きな丸を作って見せる。
私の腕の三倍以上あるだろう。

「ソーマ心配ないない。私足引っ張る心配。だから問題起こしたくない。」

言いながらもまだ笑っている。

「私、自分で操る魔力とても少ない。でも人の力見える。いい感情、悪い感情も見える。勉強してソーマの力なりたい。」

防音魔法を外しながら私はなるほどとうなずく。
「ソーマ見たい?」

ルルが尋ねてきたので私とセーラはうなずいた。

ルルが手帳から大切そうに出してきたのはルルとよく似た顔立ちの美しい女性と筋肉隆々といった言葉がピッタリ合う濃い顔立ちの青年とルルが写った写真だ。大きな手がルルの華奢な肩に添えられている。

なるほど、私たちがイメージする皇子というより戦士という言葉の方が合うかも。腕も足も太く濃い眉、大きな目、鼻。黙っていたら厳しい顔に見えるかも。でも写真の皇子は屈託のない笑顔で明るく頼もしく見える。

「何を見てるの?私にも見せて。」

サッと写真が私の手から抜き去られる。

唖然として見るとロベリア・ハフスさんが取り上げた写真をまじまじと見ている。

「ちょっ、それはルルのだから返してください。」

「わぁ、もしかしてルルシア皇女様の婚約者さんですか?」

「兄です。」

ルルは少しムッとした様子で写真を取り返す。

「あまり似てないんですね。もしかしてルルシア皇女様と血が繋がってないとか?」

ルルは小さくため息をついてから写真を仕舞い込む。

「同じ父母から生まれた兄妹です。貴女、同じ父母から生まれたら皆んなソックリ思ってますか?もう少しお勉強した方がいい思います。」

ハフスさんは顔を赤くしてクルッとこちらに背を向けた。

「何よ。自分こそ、留学先の言葉くらいもっと勉強したらどうなのかしら。」

私は頭にきてサッと立ち上がったけど左右からスカートを引かれまた席についた。

「彼女言うこと当たってる。もっと勉強する。」

「今言い返すよりルルの成果を後で見せてあげる方がいいです。」

二人にさとされて私は渋々うなずいた。
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