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第三章 魔法学園
隠しルートのシナリオは… (のんちゃん視点)
しおりを挟む乙女ゲームプリマベーラ。この世界に転生すると知っていたらもっとやり込んだのに。
悔しさを反動に俺はアリアドネ妃から知り得る限りの情報を聞き出した。
昔、紙に書き出してくれていたものや二人でゲームの話をして思い出させたものまで。
妃教育という名目で二人で散々話し情報を引き出した。
師匠であるニリーナ様からも古くからの伝承や歴史の裏を教わり様々な情報をかみ合わせて二人で導き出した仮説。
それが今着実に目の前で進行中だ。
「ゲームは最後卒業式のパーティーで悪役令嬢の断罪が行われそれぞれ選択した攻略対象から告白されてハッピーエンド。好感度が足りないとそもそも卒業パーティーに招待されないからパーティーに出られた時点でまぁ半分上手くエンディングを迎えられると決まったようなものかな。」
「ダメなこともあるってこと?」
「う~ん、まぁね。」
全部クリアフォルト殿下絡みだけど…
「そこは今回心配しなくていい。偽ニリーナが狙っているのは隠しルートだから。」
「隠しルート?」
「そう。アリアドネ妃に教えてもらった。攻略対象の好感度を皆同じに少し高めに維持したまま卒業式の日を迎えると現れるルートらしい。」
急に恋愛よりファンタジー高めな展開になるのよ~
とアリアドネ妃は頬に手を当てて首を傾げていたっけ。
「卒業式のパーティーで婚約破棄を告げられた悪役令嬢が絶望して魔力を暴走させ、魔の森に封印されていたはずの異形の主を呼び出してしまうの。
ヒロインと攻略対象たちで力を合わせて再び封印とするんだけど彼らだけじゃ力不足でここで重要なのが陰の守護者アロイス。」
ピシッと指をさされて俺は苦笑いを浮かべる。
「陰の守護者って。」
「ほら、ゲーム開始時からいたでしょう?どこに行けば攻略対象に会えるとかどんな物が好きとか教えてくれるサポキャラ」
「あ~顔は影になってて見えなかったけどあのキャラか~
えっ?!あれって俺なんですか?」
思わず言葉遣いが荒くなってしまったがアリアドネ妃は何も気にしていない様子でスッと紅茶を飲んでからうなずいた。
「そうよ~ファンの間ではサポキャラ最強説やら一番攻略したいキャラNo. 1なんて騒がれてたんだから。
攻略できないんだけどね。そこがまたもどかし良いのよ~」
もどかし良い?よく分からないけど…
「知ってたなら早く教えてくださいよ~」
「え~せっかくだからギリギリまで隠しておきたかったのよ~」
せっかくってなんだよ…アリアドネ妃のノリにはたまについていけない。
「アロイスが加わることによって異形の主は再び封印され、ヒロインは聖女として崇められ悪役令嬢は危険視されて幽閉されるの。」
「やっぱりそんな流ればっかり。」
リノアのバッドエンドが増えたところでちっとも嬉しくない。
師匠に隠しルートのあらましを軽く話すと彼女は細かくうなずきながら偽ニリーナのことを話してくれた。
「あの女はね、封印されたと言われてる異形の主。竜の守護を受けてる。
おそらくその異形の主の復活が彼女の目的だろう。
光闇教の伝説に出てくる聖女は知ってるだろ?あの聖女の末裔と言われてんのがスリジェ家だ。
そして聖女の血は封印の鍵になってる。
スリジェの血をひきなおかつ魔力を持つマリーベル。あの子の魔力が暴走したら鍵の役割が果たせなくなる。あの女の狙いはそこだろうね。」
うなずきながら俺は考えを巡らせた。
たぶん偽ニリーナもゲームを知っている。知識としてか、彼女も転生者なのかはまだ分からないけど…
マリーを悪役令嬢に仕立て上げようとする目的は分かった。
とにかくマリーに被害が及ばないように対抗手段を考えなくちゃ。
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