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第三章 魔法学園

イライザはいっぱいいっぱいです

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イライザの悲鳴まじりの怒りの声に私は身を仰け反らせホープは耳をふせて眉間にシワを寄せている。

「リノア様が…男性?」

小さな呟きに目を向けるとセーラが呆然とした表情をしている。
ディルはもちろんルルも平然としているのには驚いた。
イライザも振り返ってルルたちの表情に気づいたらしい。

「ディル様は知っていらっしゃるのも分かる気がしますがルルはいつ教えられたのです?」

少し傷ついたようなすねたような顔をするイライザ。かわいい。

「誰にも教えられていない。私は魔力が見える。全く同じ魔力は誰もいない。姉妹でも双子でも全く同じはない。だからわかった。」

イライザはうなずきながらも衝撃は消えないようだ。

「マリーに怒るのは間違ってると思う。
マリーは秘密を守っていただけ。仕方ない。イライザは信頼できても…」

「お父様が知ったら踊り出しそうな醜聞ですものね。」

諦めたような苦笑いでイライザはうつむいた。

「怒ったわけではないですわ。ただ驚いてしまって…
だって私たち…私たちお友達になってからずいぶんになるでしょう?」


イライザ…泣いてる?あの負けず嫌いで弱みを見せるのが嫌いなイライザが…

私はオロオロしてしまって何も言えず、何もできなかった。

「それにリークがかわいそうじゃありませんか。
婚約者としてリノアを大事にしているのに…もしもこのことを知ったら…」

あっ!と思った時には遅かった。
いつから、どこにいたのか今まさに話題にしていたリークが颯爽と近づいてきてうつむいたままのイライザを片腕で自分の胸元に抱き寄せた。

「え?きゃっ!リーク?な、な、なぜここにいるんですの?しかもいきなり何を…」

「悪いな、こいつの泣き顔見ていいのは俺だけだ。

マリーが塔から無事に出られたらしいって聞いたから探しにきたら今度はまた 別の騒ぎが始まってんのか。忙しいな~お前も。」

「そんな、私だって好きで騒ぎを起こしてるわけじゃ…」

「リーク!離してくださいませ。こんなことをして皆んなに誤解されたらどうなさるおつもり?」

「別にどうもしねーよ。どう捉えてもらっても構わないと思ってやってんだから。」

リークの返しにイライザが真っ赤になる。

「わぁ、情熱的だねーリーク。」

なんだか嬉しそうに微笑むディルと顔を赤らめて恥ずかしそうに二人を眺めるセーラ。ひたすら無表情なルル。
退屈そうに煙管をくわえる二リーナ様。

待って待って!付いて行けてないの私だけ?!

「おやめください。婚約者がいる身でありながらこんな…はしたないですわ。」

イライザのくぐもった声が聞こえるけどリークは全然離す気がなさそうだ。

「今聞いたばっかだろ?リノアなんて奴は本当は存在しないんだ。
もちろん世間的にはもうしばらく存在してることにしてもらうけど。」

「そ、そ、そうだとしてもこんな行動をとる意味が分かりませんわ。」

「そうか?俺にはちゃんと分かってるよ。誰にも見せたくないんだ。好きな奴の貴重な表情は独り占めしたい。」

「す…す…す…」

イライザは今にも倒れそうなくらい耳が真っ赤になって小さく震えている。

「えぇ!!それってリークはイライザが好きってこと?
っていうかのんちゃんのことも知ってたの?」

思わず叫んでしまうとリークはこともなげに、うんっとうなずいた。

待って待ってそのうんってどっちの質問に対して?あ、どっちもか…

「私は…私は、嫌いですわ。貴方みたいなワガママ王子。」

小さなか細い声でイライザがささやいてるけど全然説得力がない。

「そっかぁ、じゃあ好きにならせる。」

イライザの発言に微塵も怯まずに笑顔でリークが微笑むと、ついに限界だったのかイライザの体からくにゃっと力がぬけた。
大変だ!色々重なりすぎてイライザが意識を失った!
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