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第三章 魔法学園

新しい友達は最強のアシスト能力を持ってます

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魔力を使ってこれ以上何か噂されたら嫌だけど明らかに様子がおかしい生徒もいる。

私は覚悟を決めていつものように操作画面を目の前に出す。

メニュー表示、能力、光魔法、浄化、上級、狭域。

(待ってマリー、こんな狭い範囲で上級浄化を浴びたら精神に影響が出るものもいるかもしれない。
下級浄化、広域に変更して。
1回で足りなかったら何度かやればいいよ)

突然響いてきたホープの声に従って急いで変更して両手をかざし魔法を発動させる。

フワッと柔らかい光が辺りに一瞬で広がり緩やかな風がひと吹きクラスを吹き抜け窓の外へと流れていった。

険しかったみんなの表情が少し緩んでいる。
放心したように座り込んでいた生徒たちはボンヤリと私の顔を見上げまぶしい光を見ているかのように目を細めている。

「あれ?なんかよく考えるとなんであんなにスリジェさんに腹を立ててたんだろう」

「すっげえ感じ悪って思ってたけどそもそもあんまり関わりないし話したこともあんまりなかったなぁ。」

「ロベリアがしょっちゅう噂してたから話にだけは聞いたことあったけど…あの子いっつも噂話ばっかりしてて何であんな話信じてたのかな?」

憑き物が落ちたようなと言うのはきっとこういうことを言うんだろう。
少しすっきりした表情で戸惑うようにキョロキョロあたりを見回しているクラスメイトたちは小声で囁きあっている。

心優しいヒロインはこの状況を喜びみんなと仲直りして素敵な学園ライフを送るんだろう。

でも残念ながら私は全然ヒロインの自覚もないしディルの方がヒロインらしいと思ってるから急にみんなの考えが変わったことに寒気すら感じてしまう。
洗脳しちゃったわけじゃないよねと青くなりつつ自分の魔力の強さが今更ながらに恐ろしくなった。さっきまでの騒ぎに自分たちも関わっているという自覚を持っている人があまりいないみたいなのも怖い。

だってさっきまでみんな私のこと睨んでたしひどい言葉を向けてきたのに今は不思議そうにこちらの様子を伺っているだけだ。

小さく震える指先に暖かいフワフワしたものがあたる。
ホープが耳をすり寄せてきていた。

(大丈夫?マリー)

私はしゃがんでホープと同じ目線になる。

(大丈夫。ちょっと驚いただけだから。さっきはありがとう。)

照れたようにエヘヘっと頭をこすりつけてくるホープかわいい。癒される。

理事長といつの間にか来ていた担任の先生が生徒たちに声をかけて全員を席に座らせひとりずつ別室で話を聞かせてもらうと話している中、ホープの首に腕を巻きつけて放心していた私の肩にそっと手が置かれた。
見上げるとセーラが心配そうにこちらを見下ろしている。

「マリーは大変な目にあったんだからひとまず場所を移しましょう」

ディルやイライザ、ルルも私を囲んでくれてセーラが伸ばした手につかまりそっと立ち上がった。

「マリー…」

涙ぐむイライザがギュッと抱きしめてくれる。

「ごめんなさい、マリー。私がおかしな態度をとってしまったせいですわ。」

抱きついてきた体は細かく震えていてイライザも怖かったんだ。と改めて感じジワっと涙が出てくる。

三日くらい会わなかっただけなのにイライザの姿が見られて声が聞けて、何より私を嫌って避けてたわけじゃないらしいことが嬉しくてギュッとイライザを抱きしめ返す。

席に座りながらもチラチラこちらを見ているクラスメイトの視線から隠すように私たちを囲んでセーラたちと教室を出るとディルの先導で私たちはクラスを出て人気のない中庭に出る。歩きながら私はずっと黙り込むルルのことが気になっていた。
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