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第三章 魔法学園

この光景、見覚えが…

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放課後、セーラとイライザがルルの語学特訓をすると言うので邪魔にならないように私はさっそく淑戦部を覗いてみようと渡り廊下を歩いていた。

部活動の説明会はまだこれからだけど見学は許可されてるし。
ルンルン気分で歩く私の前にヒラっと白い物が落ちた。

拾い上げると上質な絹の手触り。美しい金糸で縁取りがされている。
ちょうど廊下の先を曲がる人影が見えたので急ぎ足にして追いかけると見慣れた背中が目に入った。

「お~い、リーク。」

クルッと振り返った彼の姿。あれ、この光景どこかで見た気がする…。

「これ落とさなかった?」

「お、サンキュー全然気づかなかった。
マリーが拾ってくれて助かった。
お礼にお茶でもおごるぜ。」

「え、いいよ~ちょっと拾っただけで。
私今から部活見学に行こうと思ってるし。」

「今から見学に行くんじゃ早すぎるだろ。
お茶一杯飲むくらいの時間つぶしした方がいいぜ。」

「そう?じゃあ…」

「ちょっとリーク。貴方の方が優雅にお茶してる時間なんてないわよ。」

急に背後から響いてきた声にビクッとして振り返るとのんちゃんが珍しく息をきらせて立っている。

「のんちゃん?」

「おう、リノア。なんだよ。今日そんな大事な用事あったか?」

近づいてきたのんちゃんは私とリークの間に立ち私を背後に隠すようにしてリークを見上げる。

「あったか?じゃないの。今日こそたまりに溜まった書類の山を片付けてもらうからね?」

「ええ、まだ期限は先だろ?」

「そうやって先延ばしにしていつも私に手伝わせるから言ってるの。今日中に全部終わらせて。」

「お茶一杯くらい飲ませろよ。」

「大丈夫、書斎に運ばせるから。さぁ行くよ。ってことだからマリー。」

「うん、分かった。頑張ってね~」

リークを引きずっていくのんちゃんとこちらにヒラヒラ手を振るリークに苦笑いで手を振りながら私はハッと思い出した。

さっきの場面。他に誰もいない廊下でこちらを振り返るリーク。ハンカチを差し出す私の手。向けられた笑顔。
あのゲームの出会いのシーンだ!!
え!まさか…

思わず口を手で覆う。

セリフは全然違うけどお茶に誘われた所は同じ。まさか、ゲームのシナリオ?
あれ、でものんちゃんが来て結局お茶してないからセーフ?これってYes.Noどっちを選んだことになるの?
あぁ~完全にゲームのこと忘れてた。
現実は二択では進めないよ~

学園をウロウロして他の誰かに会うのが怖くなって私は早々に寮へ帰ることにした。

うわーん、淑戦部楽しみにしてたのに~

ガックリ肩を落とし涙目で帰寮する。

明日、明日こそ。セーラやルルも誘って覗きに行こう。

一人じゃなければたぶん、大丈夫なはずだから。

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