悪役令嬢とヒロインはハッピーエンドを目指したい

ゆりまき

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第三章 魔法学園

真正面から戦います

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急にひざまずいたルルにビックリしているとクラスメイトたちがジリジリ後ずさっていく。

「え?待って待って。そんな大げさな。私別に普通だよ?急にどうしたのルル?」

「南の帝国は光闇信仰が強い国だからマリーが神の使いに見えるんだよ。ルルの行動は決して大げさじゃない。」
 
声に振り返るとディルが立っていた。

「良かったマリー。塔に入れられた時はどうしようかと…
事前にクリアフォルト殿下とエシャルロット公爵様に伝言は飛ばしたから塔に入る前に止められると思ってたんだけど…」

「ホラ、出たよ。特別扱い。だからつけ上がるんだよね。」


小さかったけど確かに耳に届いたその言葉。

「ほんとだよ良くないと思う。」

ポツリとつぶやくと私はディルから一歩遠のいた。

「つけ上がってる自覚はないけど特別扱いは良くないよ。このまま皆んなに助けてもらったら誤解されたままだし。
変な噂流されて鵜呑みにされるのもまっぴらなんだもん。」

水をかぶった生徒たちは相変わらず放心してて声はその後から聞こえた。

「こそこそ話さないでちゃんと教えてくださる?つけあがってるって具体的には何のこと?」

始めはみんな金縛りにあったみたいにピクリとも動こうとしなかったけど女の子が2人で
「だって…」「ねぇ…」
と互いに目配せし始めた。

「アロイス様の婚約者でありながら義兄のディル様、アンディーブ様、ご友人のリーク様、護衛のカストル様、最近ではエドワード様やカミル先生にも色目を使っていると皆さん噂していますわ。」

「誤解だと騒ぐ前に誤解されるような行動を慎まれてはいかがです?

それに、同性のご友人は身分の高い方ばかりですし。権力目当てなのが露骨すぎて…」

2人は顔を見合わせてクスクス笑っている。

背後から殺気を感じるけど私はチラッと後ろを見てから彼女たちの前に進み出る。

「あなた方の話が本当だとして一体何が望みで私がそんなことをすると思いますか?」

彼女たちは私の質問に目を丸くしてから首をかしげる。

「さぁ、権力を手にして隣国からの侵略を狙っているとか?」

「ただモテている自分に酔いしれたいだけではなくって?」

「侵略にしろ酔いしれたいにしろ国家を巻き込んだ騒動になりそうなマイナス面しか見えないんですが…
だってあなた方が挙げた人物はこの国の王族に公爵家、魔法学園の教師、両国の国境を守る辺境伯家の人物ですから。もてあそぶようなことをしてただで済むと思います?」

「でも…」「確かに聞いたわよね?」

「それに魅了魔法を使っているという噂ですがいくら光の魔力が希少魔法だからってそんな危険な魔法を使える生徒を学園が放っておくと本当にお思いですか?」

2人は面白くなさそうな顔で黙り込む。

「でも潔白ならなんで反省塔に連れてかれたんだ?」

別の生徒から疑問が投げかけられる。

「そもそも何故あの塔を反省塔と呼んでいるんでしょう?」

「え!だってあの先生もそう呼んでたし先輩たちもそう言ってたから…」

「風火土水の四属性に加え光と闇それぞれの魔力の象徴が我が学園の六つの塔。闇の塔は心を鎮め自身と向き合い自己を見いだす瞑想の場に使われていたのがいつしか反省させるための場と誤解されるようになってしまった。」

理事長の声が聞こえゆっくりクラスに入ってくる。

「それに彼女の潔白は先ほど証明されましたよ。私が直々に組んだ魔法でね。」

私は塔の最上階で起きた不思議な体験を思い出して私の横に立った理事長をそっと見つめる。

「ちょっとした嫉妬や不安、恐れや羨む気持ち。その小さな気持ちを上手く増長させているのでしょう。私が許可します。力を使ってごらん。今の貴女なら上手く調整できるはずだから。」

おそらく私にしか聞こえない小さな声で理事長がそう話しかけてくる。

(大丈夫。ホープも一緒。任せて。)

ホープがスルッと私の右脇に頭を入れてきて首に手を回した形になった。

ちょっと不安だけど明らかに様子がおかしい生徒もいるし。

やってみるしかないかな…
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