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第三章 魔法学園

新しい友達ができました

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(ホープ、我が名はホープ。素敵。気に入りました!)

小さな女の子の声が耳からというより頭の中に響き不思議に思ってそっと腕を外すとクリクリした紫色の目が目の前にある。
オオカミのような尖った鼻先が近づいてきて思わずギュッと目を閉じる。

(ホープのご主人の名前はマリーベル・スリジェ?それとも有希?)

(どうして私の名前…あ。のんちゃんが教えたのかな?)

(そう。精霊に愛されした者。平和を望む者。賢者アロイスまたの名をのんちゃん。でもアロイスって呼ぶように言われた。)

(私もマリーって呼んで欲しいな。あの、のんちゃんは…)

最後まで念話する前にホープの鼻先が更に近づきツンツンと両頬にヒンヤリとした鼻が軽くあたるのを感じ最後に額にそれが触れた時、身体がふわっと暖かい空気に包まれる。

体の芯から無意識な強張りが解けて悪いものが抜け出たような汚れが一掃されたようなスッキリ清々しい気持ちになってゆっくり目を開けるとホープも同じように目を開いたところだった。



「ふん、魔力の相性は良さそうだね。
まぁこいつらが選ぶ相手を間違えることはまずないだろ。

互いに力を支えあえるから前より魔力の調整も上手くできるはずだ。


さぁてと。」



ニリーナ様は嬉しそうに腕をまくった。

「いっちょこらしめに行くか!」

嬉しそうなニリーナ様の向かう先が私じゃなくて本当によかった。

そんなことを思いながらニリーナ様を先頭に不思議そうな顔をしたホープを連れて私たちは屋根の上を進む。

ちょうどクラスの真上あたりにきてニリーナ様が手をかざすと屋根が透けて中の様子と音が聞こえるようになる。

「一体何を馬鹿げたことを!マリーがいつそんなことをしたとおっしゃるの?」

室内の様子が見え始める前、最初に聞こえてきたのはイライザが誰かを咎める声だ。

「ユーグさん、あなたがスリジェさんと仲がよろしいのは知っていますが貴女が魔力を使われて昏倒するのを目撃した生徒が何人もいるんです。」

入り口を入ってすぐの場所でイライザとルル、セーラが一部のクラスメイトに囲まれている。室内にハフスさんの姿は見当たらない。

「あれはただの睡眠不足のせいです。
マリーはただ浄化魔法をかけてくれただけで…」

「ですが、その後数日スリジェさんを避けていたじゃないですか。
大丈夫、彼女はもう捕まりましたから恐れず本当のことを言ってください。」

「本当のことを?」

呆れた顔でクラスメイトを見つめ返すルルに周りの一人一人をじっくりと見つめて様子を伺っているセーラ。
イライザは目の前の生徒を真っ直ぐに見返しながら口を開いた。

「本当のことを言うと、これ以上あなた方とこの場で話し合いたいと思わないですわ。
最近鏡をご覧になった?その虚な眼差し、血色も悪いですし魔力にあてられているとしか思えませんもの。」

離れて見ていても相手の様子がおかしくなったのが分かった。

イライザが危ない!そう思った時にはクラスの中、イライザに背を向けて立っていた。
話していた相手はいきなり水魔法でイライザに水を浴びせようとした所でとっさに出現させた壁がそれをはね返しイライザたちを取り囲んでいたクラスメイトたちにかかった。

「「「マリー!」」」

背中から聞こえる三人の声と

「わぁ!魔獣だ!」「助けて!」

とホープを見て泣き叫ぶ声クラスメイトの声がいっぺんに聞こえる。

イライザに水を浴びせようとした生徒は自分にはね返った水圧で尻もちをついたまま立ち上がれず。座ったまま器用に後ずさっている。ホープは首をかしげてから床にこぼれた水をピチャピチャ舐めて飲みはじめた。

「あ、ホープダメだよ。汚いから。」

(汚くない。マリーの魔力浴びて聖水になってる美味しい。)

「えっ!聖水?」

 驚いて前に出ようとしたら後ろからガバッと抱きつかれた。

「イライザ?」

「マリー塔に連れて行かれたって聞いて、私…」

クルッと腕の中で向きを変えてイライザを抱きしめ返す。

「心配させてごめんなさい。セーラ、ルルも。」

セーラは嬉しそうに両手を握りしめてうなずいてるけどルルは青い顔で床に膝をつき両手を握り頭を下げた。

「ルル?どうしたの?」

「マリー聖獣連れてる。救いの乙女。光と闇を結ぶ者。最大の敬意を表する。」

「え、待って。聖獣ってホープのこと?いや、私は何も…」

「アロイス規格外って聞いた。でも違うマリーが一番特別な存在。今まであった魔力の何倍も強い力感じる。

アロイスはマリー守るために強いだけ。マリーは救いをもたらすために遣わされた存在。マリーはこんな馬鹿げた騒ぎに巻き込んで良い方ではない!」

ルルの呟きを聞いてクラスメイトたちがザワザワし始め水をかぶった生徒たちは放心したように私を見つめている。
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