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第三章 魔法学園
淑戦部の裏の顔?
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アスターさんが言ったネズミ…という言葉に私たちはピシッと姿勢をただす。
「皆さんはあの女のことはもちろんご存知でしょう?」
「えぇっと…ハフスさんたちをお世話していた侍女…ですよね?」
アスターさんの目が怖くて恐る恐る口にする。
アスターさんはそんな私に向かって苦笑いを浮かべ軽くうなずいた。
「そうですわ。
まぁ、家に鼠、国に盗人と申しますし彼女のような存在がいるのは仕方がないこと。と多少好きにさせていたのが間違いでした。」
膝に置かれたアスターさんの手がギュッと握られ震えている。
「あの女を捕まえてロベリア・ハフスを早急に見つけなければ私のかわいい後輩が国外に追放されてしまいますわ。」
「かわいい後輩?」
首をかしげる私たちにソリーさんがお茶菓子を配りながら説明してくれる。
「前年度まで淑戦に所属されていた私と同学年だったカディナ・ハフスさん。ロベリア嬢のお姉様です。」
「お姉様が淑戦に所属していたんですか?あの結婚が決まって学園をお辞めになったという?」
私の言葉にアスターさんはコクリとうなずく。
「カディナさんもとても素質のある方で文武にも長けていたし私としては学園を続けて欲しかったのですが、婚約者の方の強い要望でお辞めになったのです。
全く一人では満足に当主教育もこなせないような婿を迎えなければいけないなんてカディナもかわいそうに。」
後半は声が小さくてハッキリとは聞こえなかったけどアスターさんはカディナさんの結婚や退学を良く思っていないみたいだ。
「アスターさんはもしかして、カディナさんの結婚話が立ち消えることを期待なさってロベリアさんや侍女を野放しになさっていらしたのですか?」
珍しくセーラが口を開く。
アスターさんはちょっと肩をすくめて紅茶を一口飲んだ。
「どうでしょう。そうなればいいと思わなかったかと問われれば否ですわ。カディナにはもっと似合いの方と連れ添って欲しいし、結婚はもうしばらく待って一緒に働いてほしかったですから。」
「働く?」
今度はルルが首をかしげて尋ねた。
アスターさんはぐるりと私たちを見回してから紅茶をソーサーに戻して両手を組んだ。
「淑戦部はより淑女らしい礼儀作法を学び、なおかつ自身の身を守る護身術を学ぶ部活動と表向きはなっています。」
そうなんだ。知らなかった。見学に来た時からそんな雰囲気じゃなかった気がするけどな~
「退屈そうな部活動ですから見学に来る方も稀です。当然ですわよね、わざとそうしているんですから。
私たちは仲間になってくださりそうな人を選んで遠回しに勧誘しているんです。」
「仲間?ですか?」
どうしよう、何だか怖くなってきた。ルルも警戒するようにジッとアスターさんを見つめている。
「そんなに警戒なさらないで。あの女のようなおかしな宗教まがいのものではなくってよ。」
ふふっと小指を唇にあてて笑う姿は可憐な少女そのものに見えるけど…
「私たちは王家の影となるべく訓練を受ける候補生なのですわ。」
王家の影?
首をかしげる私と違いイライザが身を乗り出した。
「聞いたことがありますわ。使用人たちの中に紛れて活動する王家に絶対服従でありいかなる時も王家の方々の命をお守りする先鋭集団。」
アスターさんはイライザの言葉に花がほころんだかのような笑顔を浮かべてうなずいた。
「皆さんはあの女のことはもちろんご存知でしょう?」
「えぇっと…ハフスさんたちをお世話していた侍女…ですよね?」
アスターさんの目が怖くて恐る恐る口にする。
アスターさんはそんな私に向かって苦笑いを浮かべ軽くうなずいた。
「そうですわ。
まぁ、家に鼠、国に盗人と申しますし彼女のような存在がいるのは仕方がないこと。と多少好きにさせていたのが間違いでした。」
膝に置かれたアスターさんの手がギュッと握られ震えている。
「あの女を捕まえてロベリア・ハフスを早急に見つけなければ私のかわいい後輩が国外に追放されてしまいますわ。」
「かわいい後輩?」
首をかしげる私たちにソリーさんがお茶菓子を配りながら説明してくれる。
「前年度まで淑戦に所属されていた私と同学年だったカディナ・ハフスさん。ロベリア嬢のお姉様です。」
「お姉様が淑戦に所属していたんですか?あの結婚が決まって学園をお辞めになったという?」
私の言葉にアスターさんはコクリとうなずく。
「カディナさんもとても素質のある方で文武にも長けていたし私としては学園を続けて欲しかったのですが、婚約者の方の強い要望でお辞めになったのです。
全く一人では満足に当主教育もこなせないような婿を迎えなければいけないなんてカディナもかわいそうに。」
後半は声が小さくてハッキリとは聞こえなかったけどアスターさんはカディナさんの結婚や退学を良く思っていないみたいだ。
「アスターさんはもしかして、カディナさんの結婚話が立ち消えることを期待なさってロベリアさんや侍女を野放しになさっていらしたのですか?」
珍しくセーラが口を開く。
アスターさんはちょっと肩をすくめて紅茶を一口飲んだ。
「どうでしょう。そうなればいいと思わなかったかと問われれば否ですわ。カディナにはもっと似合いの方と連れ添って欲しいし、結婚はもうしばらく待って一緒に働いてほしかったですから。」
「働く?」
今度はルルが首をかしげて尋ねた。
アスターさんはぐるりと私たちを見回してから紅茶をソーサーに戻して両手を組んだ。
「淑戦部はより淑女らしい礼儀作法を学び、なおかつ自身の身を守る護身術を学ぶ部活動と表向きはなっています。」
そうなんだ。知らなかった。見学に来た時からそんな雰囲気じゃなかった気がするけどな~
「退屈そうな部活動ですから見学に来る方も稀です。当然ですわよね、わざとそうしているんですから。
私たちは仲間になってくださりそうな人を選んで遠回しに勧誘しているんです。」
「仲間?ですか?」
どうしよう、何だか怖くなってきた。ルルも警戒するようにジッとアスターさんを見つめている。
「そんなに警戒なさらないで。あの女のようなおかしな宗教まがいのものではなくってよ。」
ふふっと小指を唇にあてて笑う姿は可憐な少女そのものに見えるけど…
「私たちは王家の影となるべく訓練を受ける候補生なのですわ。」
王家の影?
首をかしげる私と違いイライザが身を乗り出した。
「聞いたことがありますわ。使用人たちの中に紛れて活動する王家に絶対服従でありいかなる時も王家の方々の命をお守りする先鋭集団。」
アスターさんはイライザの言葉に花がほころんだかのような笑顔を浮かべてうなずいた。
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