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第三章 魔法学園

ハフスさんはすごいです

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起き上がったハフスさんは枷に気づいていないらしく笑顔でこちらを…正しくは男性陣を見つめている。

「リーク様が婚約解消ってことは私にもチャンスがあるよね?リノアさんったら何しでかしたのかしら。
あ~アロイス様に決めたって思ってたけどまた悩んじゃうな~
リーク様と結婚すれば妃になれる…でもアロイス様と結婚したらアンディーブ様がお兄様になるわけでしょ?美形兄弟との生活も捨てがたいしな~」

ハフスさんは小声で言ってるつもりなんだろうけど私にはバッチリ聞こえてる。

不機嫌な顔でアロイスを見ると同じく彼女の声が聞こえていたらしい。
慌てた様子で手を振って否定している。

まぁ、さっきのハフスさんに対する言動や彼女の日頃の行いを考えれば向こうの一方的な思い込みだろうと想像つくけど…

だからって気分が良くなるわけじゃない。

つい、プイッとそっぽ向いてしまった私を包み込むようにホープがすり寄って抱きしめてくれる。

本格的に慌てたらしいアロイスがハフスさんの側に近づくのが見えたけどそれをニリーナ様が制して自分が前に行く。

「ロベリア・ハフス子爵令嬢で間違いないね?」

腕を組んで尋ねるニリーナ様。

「はっ、はい…そうですわ。」

ハフスさんはニリーナ様が誰かは分からないみたいだけど、ただ者ではないことは分かっているのか戸惑いながらも大人しく返事をしている。

「あんた、学園で好き放題やらかしてくれたみたいだね。まぁ、侍女にそそのかされたってのもあるんだろうけど。」

「はぁ?好き放題ですって?
そんなことしてません。
それなら私よりあそこにいるマリーベル・スリジェさんにおっしゃるべきですわ。
婚約者がいらっしゃる身でありながら様々な殿方の気を引こうとあの手この手で……」

ドンッ!っと大きな音が響き渡り驚いて振り返るとアロイスが巨大な杖で床をついた音だった。

初めて見る真っ黒いその杖はアロイスの身長よりも長く虹色に輝く不思議な石が先端についている。
わぁぁ、すごい賢者っぽいよアロイス。
そう思って顔を見てギョッとしてしまった。

貼り付けたような笑顔を浮かべているけれど口元がヒクヒク引き攣っているしこめかみもピクピクしている。
これはかなりご立腹ですね~のんちゃんの頃に2回ぐらいこんな顔にさせてしまったことがある。
1週間口きいてくれなかったもんな~
今回は怒らせた張本人は私じゃないけど…

そっとハフスさんのほうに目をやると、目をまん丸く見開いてアロイスの手元の杖とアロイス自身を見比べている。

「師匠、彼女の今の言動はまだあの女の力が及んでいるせいですか?」

聞いただけで震え上がりそうな冷たい声、気のせいかひどく冷たい風が吹きはじめた気もする。

「チッ。力を抑えなアロイス。すぐカッカするんじゃないよ魔力ばかり強くなって中身はちっとも成長してねーじゃねぇか。」

ニリーナ様が、舌打ちをして前に出ようとするアロイスを牽制する。

「まだあの女の気配が色濃く残っているからハッキリとは分からねーが半々ってとこだろ。

あんたね、この手枷足枷されたまま地下牢に放り込まれたくなかったら協力しな。」

ハフスさんは言われて初めて自分につけられた枷に気づいたらしく悲鳴をあげている。

「キャア、何よこれ!
私のきれいな肌に傷がつくじゃない。
今すぐ外してよ。」

「そりゃアンタの返答次第だね。」

「そんな~陛下、このような横暴を見過ごされるのですか?」

陛下たちもいらっしゃることにちゃんと気づいてたんだ!

平然と陛下に語りかけられるなんてその度胸にちょっと感心してしまう。

急に話しかけられた陛下も唖然としていらっしゃるようだ。
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