悪役令嬢とヒロインはハッピーエンドを目指したい

ゆりまき

文字の大きさ
188 / 247
第三章 魔法学園

相変わらずラブラブです

しおりを挟む
半ば強引に王弟殿下から泊まっていくように言われ泊まった翌日。
アリアドネ王弟妃に面会することになった。

車椅子に座ったアリアドネ様は侍女たちの制止も聞かずにクルクルと部屋中を移動して生まれて半年足らずの王子、ロシェル様をあやしたりオススメの本を本棚から取り出したり忙しい。

やっと向かい合って静かにお茶を飲み始めたと思ったらおしゃべりが止まらない。

「ちょっと聞いてよ。
ロシェルを産んだ後ちょ~っと体調回復に手間取ったからってもう~過保護が止まらないのよ私の旦那様!

2か月間はず~っとベッドの上でさすがに周りから動かないとさらに悪化するって言われたら今度はこれ、車椅子で移動しなきゃダメだって言われてるの。
まぁ皆んなの目を盗んでこっそり歩き回ってるけどね~」

困っちゃう。と言いつつアリアドネ様はとても幸せそうだ。

「さすがに続けて四人でしょう?体力的にもキツいわ~
周りがほとんどのことをやってくれるからなんとかなってるけど。」

紅茶を一口飲まれた隙に口をはさむ。

「本当に五人のお子様を立派に出産なさって、貴族のほとんどが乳母が育てる所をご自分で育てていらっしゃるんですからご立派です。」

アリアドネ様は勢いよく首を振った。

「そんなご立派なものじゃないのよ~
リークの時は最初引き離されて胸が張りすぎて大変な目にあったから無理矢理取り戻して自分の母乳で育てただけ。

その後魔力のことが判明してまたしばらく引き離されて…どう考えてもいい環境じゃなさそうだったから離宮にひっこんで。
あ~考えてみるとあの子には苦労かけてばっかりだわ。

シャルロットやラックス、イドリスにも寂しい思いをさせてるし。早く城中を闊歩かっぽできるまでに回復しなきゃね。」

側に控えている侍女たちの顔が陰ったのを私は見逃さなかった。

「あまり無理はなさらないでくださいね?」

私の言葉にアリアドネ様は元気にうなずく。

「心配しなくても大丈夫よ~さすがに今までみたいな量母乳も出ないから半分はミルクだし。
この子夜泣きもほとんどなくて本当に手のかからない子なの。何だか寂しいくらい。
それに、あんまり伏せってると新たな被害者が出るかもしれないから。」

「新たな被害者ですか?」

アリアドネ様はちょいちょいっと私に側に来るよう手招きすると口に手を当てて最近起きた騒動を話してくれた。

「この前クルートが大臣の一人を処刑するって怒り狂ってたから理由を聞いたのよ。
渋ってなかなか話さなかったけどそこはね、長い付き合いですもの。なだめすかして聞き出したら…

私が伏せっている間お寂しいでしょうから誰か側に侍らせてはいかがでしょう?

って勧められたらしくて。
どこにでもいるのよね~自分基準で物事を見て余計な気を回しちゃうやつ。
大臣にまで上り詰めたんだからそこそこ優秀なんでしょうに。
っていうかこんな話題じゃなきゃ気遣いできる人間グッジョブって思うのに。
まぁでも先の展開を想像できてないからダメか。

とにかく家門もそこそこ良いその大臣を一度の失言で処刑までするのは…って何とかさとして大臣職の解雇に留めたのよ~
どうにかして退任にしようと頑張ったんだけどね~そこまで譲歩できないってキッパリ言われちゃった。

突然解雇でしょう?話はどうしても広まっちゃって。って言うかクルートが積極的に広めさせてるみたいで、皆んな余計なこと言わないようにビクビクしてるのよ~
雰囲気悪いったらないわ。」

奥で侍女たちも小さくうなずいているように見える。

「だから、早く回復して私がニコニコ側にいなきゃなのよ。
まったく手がかかるわ~子供たちの中で彼が一番手がかかるわ。まぁそんなところも憎めないんだけどね。」

何年経っても推しへの愛、いや、夫婦の愛は互いに変わらず溢れているようで何よりだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

処理中です...