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第三章 魔法学園

救いの乙女って誰ですか?

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ルルは黙っているだけでなく、ちょっと離れて立っていて文字通り距離を感じる立ち位置だ。

「ねぇルル」

呼びかけると目を伏せたまま一歩前に出てきた。

「ルル、なんか寂しいよ~いつもみたいに話してよ。」

言ってもルルは頑なに目線を下げたままだ。

「ルル。貴女もレディ・ランタナとかしこまられるのは嫌がっていたでしょう?」

セーラが優しくルルの肩に手を置いた。

「私がマリーと仲良くすればマリー不幸になるかもしれない…」

「え?どういうこと?」

「私の国、光闇の神を崇めています。かつては光の神と闇の女神を崇める者同士で争いが絶えなかった。
光の神と闇の女神は心を痛め、自分たちの意思を一人の乙女に伝え、聖獣をたくした。
乙女は争い合う派閥の長たちに神々の思いを伝え、両神がどれほど自分たちに恵みを与え、この争いに心を痛めているか説き伏せた。

長たちは争いをやめ、互いの子を夫婦としその子は偉大な指導者として長く国に平和をもたらした。
これが帝国の始まり。初代皇帝の誕生だと言われています。


ここまで聞けばいい話で終わりそうだけど…ルルももちろんそれは承知しているらしい。

「問題は聖獣と救いの乙女と呼ばれた女性。
彼女たちは国が落ち着きを取り戻し初代皇帝が誕生し、しばらくすると南の帝国から立ち去ったと言われてます。
引き止める皇帝に対して乙女はこう語ったそうです。」

『再び国が乱れ、光と闇の争いが起きたとき。我々は再びこの地に戻り人々を平安へと導きましょう。』

「つまりその乙女と聖獣が私たちだってこと?」

ルルは神妙にうなずいている。

「え、そんなこと言われても全然身に覚えがないけど…」

(ホープは?)

(全然知らない。ホープ聖ジュじゃないよ。ホープだもん。)

ね~っとうなずき合う私たちを皆んなは困惑した表情で見ている。

「マリーの魔力さらに強くなった。そのうち記憶が蘇るのかも…」

ルルの言葉にギョッとしてしまう。

もう一人分記憶が蘇る?無理無理無理。ただでさえ今の人生+有希の頃の記憶があるのに更に増えるとか頭の中ごちゃごちゃになりそうだよ~

「マリーを味方につけることで次期皇帝の座を約束される。きっと皆そう思う。
でも、もし私がマリーと仲良くすれば…
皆私が皇帝の座を狙ってる思う。私を皇帝にするくらいなら二人とも殺す。
そう考える全然不思議じゃない。」

「待って待って、本当に違うのにそんな誤解されても困るよ~」

「まぁ、誤解させときゃいいんじゃないかい?アロイスも知っててホープをここに連れてこようとしてたんだ。」

突然聞こえた声に皆んなは驚いて振り返る。

いつのまにか中庭のベンチに足を組んで座ったニリーナ様が管の長い煙管を口から離しフワッと煙を吐き出していた。
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